中村コンサルタント

飲食店支援専門のコンサルタントです。事業承継の支援も致します。

フードコート専門業態を確立し今後の成長戦略を描く「牛角焼肉食堂」の成否はいかに!

 

 

焼肉は「食べ放題」の普及で市場が活性化されてきて30年以上が経つ。食べ放題チェーンの店舗数を見ると上位5社の中で店舗数を増やしているのは現在2位の「焼肉きんぐ」だけだ。食べ放題チェーンや低価格の焼肉店は輸入食肉への依存度が高く、今の円安状態が続くとより一層厳しくなる推察される。輸入牛の仕入れ値は20年前の倍以上、部位によっては3倍以上だからだ。加えて、他のコストも軒並み上昇し、店の採算が悪化しており、焼肉きんぐだけが突出した勢いを有している現況である。焼肉きんぐが他のチェーンと比べて圧倒的なのは、その成長速度だ。2007年に1号店オープンとまだ20年にも満たない後発チェーンでありながら、店舗数2位にまで躍進しており、その勢いは今も続いている。そういった焼肉市場の中、先行していたのは店舗数1位の「牛角」だ。かっぱ寿司や大戸屋など多くの著名ブランドを有し、多業態戦略で国内外にFC店も含め2,602店舗(25年6月末時点)を展開する外食大手のコロワイドグループの中核事業である。傘下の焼肉事業を運営するレインズインターナショナルが1996年に創業した「牛角(開業時は焼肉市場・七輪)」は今年30年目の節目を迎える。7年間で1000店舗にまで急成長させた焼肉チェーンだったが、現在、牛角ブランド自体は店舗網の再構築フェーズにあり、既存店舗のテコ入れや整理などを進めている。食べ放題専門店も展開しながら、今は新たな成長業態である「牛角焼肉食堂」に経営資源を重点配分。既存業態と新業態を調整しながら、焼肉市場でトップの座を堅持している。 

 

牛角焼肉食堂とは!

 

成長を加速させているのが、日常的に気軽にフードコートで焼肉を主とした食事ができる「牛角焼肉食堂」。同店はフードコート専門店として開発された業態で、熱々の鉄板焼肉定食や焼肉丼を中心に冷麺や石鍋チゲなどを提供している。焼肉市場が特別感ある非日常消費と日々の食事である日常食の二極化が進展する中、同店は焼肉を日常食として700円から1,000台を中心にした価格帯で多くの人に手軽に焼肉料理を提供する店舗だ。現在、87店舗(2026年2月時点)出店しているが、その内3分の2は小売業2強の一つであるイオン系のショッピングセンター(以下、SC)だ。エリア的には北海道・東北が15店舗、関東26店舗、中部22店舗、近畿16店舗と出店数全体の9割を占め、中国・四国・九州は手薄となっている出店状況である。昨年(2025年)は30店舗を新規に出店し、今年(2026年)は100店舗を超える勢いだ。日常利用の「牛角焼肉食堂」と、お祝い事などのハレの場や特別な外食での利用を目的とした「牛角」。両ブランドの市場に於けるポジショニングも明確にしながら店舗戦略を進めている。

 

フードコートには多くのメリットがある!

 

ディナーや週末に集中しがちな需要特性の焼肉業態よりも、時間帯や曜日指数を気にしない営業で売り上げが安定するメリットがフードコートにはあり、より運営の平準化が可能で作業効率が高まる。実際に、平日ディナーに単価の高い外食需要が発生することは少なく、お祝い事などハレの場が頻繁にある訳でもない。また、満足度が高過ぎて経済的にも負担の大きな食事は何度も行けるものではなく、適度に満足し予算的にも負担が軽い食事の頻度は自然と高くなるもの。焼肉は単価が上がるが、あまり上がり過ぎると高かったというイメージが残り、次の来店までの間隔は長くなってくる。その点は一食完結型の定食スタイルはお手頃価格で食事ができるから来店頻度が高まるだろう。 フードコートはSC自体の集客力を利用し、他のテナントと共に顧客提供価値を向上できるのも魅力だ。食べ放題店や専門店よりも安価な価格で吸引力を強化し、食材の回転率が上げていつも鮮度の高い商品を提供しながら、食材を無駄なく使うことで安定原価を実現できるから、利益を確保しやすいのではなかろうか。

 

 フードコートを取り巻く環境は!SCの現況と今後の動向は!

 

 少子高齢化や人口減少によ市場が縮小する中、利便性の高いネット通販の普及度合いが高まり、従来のSCは集客が困難となっている。事実、SCの総数は減少傾向にあり、2018年の3,220施設をピークに2019年以降は6年連続で減少し、2024年末は3,037施設となった。2022年以降は年間35前後で推移していた新規開業数も、2025年には新規開業数が過去最少の18施設まで落ち込んでいる。新規開業SCは小型化が進み、テナント構成も変化し、テナントも衣料品の割合が低下。飲食店やサービス業種の割合が増加。2024年には飲食が27.2%、サービスが23.7%を占め、非物販が半数以上だ。一般社団法人日本ショッピングセンターによると、統計開始以来で過去最少となる見通しで、閉店数が新設を上回るという「純減」は7年連続とのことだ。その原因は人口減少という社会的な側面や、建築資材・人件費の高騰といったコスト面の影響も大きいようである。SCは自然発生的に形成された商店街と異なり、一つの単位として計画、開発、所有、管理運営される商業・サービス施設の集合体だ。ブランド力のある店舗を誘致しテナントミックスを最適化し、他のSCとの差別的優位性を確保している。消費者ニーズに応えるコミュニティ施設として都市機能の一翼を担い街づくりの活性化には欠かせない存在だ。そのSCで重要な役割を担う存在になってきたのがフードコートだ。フードコートと言えば、多種多様な店が連なり価格も低価格でさっと食べてすぐに帰るとイメージを抱く人が多い。でも売り上げの割に高い賃料の負担が多いフードコートでは撤退するテナントが続出。同質化しやすいSCの差別化手段として、また、集客の目玉として新たなコンセプトによる独自性のある運営をする進化したフードコートも増えている。飲食店の情報サイトである「ぐるなび」がプロデュースした各地の人気店の味を再現しているご当地グルメを集めたフードコートは話題だ。今はSCの差別化手段としてのフードコートの果たす役割が大きくなっている。

 

 フードコートへの出店メリットは!

 

通常、坪当たり100万は必要な開業費用である既存の焼肉業態とは異なり、初期投資はかなり抑えられる。その結果、投資回収速度も速く、投資効率の高いビジネスモデルの設計だ。

 ランニングコストも、SCの集客力の利用、余裕ある共有の客席スペースの活用、セルフサービスでホール人員の削減による人件費の抑制、SC自体が販促するので店舗独自の販促コストや手間が省ける、等のランニングコストの削減にも寄与する。また、天候に左右されず安定した来客数を見込める、類似業態の店舗が隣接することが少ないため競合が限定される、等の魅力もあるようだ。 もちろん、フードコートに出店する店舗には、運営上の制約や想定通りいかないと採算性の問題が生じることがあることのリスクは仕方ない。でも、SCのフードコートは異なる個々の食のニーズに対応できるからグループ客やファミリー客などからも選ばれている現状を利用しない手はないだろう。

 

 定食市場の競争環境は!

