中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

焼肉業界の今後の見通し!

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調理用器具の進化が著しく、TVで紹介されていた「ミニ換気扇」には驚かされた。価格は安く機能性や性能も充実しており、煙を見事に吸ってくれていた。これなら家庭でも部屋を汚さずに焼肉ができそうである。

 

その他、いろいろな機能的に優れた無煙ロースターも販売されており、焼肉店にとってはこれら家食も脅威な存在である。

 

そうなると、消費者も、わざわざ高い焼肉店に食べに行かなくても十分に満足することになり、焼肉店には困ることになるであろう。

 

 

 

 

焼肉店は他の業種・業態店と比較して出店コストが高い。まず、初期投資の高さが半端じゃないが、それは焼肉ロースターの高さが主要因である。ダクト自体はホームセンターで見てもさほど高くはないが、それを設置する費用が高い。無煙ロースター工事が高いために割高の出店費用になるのである。この移動型ミニ換気扇を業務用にもうまく活用できれば、減価償却も低くなり、もっと安くお客様に焼肉が提供できるのではなかろうか。

 

 焼肉店業界は、コロナ禍の外出制限でニーズが高まった外食への「プレミア感」に加え、「一人焼き肉」など新たな形態のヒット、テーブルごとに吸気ダクトが備えられた店内設備が「換気がいい=3密回避」のイメージが定着。コロナ禍では外食したくても外出できない為、限られた外食でどうせ行くならと一回の外食で満足したいとの事で、使う単価が高くなっていた。

 

他の飲食店と比べ客単価が高く、素人でも調理が可能など、ビジネスモデルの特徴も追い風に、コロナ禍の「勝ち組」として業容が拡大していた。

 

一方で、店内オペレーションが比較的簡単といった特徴(例えば焼くという工程をお客さんが担うといったことによる調理負担の軽減)から、焼肉人気に着目した居酒屋やラーメンチェーンなど異業種からの参入も相次いぎ、市場は拡大傾向にありながらも参入業者が増え、既存大手の新規出店も重なり競争が激化した。

 

加えて、輸送コストの増加や円安の影響により、安価な米国や豪州産などの輸入牛肉価格が高騰したほか、電気・ガス代、アルバイトといった人件費など運営コストの上昇も重なった。他方、物価高騰による消費者の「値上げ疲れ」も背景に大幅なメニューの値上げが難しく、不採算店舗の撤退などに動くケースも出始めた。

 

 

 

 

こうした経営環境の悪化で、小規模な焼肉店などでは厳しい価格競争に耐え切れなくなり、淘汰される中小焼肉店が増えている。  足元では物価高での節約志向も重なり、外食に「特別感」を求める機会も減っている。牛肉価格の高騰・大手の参入・低価格の三重苦で、焼肉店の経営環境は厳しさが続くとみられる。

 

飲食業は流行りに乗って一瞬はブームになるが、それを継続させるのは困難である。業態の陳腐化サイクルが早く、安定して成長するほど甘くない業界である。

 

焼肉店は初期投資が高く、今は円安もあり輸入牛肉の仕入れも高額、客が調理工程(焼く)の一部をやるとは言え、競争が激しく差別化を図るためには接客などのオペレーションコストの負担もあり、損益状況は厳しい状態である。

 

私も経営していたが、一見簡単に開業できて簡単に成功出来そうと思われがちだが、かなり難易度が高いと思う。特に 今の外食環境は、仕入れ高、光熱費の高騰、人材不足、客が思うように戻らない、ゼロゼロ融資の返済、5重苦に苦しむ店が増えている。

手っ取り早く独立開業したいという希望者は今でも多いが、 素人にはリスクが高すぎるから慎重な判断をしてほしい。

*焼肉事業の将来を見据えて

コロナ禍で店内の換気がいいからコロナの影響を受けにくいと勝ち組業態であった焼肉もコロナが収束されつつある現在は、市場も落ち着いてきた。客層や利用シーンの変化にいかに柔軟に適合させて競争優位を確保するかが課題である。

 

 

焼肉店の主要ターゲットは平日(特に金曜日)は法人の宴会需要、土日は友人グループ客、ファミリー層と明確になっていた。特に焼肉食べ放題店は土日にファミリー客でいっぱいである。今、一番勢いがあるのは「焼肉キング」であるが、昔から「ワンカルビ」の人気も絶対的で、焼肉市場で確固たる基盤を確立した存在である。

 

そういった中、土日の焼肉店は潤う店も多いが、最近は企業の宴会や接待が需要が低迷しており、新規の顧客開拓が求められている。

①ターゲットの拡大

宴会や接待需要の低迷による団体客の目減りを補完する為に、新規顧客開拓を推進する。最近は「焼肉ライク」のように一人客をターゲットにした店づくりの焼き肉店が増大してきた。孤食を好む一人焼肉の需要も視野に入れた店づくりなどを検討し、客席回転率の向上による坪当りの売上を拡大。

 

②飲食DXの推進

店舗規模が大きくなればこの人手不足時代の中ではオペレーションの機械化・自動化・省力化が必須となる。大手ファミレスが導入する各業務のロボット化を推進することが求められる。

 

省人化とDX化は今後もさらに難しくなる人材の確保と教育・訓練への対応策となる。焼肉業態は調理のメイン(焼くこと)を顧客にやらせるなど職人が不要で人件費を抑制しやすい。また今は、大手焼肉チェーンの多くがタッチパネルのオーダーシステム、配膳ロボット、セルフレジを活用し、省人化投資を競い合っている状態である。

 

 

焼肉業態は調理工程がシンプルで参入障壁が低いので、立地における需要と競争の実態から参入余地があると判断されると、競合店が一気に増加する可能性がある。したがって競合他店との差別化を明確に訴求し、地域一番店としての存在感を発揮する店舗づくりがより重要になってくるであろう。