中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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外食チェーンの効率化追求に高齢者はついていけない!

 

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飲食チェーンの「ロボット化」で客離れが起きる恐れがあると心配する声がある。人手不足や感染対策で各社が競うように導入を急いだ配膳ロボット。その理由は高齢者がついていけないからである。

 

子供は配膳ロボットに大喜びかもしれないが、高齢者は配膳ロボットの扱いが分からず、料理が到着した時の対応に苦労しており、快適な食事をするために店に来たのに、逆にストレスが溜まっているようである。

 

私は週に一度はランチを食べにファミレスに行く。一人で行くから混み合う時間帯に行かず、早めに客がまばらな時間に入店する。

 

 

すると奥から「お好きな席にどうぞ」と店員の声が声がけし案内すらしないのが常態化している。

 

 

そして卓上に置かれたタブレットで注文し、運んできたのは配膳ロボット。会計はセルフレジ。

 

 

店を出る際に背後から「ありがとうございました」と人間の声が聞こえてくるだけで店員さんと遭遇することがないこともある。

 

通常、飲食店の費用構造は35%が原価で粗利益は65%くらいである。

 

 

その65%が付加価値と言われ、その中から人件費や販売管理費を出して平均的な営業利益は10%程度である。

 

 

その付加価値(粗利益)に占める人件費の配分である労働分配率は平均が40%程度であるが、今は人よりもロボットなどの機械を駆使しているのが実情である。

 

店で店員さんに聞くと、本部からできるだけ料理提供はロボットを使うように、通達がきているとの事である。

この、来店~注文~ドリンク提供(ドリンクバーのセルフサービス)~料理提供(配膳ロボット)~会計(セルフレジ)の一連の流れに、高齢のお客さんはついていけていない。

 

ますます増える高齢者に対応したオペレーションになっておらず、高齢者の多くはフルサービスのコメダ珈琲店などに流れていっているようで、これからもその傾向が増える恐れがあるであろう。

 

 

 

セルフの注文も会計もやり方が分からず、長い時間をかけて試みても結局は独力でできず、店員を呼ぶ高齢者も多く、むしろ時間を取られるて客席回転率もていかしてしまう。くつろぐこともできず、常連だった高齢客の客足が遠のき、売上が低下してしまうことになる。

 

 

せっかくゆったりとした空間で落ち着けるレイアウトになっているファミレスなのに、オペレーションの整合性がなくもったいない話である。

 

大手ファミレスの「すかいらーく」は、昨年末迄に3000台の配膳ロボットをガストなど傘下の業態、約2100店に導入したようだ。人とロボットが協働したオペレーションの確立で作業効率を高めるようだ。

 

 

あるファミレスではランチピークの回転率が2%上昇、片付け完了までの時間が35%削減、従業員の作業歩行数は42%削減しているとの事だが経費抑制に対し顧客満足度も含めた効果はいかがなものか。

 

店の持続的成長を考えたら、費用対効果をきっちり測定する必要があるであろう。

 

 

見ていたら、たまに料理を厨房から客席まで配膳ロボットが、それを従業員がついて行ってロボットからお客さんに料理を手渡している光景を見て笑ってしまう事がある。

 

 

先日、中華ファミレスに行ったが、ラーメンを配膳ロボットがゆっくりと運び、餃子を店員さんが運んでいた。

 

ラーメンなどはお客さんが料理を取る際にも危なく、また麵が伸びやすい。

料理を考えて客席に提供する必要があるが、それができておらず、がっかりしたものである。

 

また、ファミレスなど一食完結型の料理提供の業態の場合は、配膳ロボットでも活躍の機会は多いだろうが、焼肉食べ放題などで一品料理の追加がやたらと出る業態は、従業員と配膳ロボットが入り乱れ、オペレーションが煩雑になっている。

 

こういう場合はロボットを活用しない方が作業も混乱せずに、いいなと思ったものである。

 

少子高齢化がより一層進展し、お客さんの数も減るが働き手の数も減ることが予想され、労働集約型の飲食業界は大変だ。

 

その為、人と機械をうまくかけ合わせ顧客対応力を強化しなければならないから、機械化・自動化・省力化はやむを得ない。感染対策にもなるから人との接触機会を減らすのも当然になるだろうが、効果と効率をよく考えてやっていただきたいと思う。