 

客単価から見ても定食レストラン市場の競争は激化している。定食チェーンだけでなく、定食メニューを拡充する牛丼チェーンや和洋中のファストフードも競合店だ。また、最近は平日のランチ営業を充実させる焼肉チェーン店が増えている。牛角を創業した西山知義氏が率いる焼肉ライクも脅威な存在だ。

 焼肉食べ放題店も仕入れコストや人件費が上昇し物価高騰で節約志向の人が増えている中で各店が値上げで対応してきたが、これ以上、価格を上げると客離れを起こす心配から、値上げを躊躇している。今は値下げした新メニューの販売や大幅な割引で歓送迎会の繁忙期前を凌いでいる状態で、ランチの集客にも力を入れてきている。焼肉は本来ならディナーに集中し、経営資源を集中させた方が効率的な経営になるのは言うまでもない。しかし、安定した売り上げが求められる今は、同じ賃料を払うなら費用が高くなっても長く営業した方が得策と考える店も多い。この一方を追求するともう片方が犠牲になるトレードオフの関係でどちらを重視するか経営判断は難しいところだろう。焼肉業態は売り上げの平準化が困難でバラつきが大きい業態特性がある。お客さんの入りが乏しい平日のディナー対策として、繁閑に応じてメリハリ運営をして対応するか、売り上げの安定化を狙いランチ営業に力を入れるか、どちらかだ。実質賃金の低迷と物価高騰で節約志向が高まる中、真っ先に削られるのが外食で、その中でも単価が高いディナーが最も削られるから仕方ない。削られやすい外食だが、外食慣れした日本では全く行かないというのは考えにくい。久しぶりに人と会う機会があれば、せめてランチや低価格店くらいには行こうという人が多いはず。まだまだ安定的な需要があるのはランチでディナーは開けてみないとわからないといった水商場的なもので、これらの傾向は失われた30年と共に根強いもので外食店の課題でもあった。焼肉の来店頻度は一般家庭の平均で、月に一度とされている。その焼肉を単価の低いランチで食べてもらうのではなく、アルコールも入り単価が上がるディナーで食べてもらいたいというのが店の本音だ。しかし今は集客が難しく、とりあえず、お手頃価格のランチをフロントエンド商品として集客し、バックエンド商品であるディナーへの誘導を狙っている。ランチで店の味や雰囲気を味わってもらい、ディナーの割引券を配布し来店動機を高める仕掛けだ。当店の焼肉を本格的に堪能したのなら夜にお越しくださいというのが店側の思惑だろう。でも、昼夜の価格差が大きいと、昼しか来ない人も多い中、日々店を回す運転資金の確保のために昼も営業している店は多く、客側にとってはランチの選択肢が広がっている。店側も昼に店全体の良さを理解してもらえば、焼肉など高額料理はハレの場で利用されることが多いので、頻繁の利用は無理でも祝い事など特別の日に利用してもらえる可能性は高いから、それを期待し定食メニューに力を入れているのだろうし、今後も続きそうだ。

 

最後に!

 

  元気なシニアが多く今後も肉類を好むシニアが増える中、焼肉は無性に食べたくなる存在感ある食事だ。今から58年前の昭和43年(1968年)に大阪の焼肉チェーンが始めた焼肉定食だが、今は多種多様な飲食店でもメニューとして定番化されているほどである。そういった中で、「牛角焼肉食堂」の提供価値を認めてもらいメインブランドの牛角に誘導できるかは、これからが勝負だ。

 

店舗数1位のすかいらーくHDのガストを追随する2位サイゼリヤ!

店舗数を減らすガストと増やすサイゼリヤの今後の動向は!

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高度経済成長社会の中でファミレス市場の成長と共に事業規模を拡大してきた「すかいらーくホールディングス、(以下すかいらーくHD」」。時代の変化に適合させるため、様々な業態の開発とブランドを構築してきた。しかし、デフレ経済が長きに渡り定着する中、低価格ニーズに合致した店づくりとして、価格競争力を武器に低価格路線のファミレスである「ガスト」を主力ブランドとして積極展開しファミレス市場では店舗数1位だ。そのガストもここ数年は緩やかなインフレ状態の経済の中で、市場環境の変化に適合させた店舗のブラッシュアップを進めている。商品もメリハリ消費に対応したメニュー政策で顧客提供価値を高め、価格もインフレに対応した価格改定を通じて客単価アップを狙い、今までの薄利多売の店舗政策の脱却を図っている。一方、値上げしない宣言で節約志向の高いお客さんを中心に吸引力を高め、業界2位の店舗数を誇るのがサイゼリヤだ。物価高騰に耐え切れず、値上げする外食店とは一線を画し、値上げしない宣言をしたサイゼリヤは愚直なまでに低価格を追求し、より一層の集客力を高めており、それに連動し業績も好調である。世界中の人々に美味しくて健康的なイタリアの家庭料理を安価に提供することを顧客提供価値として取り組む中、原価率は約42%とやはり低価格の維持のために高めだが、販管費の抑制で経費を調整しながら確実に利益も確保している。

 

同じファミレス市場で競っているが、多業態を展開するすかいらーくHDの中核とはいえ一ブランドであるガストと単一事業であるサイゼリヤ。2025年度にガストが11店舗を減少させる一方で、サイゼリヤは21店舗を増加させている。その結果、ガストは1,236店舗、サイゼリヤは1,064店舗と店舗数が肉薄している。この増減の差は業績ではなく、すかいらーくHD側はグループ経営上の都合もあるだろう。しかし、その理由が成長ブランドに業態転換し、エリアごとのカニバリゼーションを防止するためとのことだが、それだけだろうか。業態の陳腐化サイクルが短縮される中で、ガストの打ち出す政策と顧客ニーズの乖離はないだろうか。ガストは低価格路線を脱却して付加価値を創出する方向へ路線変更しており、低価格での提供で圧倒的な優位性を有するサイゼリヤとの価格差が広がっているのも理由ではなかろうか。そういった点を踏まえて、双方の違いを見てみたい。

 

 すかいらーくHDの業績は好調だ!

 

2025年12月期第三四半期累計(1-9月期)も前年比で売上高が+15.3%、営業利益が+23.7%と増収増益で過去最高益を達成。営業利益率も7%確保して収益性も安定しており、ROE(自己資本利益率)も10.3%と資本効率を高めている。伸長要因は、メニュー・プロモーション(コスパの高いメニュー、外食の楽しさや体験価値を高めるメニュー)など商品力の強化と店舗中心経営(店舗マネジャーの営業力の向上)といった販売力の強化が功を奏している。外食産業は人手不足もありDX化を進めているが、基本は労働集約型の産業だ。スタッフの能力と意欲の向上が業績を大きく左右する。他業種と比較して低報酬という外食の労働環境の中、店長の年収を最大1000万円超とする人事制度を導入。正社員のモチベーションを高めると同時に、運営の主戦力であるクルーの質的向上と定着化も推進中だ。また、公正な評価と適正な処遇の徹底と共に、店舗マネジャーに昇給の権限と責任を付与し現場で柔軟に対応させ、計画的に従業員を育成することで店舗組織の盤石化を進めている。

 

M&Aも駆使し、成長フェーズでの優位性を発揮!

 

現在、すかいらーくHDは傘下に6つの子会社、28ブランド3,107店舗(2025年12月末日)を傘下に持つ。それぞれの市場ニーズに合致した業態を配置し全体を最適化させながら、収益機会の増大とリスク分散を図っている。傘下のブランドを「ファミリーダイニング」と、「カジュアルダイニング」とで分類。各ブランドをどの方向に進めるかは顧客の動向と潜在的な可能性を分析しながら決定し、経営資源の適切な配分と管理を徹底している。ポートフォリオの空白地帯を資さんうどんや新業態開発とM&Aで補完し、隙間のないブランドポートフォリオを完成させる計画だ。それぞれ異なるコンセプトと顧客層を持つ複数のブランドを展開しているが、各ブランドの強みを最大限に発揮するため、画一的な施策ではなく、ブランド特性に合わせた戦略を立案し実行中だ。傘下のブランドで、幅広い顧客ニーズに対応できるようグループ内で顧客の囲い込みをしており、それぞれのブランドが明確なターゲット、提供価値、ブランドイメージを持ち、各ブランドの認知度向上と顧客ロイヤルティの強化に努めている。

 

卓越したガストの商品開発力、著名ブランドとのコラボ商品も人気!

 

ガストの商品戦略は多様なジャンルの料理を豊富に揃えている。活発な商品開発でメニューを定期的に刷新し、飽きのこない品揃えで再来店を促しているが、これだけの新商品が次々と開発できるのは、蓄積された商品開発ノウハウがあるからだ。現在、推奨販売されているのは、好きな小皿料理3品がドリンクバー、スープバー付きで約1,000円で食べられる平日限定の「ガストフィットメニュー」、それを進化させた「ガストフィットメニュー2」は、平日の客数増に貢献しているようだ。また、999円ステーキというコスパの高い商品も販売し、再来店を促している。現在、期間限定で「やまやフェア」を開催中。特に「博多明太もつ鍋」は人気で、その他、博多明太唐揚げ定食や明太ドリアメニューも好評のようだ。

すかいらーくHDは、値上げによる粗利益率の改善、食材ロスの低減、部門横断的な原価低減プロジェクトで講じた対策などで、仕入れ価格高騰の影響を抑制した結果、第3四半期連結の原価率は33.1%と前年比で0.9%の悪化となったものの、最小限の上昇に抑えており、原価管理能力は高い。

出店戦略では、新規出店で店舗数を拡大する中で、カニバリゼーションを防ぐため、業態とブランドの再配置中だが、しゃぶ葉も若者を中心に人気で、著しく店舗数を増やしている。2024年初めの店舗数は279店舗だったが、現在(25年12月末時点)は324店舗と2年間で45店舗増と相当な勢いだ。立地の偏在性の解消が必要なガストからの業態転換も進めている。成長ブランドへの育成を加速させている資さんうどんと共に重点的に経営資源を配分しているようだ。

 

節約志向の高まりで外食頻度が低下する中、サイゼリヤはなぜ2桁成長できるのか!

 

サイゼリヤの既存店売上高と客数は50カ月連続で前年を上回っており、その伸長率も40カ月連続2桁成長と驚異な伸びだ。客単価も微増ではあるが安定して伸ばしている。競合他店が物価高騰を値上げで乗り切る中、値上げしない宣言をして、低価格を求める顧客ニーズに対応。客数減を客単価アップで売り上げを維持する店とは対照的に、経営の合理化で外食店を取り巻く危機的環境に適合させている。この値上げせずに顧客視点の営業姿勢をお客さんから評価されているようだ。コスパ最強と評価され、大概の店が閑散としている平日のディナー帯でも連日盛況でウエイティングができる状態である。25年8月期決算では、海外部門も含めた連結(連結消去分は除く)では、売上高2567億円(前年比+14.3%)、営業利益155億円(同+4.3%)、営業利益率は6.0%とこれだけ低価格で販売している割には、しっかり確保している。費用の内訳を見ると、売上原価率は41.9%と0.7%悪化したが、販管費率は0.2ポイント改善させており、営業利益率は0.6%悪化してはいるものの、増収増益だ。セグメント別に見ると、国内事業は売上高1,729億円(前年比+18.1%)、営業利益503億円(同+83.9%)、営業利益率は2.9%。海外事業は、売上高949億円(前年比+6.8%)、営業利益105億円(同-13.6%)、営業利益は前年よりも低下させているが11.0%と高く、2.9%と低い営業利益率の日本事業と比べると稼ぐ力を有している。客数の構成比を見ると、国内68.4%、海外31.6%の割合だ。日本事業は今期(26年8月期)に入っても好調で、既存店ベースの9月~12月累計は、売上高+17.4%、客数+14.7%、客単価+2.3%と伸ばしている。店舗数も1,064店舗(25年12月末時点)と前年同期比で+21店舗と順調に店舗を増やしている。メニューに刺激を与えマンネリ化防止のため、既存メニューも定期的に刷新し、フードメニューの充実と新規デザートメニューの販売で来店頻度も高めているようだ。これらの取り組みの結果、2026年8月期(第1四半期連結9月~11月)の売上高は、703億円(前年同期比14.7%増)、営業利益は47億円(同18.9%増)、とかなりの伸長だ。また、将来を見据え、さらなる売り上げ拡大に向けて、モーニングメニューの販売を始め、順次、販売店舗を拡大する計画である。

 

国内事業も海外事業と共に業績好調が続く!

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以前の国内事業は薄利に苦しんでおり、それを海外事業の収益で補うなど海外依存度が高かった。でも今は国内事業も収益性が改善されている。国内外連結で増収増益だ。財務基盤も自己資本比率は64.5%と盤石だ。現在、国内店舗数は1,060店舗、海外店舗数は657店舗 海外の店舗数比率は38.3%(25年11月末時点)である。

この好調を支える要因はやはり、安さを前面に打ち出しながら集客力を高めていることが大きい。また「ファストカジュアル」としての存在感を発揮しており、客単価約860円は、回転寿司やハンバーガー市場とも競っている。その絶対的ポジションを堅持するための努力も怠っていない。例えば①値下げ宣言で低価格を約束②メニュー数を絞り調理負担の軽減と在庫の削減など業務効率を向上③国内外の出店体制の強化によるスケールメリットの発揮④川上~川下までを自社で垂直統合するなど事業基盤を盤石にしている。 

 

商品力と価格競争力に絶対的な優位性!

 

美味しくて健康的なイタリアの家庭料理を低価格で提供できる最適な品目数とメニュー構成になっている。定番メニューの品質改善を進めながら、新メニューを投入して商品全体の価値を向上。定期的なメニューの刷新で来店の動機付けをして来店頻度の向上を実現している。メニュー数を絞り調理が単純になれば、店側はメリットが多いが、一方で客側にとっては商品の選択肢の少なさで充実度を欠き不満要因となる。店側と客側の効果と効率が対立する中、現状のメニュー数が低価格で美味しいイタリア料理を食べたいニーズの客側には最適のようだ。 

 費用対効果を勘案しながらのDX化の推進!

DXの推進として、顧客の携帯端末を使った注文方式やセルフレジなど必要最低限のDXへの取り組みではあるが、顧客の利便性の向上と業務効率の向上、従業員の負担軽減で生産性も向上させている。会計も低価格だから現金払いが多く資金繰りも円滑だ。広告を一切せず、クーポンなど割引券の配布をしない。スマホアプリもなく販促費などの費用をかけていないから、販管費を抑えられている。原価が約40%と高い分を他の経費で調整し利益を確保している。

 

最後に!

 

1970年創業のすかいらーく、1973年創業のサイゼリヤとほぼ同じ時期にスタートした両店。付加価値を高め適切な値上げを実施するガストに愚直なまでに低価格を追求するサイゼリヤ。異なる戦略で違いはあるものの、約50年以上の歴史を有する両社の今後の展開を注視していきたい。

成長を加速させる串カツ田中の原動力とは!

(2025年8月17日作成記事)

東京商工リサーチの調査によると、2024年の居酒屋の倒産は276件発生し、2年連続で過去最多となっている。物価高騰などで生活が苦しく節約志向の高まりで外食離れが進む中、夜の時間帯がメインである居酒屋はより経営が厳しい状態だ。加えて、業態の陳腐化や若者のアルコール離れ、仕入れ価格の上昇、人手不足と人件費高騰、エネルギーコストの増加、会社の交際費の削減、大規模な宴会の減少、働き方の変化による飲み会の減少など業績悪化の要因は枚挙にいとまがない。元々、コロナ前から居酒屋の需要は低下しており、今後も経済的・社会的要因から回復するとは思えないのが実情。今回は業界に逆風が吹く中で、成長著しく業績を大きく伸ばしている株式会社串カツ田中ホールディング(以下、串カツ田中HD)を取り上げたい。

串カツ田中HDとは!

2008年に創業し、2018年にホールディング化して東証一部に上場した串カツ田中HD。2025年3月1日付で、連結子会社の株式会社串カツ田中を存続会社として株式会社セカンドアローを吸収合併。グループの経営資源の集中と有効活用を図り、事業領域の拡大を目指した新業態の開発を加速させる狙いだ。セカンドアローは、鳥と卵の専門店「鳥玉」、タレ焼肉と包み野菜の専門店「焼肉くるとん」を運営していた。現在、傘下ブランドの店舗数は串カツ田中 332店舗(直営170店舗)、鳥玉3店舗、焼肉くるとん 2店舗、サンドイッチのTANAKA3店舗、新業態の京都天ぷら 天のめし、厚切りとんかつ厚とん、京都和牛とんかつ天のめし、京都すき焼き天のめしは各1店舗となっており、合計347店舗だ(25年7月末時点)。新業態は将来に向けて実験段階中のようである。経営陣の中には、とんかつチェーン「かつや」の元社長で現在は再生請負人として知られる臼井氏も社外取締役として名前を連ねている。

 

24年11月期(23年12月24年11月)の決算資料(通期)を見ると、

串カツ田中HDの売り上げは168億6422万円(前年同期比+19.8%)、営業利益は8億4794万円(前年同期比+11,1%)、営業利益率5.0%を計上。今の時期に売り上げ約20%増は驚異的な伸びだ。

事業セグメント別では、

コア事業の串カツ田中の売り上げは、150億7004万円(前年比114.3%)。内訳は直営店売上113億円1501万円、FC商品売上 28億6211万円、ロイヤリティ収入 5億6836万円、その他 3億2455万円)となっており、客数の増加や新規出店により売り上げが増加している。利益も原材料高騰への対策も商流と物流を改革し、安定確保している。国内その他事業は 5億5773万円(前年比128.8%)、新事業のハウスミール事業(総菜の製造と配送)の売り上げ構成比は1.6%程度の2億6866万円とまだ僅かだ。内装工事事業は売り上げ16億1148万円、(前年比233.5%)とグループ内外からも積極的に受注しているようだ。

 

好調な勢いは今期に入っても止まらない!

串カツ田中HDの25年上半期(24年12月~25年5月)は売り上げ102億9,913万円(前年比128.0%)、営業利益6億7674万円(前年比149.9%)と驚異的な伸びだ。売り上げの約8割を占める串カツ田中の売り上げは83億4725万円(前年比112.4%)、営業利益は6億9950万円。 国内その他事業は売り上げ3億6361万円(前年比146.4%)。新業態の開発で先行投資の負担で営業損失が1億2749万円発生。24年5月に開始した ハウスミール事業はキッチンの生産性向上と稼働率向上が図られ、売り上げ6億1181万円、営業利益3393万円。 内装工事事業は新規店舗出店やグループ外部の受注が増加しており、売り上げは10億7141万円(前年比150.7%)、営業利益は7448万円だった。 

看板事業の串カツ田中の特徴は!

同店は大衆的な串カツ屋で競争が激化する大阪西成区で先代の田中勇吉氏が独自に開発したレシピを伝承しながら、店を磨いてきた。「串カツ田中を世界に」を目標に、2008年12月東京世田谷に1号店をOPENしたのが始まりである。同店は呑み客だけでなく食事客の来店も多く、繁華街店舗では串カツを片手にビールを楽しむ会社員、郊外型店舗では食事やたこ焼き・ソフトクリームづくりにチャレンジするお子様連れの家族連れなどで賑わっている。幅広い客層に対応するメニュー政策で、居酒屋需要とファミレス需要の両方を取り込んだ串カツ専門店だ。昨年末に実施した創業祭など各種キャンペーンの実施、4月から販売した新名物「無限にんにくホルモン串」の効果が出ている。直営店は売上+18.2%と著しい伸長だ。その成長は客数が+16.3%と伸びているのが要因だ。客単価はほぼ横ばいの+1.7%となっており、この物価高騰で他店が値上げに踏み切る中で、価格を上げずに客数増で売り上げを伸ばしたことが功を奏したようである。

商品価値は!

串カツの基本となる衣・油・ソースはすべてオリジナルである。チェーンとしての統一性を順守した店舗運営で、どの店でもブレがなく味は安定している。メニューは串カツを中心に、一品料理や食事メニューも充実しており、田中のかすうどんも好評だ。子供たちにはソフトアイスなどデザート関係も喜ばれており、宴会コースで食べ放題・飲み放題プランもある。また今は新名物「無限ニンニクホルモン串」の販売が絶好調で、販売3か月で累計販売数500万本を突破する人気メニューだ。この商品を目当てに来店されるお客さんも多く、お酒と相性抜群でお酒好きにはたまらない酒の肴だ。SNS上でも「本当に無限に食べられる!」「お酒のお供に最高!」と、多くのお客さんをやみつきにさせている。

 

ロスリーダー品を効果的に活用した価格政策

節約したいからと割高感がある居酒屋を避けて家呑みが増える中、来店しやすい目玉商品を訴求し吸引力を強化している。また、単身者世帯比が高まる社会構造の中、独り呑みが高まっており、そう人にはコスパの高い「せんべろ」があることが、店の選択基準となっている。同店の平日18時まで実施している「ハッピーアワー」は、ジムビームハイボールとこだわり酒場のレモンサワーが、1杯90円(税込99円)で堪能できて財布にも優しく、最強のコスパとされている。これらも客数増加に大きく貢献しているようだ。

また揚げるというシンプルな調理に限定されていることもあり、コックレスを基本とした運営でローコストオペレーションによる運営を実現している。その低コスト化で安価な価格を実現できている。このコスパの高さが競争力の源泉で支持される理由であろう。

ターゲット(客層)は!
ご家族、会社員、一人客など様々な客層に浸透し、飲み会、食事など様々なシーンでご利用されている。客層別売上構成比で、多い順から見ると、家族連れ34.3%、会社員・男性グループ16.1%、一般男女グループ 20代14.0%、一般男女グループ 30代~13.2%、カップル・女性客グループ9.3%となっている。
出店戦略は!

業態の特徴から様々な立地に対応が可能であり、人口10万人以上の規模であれば採算が取れると判断。現在の出店立地をタイプ的に分類すると、住宅街77店舗、大規模繁華街12店舗、繁華街180店舗、駅施設27店舗、商業施設16店舗、ロードサイド26店舗となっている。出店地域は、北海道25店舗、東北21店舗、関東 242店舗、中部 85店舗、中国 31店舗、関西 223店舗、四国 8店舗、九州 27店となっており、需給バランスに応じた適切な出店体制だ。

今後に向けて!

串カツ田中は今後の更なる業績向上に向け、DX×人事戦略による収益改善、FCビジネスの強化、急速に拡大するインバウンド需要の取込、などの対策を講じている。特に店舗は「人と運営の仕組み」で栄枯盛衰が決まるから、DXの推進と人材の効果的活用に、より力を注いでいる。ES(従業員満足)=CS(顧客満足)の基本を徹底し、人材の質的向上を図り生産性を向上させる施策を講じている。現在、働きがい改革の一環として、KTリーグを開催中だ。これは各店が「笑顔で頂点を」を運営テーマにして競わせることで、店舗の活性化と顧客満足度を追求している。また地域密着型を前面に出し、地域貢献や地域の人々に未来永劫的に愛顧される店づくりに向けても活動を強化中だ。また、スポンサーとして店舗への支援や店舗と共に地域活性化に向けてコラボしてくれる団体・企業との連携も強化。店舗従業員はスポンサー企業のロゴ入りユニフォームを着用して営業、スポンサー側従業員には割引特典を付与するなどより関係を強固にしている。笑顔×地域活性化を店舗運営のテーマにして、今後も更なる成長が期待できそうだ。

国内よりも海外展開を本格化する焼肉ライク!

 

 

一人焼肉で急成長したライクも店舗数減少に歯止めがかからない!

コスト上昇による経営圧迫、物価上昇による節約志向の高まりなどの外部環境要因により、焼肉店の経営が厳しくなっている。かつて、誰にも気兼ねせず安価に一人焼肉を堪能したいというニーズに対応し、急速な成長を見せてきた「焼肉ライク(以下、ライク)」も、現在は国内店舗の縮小が顕著だ。景気が悪化し節約志向が高まると、真っ先に削られるのが外食。その中でも単価が高い焼肉は削られがちだが、ライクは1000円程度で食べられる低価格店で日常食に違い存在だから、高単価店よりは景気の影響度は低いはず。また、一人焼肉に行く人は、単に独身者だけでなく、家族持ちでも子供が成長すればそれぞれのライフスタイルの多様化から家族で食事する機会が減少し一人食が増えている。そういった社会背景からも需要が伸びそうなのに店舗を減らしているのはなぜか。

そもそもなぜ一人焼肉に着目されたか!

未婚率の上昇で単身者世帯比が増加する中、各外食チェーンは個食ニーズへの需要を取り込もうとしてきた。本来なら一人客は非効率だからと敬遠する焼肉店もそのニーズを取り込もうとしている。商品面でお一人様メニューの拡充、一人でも気兼ねなく焼肉が食べられるように店舗レイアウトの変更、などで対応中だ。そういった中、市場の成長を見越して一人焼肉の先駆者として市場を牽引したのがライクで、2018年8月に1号店をオープン。その後、3年半の短期間で約130店舗を出店するなど急成長させてきた。昔から焼肉は高級な食事でお祝い事などハレの場で利用されるものであり、厳選牛肉が提供され価格も高額だった。焼肉は高いというイメージを身近な店にさせて焼肉市場を拡大したのがファミレス型の焼肉チェーンである。そして、その焼肉を手軽にファストフード感覚で自分好みのカスタム焼肉を可能にした店がライクだ。設計段階で効率的な工程分析と動作研究により作業を標準化。コックレス化と単純オペレーションの仕組みの確立でコストを削減し、それらにより低価格を実現してきた。その上で、一人でも気軽に入れて、自分好みにカスタマイズした焼肉を自分だけのロースターで、自分のペースで焼肉を堪能できる店にしたのである。注文はタッチパネル、調理のメイン(焼くこと)をお客が担い、料理提供はセルフサービス、会計もセルフレジと人件費抑制と人出不足に対応できている。

 しかし、市場の拡大が期待される中、市場ニーズに合致した店づくりをしているように見えるが、そのニーズと店の提供価値に乖離があるのか、今年度の新規出店も1店舗のみだ。現在、191店舗展開しているが、国内店舗数は81店舗。その4割の33店舗は東京に集中しており、20都道府県に出店しているものの、東京以外は神奈川10店舗、大阪7店舗だが、他県は1店舗だけも多くまばら状態の出店だ。そのため、けっして効率のいい店舗網になっておらず、物流コストの負担も大きいはず。だが、国内店舗数が減る一方で、海外店舗は110店舗と増加中で、海外ではライクの「焼肉のファストフード」が受け入れられている証だ。ライクの運営元は牛角を創設した西山氏が率いるダイニングイノベーション。多業態戦略で世界13ヵ国に18ブランド510店舗を傘下に有する外食企業だ。人口減少で縮小する国内市場よりも成長が見込める海外市場を攻めるのは他の外食企業も同様の店舗戦略だが、それにしてもコア事業である焼肉ライクの国内出店が伸びないのが心配だ。100店舗の壁とも言われていたが、その店舗数が伸びない理由を企業・競争・顧客市場の3つの視点から検証してみたい。

 (企業の視点)

ライクは、直営店で最適なビジネスモデルを開発設計した上で、その成功の再現性をパッケージ化してフランチャイズ(以下、FC)展開しており、約9割がFC店だ。標準モデルは20坪程度の小型店で必要な開業資金は4.300万円、月間損益は売り上げ1.200万円、原価40%、人件費21%、諸経費8.3%、賃料8.3%、ロイヤリティ5%の費用構造で、営業利益17.3%は業界標準値を大きく上回る設定である。想定する客単価はランチ帯が1100円、ディナー帯は1500円とファミレスや回転寿司をも競合店と意識した価格政策だ。商品は、焼肉・ライス、わかめスープ・キムチのみの単純な内容が中心で、料理提供はセルフサービス、会計もセルフレジだ。注文から提供までのリードタイムは約3分で焼肉のファストフードを標榜している。その結果、お客さんの平均滞在時間も25分程度と短く、客席回転率が高い効率経営で収益を確保するビジネスモデルだ。焼肉を自分専用のロースターで、周囲を気にすることなく、自分のペースで堪能できることが訴求ポイントだ。メニューは、580円セット(税込)~2200円セット(税込)のラインナップで、追加肉もハーフサイズで280円(税込)から好みの部位を注文できる。約80%が1人客だが、テーブル席もあり2人以上にも対応している。米が高止まりしている今、17時までご飯も食べ放題とは大食いの人には嬉しい。

ライクにFC加盟するのは、企業全体の価値を高める狙いの企業が多く、エリアフランチャイジーとして契約する企業も多かった。同業者では新たなブランド展開、異業種であれば本業の補完事業を目論んでいたようである。しかし、収益力の高い新規事業と期待して加盟したものの計画通りに進んでいないのが実情のようだ。例えば、ラーメンチェーンの幸楽苑と2019年にFC契約を結び、共同で店舗開発をしていく計画だったが、2022年末時点の12店舗がピーク。現在は本業回帰に方針を変更しライク事業は停止している。また、オートバックスのFC加盟店であるバッファローフードサービスも、最大8店舗を運営していたが、その後6店舗と減らしてその状態から変わっておらず、外食事業の黒字化を優先しているようだ。異業種からの参入はコア事業と関連のない新規事業はシナジー効果が少なく、また組織内の位置付けが微妙な場合は失敗するケースが多い。自社のポートフォリオに収益性の高いブランドを組み入れてリスク分散と企業価値を高める狙いなのに、収益性や将来性が乏しければいつまでも存続させることはない。そういった加盟企業の経営方針に左右されるのが法人を中心としたFCビジネスの負の面だ。業界未経験でも自社で一から開発しなくても早期に成功の再現性を享受できるから加盟するもの。そのため、強固な支援体制があり、未来永続的に儲かるビジネスモデルでなければならない。FC運営は経営理念共同体を前提に、チェーンとしての統一性を遵守するが、他人資源を活用するだけに直営店ほど厳格な管理統制は難しい。双方の利害が一致せず調整が困難となれば契約解除となってしまう。天下一品を集団離脱した三田製麺所の運営元であるエムピーキッチンが最たる例だ。

 (競争の視点)

大手チェーン焼肉店も一人客用の席やメニューを用意するなど、一人焼肉に力を入れてきている。また、一人焼肉の独自ブランドを開発し、事業化している焼肉チェーンも存在する。そういった流れで、一人焼肉店を見かけるようになったが、ライクほど多店舗化はできていない現状だ。客席回転率の向上を図っているため落ち着かず、薄利多売のビジネスモデルは魅力的な収益ビジネスではなさそうだ。少し高くてもいい焼肉が食べたいというお客さんもいるだろうが、そういう人は効率性追求型の店より、もっと落ち着いた雰囲気の店に行くのではなかろうか。ワンカルビを展開するワン・ダイニングも、一人焼肉店の「お肉屋さんのひとり焼き肉」を6店舗出店しているが、店舗数は伸びておらず、他も伸ばしている店は見当たらないのが現状だ。ライクのメニューは現在、590円定食からある。これは焼肉としては低価格で魅力ではあるが、当然ながら肉の量が少ないから物足りないのが実情。ご飯が食べ放題とはいえ肉の量が少ないからハーフサイズを追加するが、追加するとやはり1500円くらいになるから結局は割高感のイメージが残ってしまう。それくらい出せばファミレス型焼肉店のランチの方がお得感があり、ゆったりとした空間で食べられるから、ライクにとってはそういう店も脅威な存在になる。

 

(市場・顧客の視点)

そもそも焼肉は家族やグループで特別な日に食べる食事である。価格競争力で優位性を確保したファミレス型焼肉店が勢力を拡大。ファミレス型は4人~6人用のゆったりとしたテーブルを中心に配置したレイアウトが標準タイプだ。多人数で利用することを前提に店舗面積が大きく空間も快適な雰囲気に設計されている。だから、広々とした店には一人では行きにくいもので、店側も一人客では売り上げが伸びず、席効率や作業効率が悪いから、あまり歓迎してこなかった。しかし最近は、一人で外食する人が増え、一人焼肉を食べることにも慣れ、抵抗感も薄れている。 また、生涯未婚率の上昇などを背景に、単身世帯比が34%と高まっており、2040年には約40%に達するとの厚労省の推計だ。加えて、家族と同居していても生活のパターンやリズムが違うという理由から、一人で食事する機会が増えており、一人焼肉店にはビジネスチャンスの到来のはず。高齢化が進展しているが、今の高齢者は肉食シニアとして存在感を発揮しており、若者世代以上の需要規模があることも見逃せない。だから潜在需要は多いように推察する。

(現状の課題は)

円安の影響による仕入れコストの上昇から想定原価率を順守するのは困難になっている。しかし、安さを売りにしている店とはいえ、品質を落としては顧客離反が起きるのは当然。適切な値上げして品質を維持することが今の外食では必要である。ライクは低価格セットをフロントエンド商品(安く気軽の注文できる商品)として誘引し、バックエンド商品(本格的商品)に誘導。そして、追加品目を促す仕掛けで客単価の向上を狙っている。タッチパネル注文でも黒毛和牛など高価格メニューを推奨販売し、セットも2200円の高価格メニューの存在をアピールしている。そうやって、効率追求型から効果追求にシフトし、採算を重視しているようにも見える。しかし、低価格のイメージが定着しており、提案内容が中途半端になっているのではなかろうか。確かに、これだけ輸入牛が高騰すれば原価率が高くなり、低価格にこだわっていては利益を減らすだけだ。追加点数を増やすようハーフサイズ品を増やしてはいるが、狭小店舗のため、席も狭くゆっくり寛げないイスでお客さんもいろいろ追加しながら焼肉を堪能するという店にはなっていない。その結果、食べたらすぐ帰るというお客さんが多く滞留時間も短く単価も上がっていないのが課題のようだ。

 

(まとめ)

中小企業基盤整備機構によると、焼肉店1回の利用にかける費用は、最も多い回答は「3,000円~5,000円未満」が32.8%で、次が「5,000円~1万円未満」が23.5%、さらに「2,000円~3,000円未満」が19.4%と続いた。現在、焼肉業界では焼肉きんぐが最も勢いがあり、出店を加速させている。同店は食べ放題中心で税込3,278円~4,818円が基本プランで、アンケートでもっと多い層に照準を合わせているようだ。食べ放題は価格が決まっているから売り上げは安定するが、お客は元だけは取りたいと食べる気満々だから店とのせめぎ合いである。輸入牛肉に依存する食べ放題店にとっては、今の円安は大きな痛手だ。店も食べ放題の追加が高騰する牛肉へ集中して原価が圧迫することを回避するため、サイドメニューを充実させてそれらへの注文に誘導するように仕掛けをしている。食べ放題はいくら焼肉を目当てに来ているとはいえ焼肉ばかりは食べられない。いろいろな料理を食べられて顧客満足を得ながら店側も原価を抑制できて利益を確保するといった良好な関係を構築しないと再来店してもらえない。きんぐは相当の工夫をし、確実に利益を確保しているから店舗数を増やせるのだ。一方、同じく輸入牛肉を多く使用するものの、単品販売のライクはそういった手法は取れない。追加単品の積み上げで単価を上げるか、若しくは低価格でも客席回転率を上げて一席当たりの売り上げを確保させなければ利益の確保は困難だ。お客さんも物足りないからと追加注文すれば結果的に高くなり、自分の予算上の制約から、なかなか注文できず我慢することになる。その結果、不満足で帰っているのではなかろうか。情報社会の今、お客さんが持つ情報量も多く店側の情報優位性がなくなりつつある結果、今までその非対称性から得られていた店側の利益も減ってくる。価格のリーズナブル性を維持しながら、効率よく食事を提供できるビジネスモデルの構築が店舗存続の分水嶺となる。

 

変革に新風を巻き起こす異端児のバーガーキング!

 

バーガーキングは2025年12月、全国各地に25店舗を一挙にオープン。これらを含めて2025年度は計85店舗を新規に出店させたことになり、総店舗数はついに337店舗に到達した。2028年の600店舗体制に向けて、来年はさらに新規出店を加速させる計画で相当な強気の姿勢である。バーガーキングは直火焼きの100%ビーフパティとフレッシュな野菜を特長とする大型本格バーガー 「ワッパー」を中心に、味と品質にこだわったメニューを提供。同質化されたハンバーガーが多い中で独自性を発揮し、競合他店との差別的優位性を図っている。それらを、日本中で気軽に体験できることを使命として全国での展開を目指しており、消費者もそれを期待しているようだ。バーガーキングは一度、日本市場から撤退し、復活をかけて再上陸したものの浮上への糸口がつかめずに、苦戦を強いられ続けてきた過去を払拭しV字に向けた回復フェーズに入っている

ハンバーガーに対する消費者の意識は!

ぐるなびの調査によると、飲食店のハンバーガーを月に1回以上食べる割合が最も多かったのは30代男性。女性でも30代が他の年代よりも多く、4割半ば存在する。ハンバーガーを食べる頻度は2~3年前と比べると全体的に減少傾向にあるが、30代がハンバーガー消費を牽引しているとのこと。 「普通のハンバーガー」の適正価格を聞くと、600円未満(500円台まで)の回答がほぼ9割。物価高騰から低価格ではなく付加価値創造型のハンバーガーが増えており、単品でも500円を超えるものが多く中には600円~700円台のものもみられる。1個のハンバーガーに出せる上限金額は1000円以内が8割超。価格を考慮しながら食べたいハンバーガーを狙って食べに行く、上がる価格を許容しながら好きなハンバーガーだけは食べに行くなど、の消費傾向があるようで、それらを踏まえた商品戦略が重要だ。

 

バーガーキングの驚異的な出店加速は続くか!

急速な勢いで出店を拡大するバーガーキング。2028年末までに全国600店舗計画で、まずは業界2位2位のモスバーガー(1,308店舗)を猛追する。11月に今まで資金支援をしていた香港の投資ファンド「アフィニティ・エクイティ・パートナーズ」が、バーガーキングの日本事業を米金融大手ゴールドマン・サックス(以下、GS)への売却が決定。GSは飲食事業に参入し認知度をさらに向上させる狙いだ。バーガーキングの経営者の能力と意欲が高く、GSが有する経営ノウハウや資金力を発揮して支援することでハンバーガー事業がさらに飛躍する可能性が高いと見込み、想定700億円とされる投資規模に見合ったものと判断。強力なパートナとの連携強化でバーガーキングの目標店舗数は絵空事ではなく現実味を帯びてきた。

物件探索には店を支えてくれる顧客予備軍からの情報を受け共有!

「あなたの街にもバーガーキングがやってくる!」をキャッチフレーズとして、全国各地に出店にふさわしい空き家物件を募集するキャンペーンを実施。多くの顧客予備軍を巻き込んだ話題づくりとブランド認知度の向上は巧みなマーケティングである。2025年5月~6月の期間、日本全国から空き物件の情報を募集する「バーガーキングを増やそう シーズン2」キャンペーンでは、応募総数2万8400件超の物件情報から出店交渉を行った結果、バーガーキングのイメージに合致した物件11カ所で新規出店を実現。立地タイプは主に買い物中の休憩に利用できる大型ショッピングモール内や通勤・通学に便利な駅前などに新規出店を予定だ。

 

 

バーガーキングの変遷は!

バーガーキングは1993年、1972年にスタートしたマクドナルドやモスバーガーよりも21年遅れて参入。日本での運営会社が変更されるなど出鼻をくじかれたスタートだった。90年代後半には、低価格戦略で他社を圧倒的に抑えてきたマクドナルドが平日半額キャンペーンなど積極的な販促を繰り返したことから顧客を奪われ業績が悪化。2001年には日本市場から一度撤退したのである。その後、2007年に日本へ再参入したものの、試みた改革が効果を得られなかったなど紆余曲折があり、長く低迷状態を脱却できない時期が続いた。2017年、香港の投資ファンドに経営権が移った後の2019年の店舗数は77店店舗まで縮小。なかなか再生できない状態を浮上させようと運営元のビーケージャパンホールディングスに入社したのが現社長の野村一裕氏である。マーケティング戦略や新商品開発、ブランド開発などを強化し市場での存在感を発揮してきた。社長が変われば会社も変わるお手本のような事例で、そして2023年1月より社長に就き陣頭指揮を執っている。それ以後は回復の兆しが顕著で2020年末には約110店、2021年末約140店、2022年末約175店、2023年末には約200店と毎年著しい伸長度を見せてきた。その成長要因は①コロナ禍のテイクアウトやデリバリー需要の急増、②積極的な販促政策③商品の価値向上、である。特に、②の販促については比較販促が消費者に分かりやすく功を奏したようだ。ハンバーガー市場で独走するマクドナルドを標的にした比較広告とSNS発信によるゲリラ戦が面白いと話題になり認知度が高まった。③の商品価値の向上も競合他社の大半のパティが鉄板焼きなのに対し、直火焼きで余分な油を落としスモーキーな味わいに仕上げていることだ。高価格帯のグルメバーガー店であれば実現可能な味をチェーン店だからと妥協せず、直火焼きで顧客満足を追求しているところが特徴であり強みでもある。中でも主力商品の「ワッパー」の存在は大きい。ワッパーとは「並外れた大きさ」の意味で、ワッパーは他社の標準商品の約1.5倍の大きさだ。価格も高めだががっつり食べたい人のニーズを充足している。もともと味については優位性があり文句なしの商品だ。価格面でも、低価格戦略で他社を圧倒して市場をリードしてきたマクドナルドも付加価値創造型に路線変更したことと、物価高騰の中で価格を段階的に引き上げてきており、ワッパーとの価格差が縮小してきたことから、改めて商品価値を顧客に認めてもらってきたようだ。またスマホのアプリ会員になればお得感満載のキャンペーン価格で購入できる特典を付与しており、会員数の増加で顧客の囲い込みも順調である。

 

 

 下剋上を狙うバーガーキングはさらに顧客の身近に出店し機会損失を軽減することが課題だ。そのため、店舗数の拡大を急務としているが、そのために直営店主体の店舗運営から、フランチャイズ(以下、FC)も推進している。他人資源を活用した早期の店舗展開で出店スピードを加速させていくようだ。2024年には10年ぶりとなるFC店の出店を再開している。経営理念を共有しながら近くに店舗ができることを待ち望んでいる顧客の要望に応えると共に潜在需要の顕在化も狙っている。但し、FC展開は成長局面ではあまり問題が表面化しないが、業績が下降気味になると問題の擦り合いとなるから、この点は課題だ。

 

ハンバーガー市場の競争状態は!

ハンバーガーチェーンの店舗数(2025年11月時点)は1位のマクドナルドが3,003店舗と独走状態。2位モスバーガー1,308店舗とは約2,3倍の差がある。それらに3位ケンタッキーフライドチキン、4位バーガーキング5位ロッテリアが続いている状態だ。上位2社の成長率を店舗数でみると微増ではあるものの、確実に店舗数を伸ばしている。5位のロッテリアはゼンショーによる買収後、新ブランドのゼッテリアに業態転換するなど社内調整中で店舗数が減少。6位サブウェイはワタミが買収し再生中だ。カリスマ創業者の渡辺美樹会長が先頭に立ち「打倒マクドナルド」をスローガンに3,000店舗を目標にしており、脅威な存在になりつつある。ハンバーガー市場は、上記の大手チェーン店と存在感を増しつつあるグルメバーガーで市場を形成。2000年代初期頃のマクドナルドのように、低価格戦略で競争優位性を確保する店はこの物価高の今は存在せず、プチ贅沢需要に対応した高付加価値バーガーを積極的に導入した結果、客単価上昇による収益の拡大を実現する店が多い。新商品の開発も独自性ある付加価値バーガーをスキミングプライス(上層吸収価格)による市場への投入が多い。

バーガーキングにとって脅威な存在は!

バーガーキングもさらなる高みを目指す上で、首位を独走するマクドナルドの存在は脅威だ。マクドナルドは店舗数3003店舗、全店売上高(FC売上高含む、24年12月期)8291億円と圧倒的な売上規模を誇り、営業利益率も11.8%と高収益体質で今期(2025年、第3四半期累計、1月~9月)も現段階で13.7%とさらに収益力が高まっている。営業戦略も巧みで単価が上がって客数に影響が出ないように、①期間限定で主力商品を値引き、②お得なクーポンの積極的配信など積極策を講じている。値上げにより客数の減少が止まらず客単価の上昇で補完し事業の永続性が疑問視されている店を反面教師にした営業戦略だ。2位のモスバーガーも売上高・営業利益とも前年を上回っており業績は好調ではあるが、売上高は962億円で、マクドナルドに店舗数は2.2倍、売上高は8.6倍の差をつけられている。モスバーガーは消費の二極化に対応するため、引き続き価格のグラデーション化戦略(レギュラー商品、プレミアム商品、超プレミアム商品と価格を段階的に変化し購入意欲を喚起)を推進するようだ。競争地位別戦略でみると、業界2位のチャレンジャー企業としてリーダーと同じく全方位にターゲットを拡散。差別化された商品力を武器に売上基盤を強化。リーダー猛追しながら差別的優位性のある商品力で、自社より小規模の企業からもシェアを奪いながらリーダーのシェアを超えることを狙う戦略だ。だからバーガーキングの事業ドメイン(顧客・機能・技術)の動向を見ながら仕掛けてくるから要注意である。またプライシング(価格設定)が栄枯盛衰の分岐点になるともいわれる外食業界でもマクドナルドは非価格競争を展開することが推察される。なぜならば、価格競争に埋没すると規模が大きい自らが最も損をするからだ。その点を踏まえた価格政策が重要である。加えて、下位企業のヒット商品をよりうまく市場に早く浸透させることが経営資源の豊富なマクドナルドには可能だ。他社の新商品やサービスを模倣し、他社の差別化を無効にして戦闘意欲を低下させるのも可能だからである。だからバーガーキングもIP(知財)戦略のさらなる強化が成長するには不可欠だろう。

 (最後に)

業界1位のマクドナルドは他社の追随を抑制しながらリーダーの座を維持するだけでなく、シェア拡大を図りながら需要自体の拡大も狙っている。需要が拡大すれば自らが一番得をするから、その戦略は当然だ。マクドナルドの卓越したマーケティングは業界でも有名で、芸能人を使ったテレビCMなど広告にかける費用は相当だが、営業利益率の高さを見れば、最大規模の売上で吸収しているから、費用対効果の高さが如実に数字に表れている。考え方によってはもっと広告宣伝をしてもらいハンバーガー人気が高まれば、バーガーキングとしても、今の勢いなら連動して売上が増え店舗数が伸ばせるかもしれない。プラス思考で考え利用すべきは利用した方が得策だ。そうして今後も成長を期待したい。

 

中華チェーンの中でぶっちぎりの様相を呈する「餃子の王将」

(2025年11月16日作成記事です)

  

あらゆるコストの上昇で値上げを実施し、客離れが進む店が増えている外食業界の中で、値上げを繰り返しても業績を伸ばしているのが「餃子の王将」。全社売上高(FCへの出荷売上を含む)が45ヶ月連続で同月比過去最高を更新中である。その好調な業績を背景に、未出店の多い関東圏への出店を強化し現在の1.5倍にする方針だ。そして東日本を重点的に攻めて現在726店舗を1000店舗にする計画である。年商は1110億円、経常利益も10.2%(25年3月期実績)と安定。自己資本比率も76.8%と財務基盤も盤石である。店舗数も中華チェーン1位の725店舗(25年10月末時点)を展開中だ。さらなる発展のチャンスを掴みかけている今、自社の強みを最大限に活かして進めるために奔走している。

 

 

 頻繁な値上げで顧客離反が顕在化!

餃子の王将は、2年間で5回の値上げを実施したことが話題となったが、「今までが安すぎた」と理解を示す常連客が多かった。こういったブランドロイヤリティ(店舗への忠誠度)の高い常連客を囲い込んでいるのも店の強みで、多少値上げしたくらいでは揺るがない顧客基盤を有している。しかし、餃子の王将のキャッチコピーである「安くて美味しい」が消えつつあると不満の声があることも事実だ。単品では満足できないお客さんにとってセット商品を注文すると1000円を軽く超えるから、ランチなど日常の食事にはなかなか行けない人も増加中だ。そのため、今期上半期(4月~9月)既存店の客数が前年比99.7%と前年割れしている。売上は前年を+7.5%と大きく上回っているが、それは客数の減少を客単価上昇で補完しているからだ。この客数減に歯止めをかけるため、来店金額に応じてもらえるスタンプカードの倍増キャンペーンを頻繁に実施し、ロイヤルカスタマーの獲得に向けた販促活動を強化。25年10月現在、餃子の王将公式アプリのダウンロード数が600万DLを突破している。

 

 さらなる成長に向けての課題!

課題は店舗数が伸びていない関東圏への出店強化だ。関西発祥の餃子の王将だから、関西での知名度は圧倒的に高く、強固な地盤を確立しているものの、関東圏では先行する日高屋と幸楽苑の後塵を拝している。特に大阪が159店舗に対し東京は68店舗と極端な差がある状態で需要規模に店舗数が連動していない。最も大きいマーケットである関東圏での店舗数を増やしていくことが成長には必須だが、なぜ今まで店舗数が伸びなかったのかを、3C(市場・競争・自社)から探ってみたい。①市場環境面:「町中華」と呼ばれる地域に根ざした大衆的な中華料理店のブームは今もなお続いている。圧倒的な数の個人店は個性の発揮で人気を博しているが、店主の高齢化、後継者不足、物価高騰、人手不足などの課題を抱えて、廃業する店が増加中。対して、中華チェーン店は幅広い客層に支持されており、個人の技術や経験に依存せずに組織的対応された安心感の提供で市場シェアが高まりつつある。競争環境面:関東圏にドミナント出店する日高屋や幸楽苑など先行する競合店の存在は参入障壁でもある。それら競合店に真っ向から対抗し優位性を確保するのは、全国展開で経営資源が分散している現状では競争条件上は不利である。しかし、全国展開を円滑に推進するには東京での成功で知名度と収益力を向上させることが重要。東京を中心とした関東での成否が、今後を左右する試金石となる。

自社環境面:統一された基本メニューは同様の扱いだが、本部から与えられた予算を順守すれば店舗独自のメニューを開発できるといった運営上の裁量権を認めている。その裁量権を与えられた店長には相当の経営知識や店舗運営技術が必須だ。DX化を推進するより人による接客や調理を重視しており、店舗を任せられる人材不足から関東圏に本格参入できなかったのではないかと思う。ムリな出店は顧客対応力の低下を招き、自社ブランドを傷つけることになるから躊躇したのではなかろうか。

 

 

 関西と関東では味が微妙に違う!

熱々のふんわり玉子と特製餡が絶妙の天津飯。関東エリアでは出張などで様々な地域から来店されるお客さんが多いから、タレも3種類(甘酢・塩ダレ・京風ダレ)から選択できるようになっており、自分好みにチョイスできるのが人気だ。

しかし、店舗での手作り感を重視してはいるものの、店舗によってばらつきがあるのが実情でまだまだ運営力が脆弱な面は否めなかった。また関東より関西の方が美味しいと言われているが、手作りのため調理人の知識・技術・意欲が味を左右するので、店舗の運営力が大きく影響していたのではなかろうか。   

関東への出店目標は達成できるか!

創業57年の歴史と共に、知識・技術・運営ノウハウを蓄積してくる中で、確実に店舗運営力は強化されてきた。収益力、資本力、ブランド認知度の強化、人材確保などの体制が確立できた今が、積極展開のチャンスと捉え市場シェアの拡大を狙っている。東西で異なる好みや微妙な味の違いは修正をすればいいだけで、チェーンとして全国展開する以上、柔軟に対応しながら仕組化すれば問題はない。頻繁なテレビCMの実施でブランド認知度も向上してきたから、関東で出店も容易になってきた。埼玉に設置している製造工場の稼働率を向上させるためにも、店舗数の増大が必須だ。工場はセントラルキッチンと食材の配送拠点機能を有しており、餃子の餡、皮、中華麺、肉加工、スープなど、店舗で必要な主要食材を製造している。店舗で使用する食材・消耗品なども各工場にて大量一括仕入れすることでコストダウンと店舗の負担を軽減しているが、より効果を上げるためには出店数の増加は必須。そういった後方支援も強化されてきており、今まで関東への出店強化のタイミングを伺ってきたが、ようやく機が熟したと判断し計画を発表したようだ。

 関東で迎え撃つライバルチェーン! 

餃子の王将の関東への出店計画による競争激化で関東を拠点とする日高屋は迎え撃つ体制を整備している。店舗数業界3位の日高屋は1973年、餃子の王将より1年早い創業だ。最新設備を導入したセントラルキッチンである埼玉県の行田工場を中心に、関東圏に468店舗(25年10月末時点)を直営店で出店している。関東の1都6県で展開中ではあり、年商(25年2月期)は455億円だ。ROE(自己資本当期利益率)は16.1%と投資効率も高く、財務基盤も自己資本比率75.1%と盤石だ。今期に入って上半期は前年に対し売上が前年比+14.4%、営業利益+31.8%と好業績で、営業利益率11.7%の高収益だ。主要コストである原価率が前年より1.3%増加したものの30.3%に抑制できており、これはセントラルキッチンによる効果だろう。日高屋は、①ドミナント戦略とセントラルキッチンによるコスト優位性を確保しながら、関東の駅前・繁華街に出店し、調理コストと物流コストの削減により70%超の売上総利益率を20年以上継続させている。②幅広い需要に対応したメニューを提案しており、食事だけでなく「ちょい飲み」の動機も促し来店機会を高めている③直営店舗中心の多店舗展開を実現。品質均一化・維持、ブランド力向上、社員教育、店舗管理の機動的かつ統一化を徹底。今後も、日高屋業態を中心に①駅前型店舗の出店継続②駅前商業施設内の出店 ③郊外型店舗の開発・出店加速で、北関東、北陸、東北などに100店舗出店し、700店舗体制を目指すようだ。  

業界4位の幸楽苑も脅威な存在だ。

幸楽苑は昭和29年(1954年)創業と最も歴史がある中華チェーン。収益機会の増大に向けエリア拡大や多業態を展開し収益機会の多様化に取り組んできたが、現在は「幸楽苑」の国内及び海外におけるチェーン展開に専念している。北海道・東北圏、甲信越・中部圏、関東圏に359店舗出店しており、中華チェーン4位の店舗数だ。2024年10月に完全子会社であった株式会社幸楽苑を吸収合併し、商号を「株式会社幸楽苑ホー ルディングス」から「株式会社幸楽苑」へ変更した単一事業会社だ。26年3月期上半期の実績は売上高144億4700万円(前期比+5.4%)、営業利益7億5500万円(同+76.5%)で、既存店の売上は(前年比)110.3%、客数109.8%、客単価100.5%と順調に推移しており、自己資本比率は54.2%と財務基盤は安定している。現在、中期経営計画「幸楽苑レジリエンス」にて、ブランディングの強化を推進中だ。それは自社工場を活用した製造直販で積極的なメニュー開発を行い、定番商品を中心に季節商品と限定商品にも新たな価値を創出することで、新規客の誘致と既存顧客の来店頻度の向上を実現。いつ来店されても飽きのこないメニューラインアップを提供し「幸楽苑」ブランドの定着を図っている。

 

 餃子の王将の提供価値は日高屋・幸楽苑より勝るか!

一人客からファミリー客まで幅広い客層に支持され、これだけ値上げをしているイメージがあっても、店内は活況を呈している。少量盛りのメニューであるジャストサイズは個食が増える中、一人客の酒の肴としてありがたく時代のニーズにも合致。主要顧客であるファミリー客にはいろいろ一品メニューを注文して分け合い家族団らんの場として活用する価値が大きい。また、コロナ禍で来店客の減少を補ったテイクアウト需要は現在も好調で業績向上に貢献している。セントラルキッチンへの過度な依存がなく、コックさんが威勢よく料理を仕上げる手作り感のある料理が魅力の一つである。本部がチェーンとしての統一性を遵守させる一方で、各店舗には最低限の数値基準を守らせながら裁量権を持たせて自主性を引き出している。これらを実現させるため、人材育成には相当力を入れており、料理人を育成するための王将調理道場、店舗のマネジメントを学ぶ王将大学、などの教育システムを充実させ、常に人材の質的向上を図っている。接客サービスは、DX化でロボットを活用する外食チェーン店が増える中、あくまでも人を中心としたホスピタリティある接客を目指し、外部講師を招いて接客トレー ナー研修の実施、清掃マニュアルのブラッシュアップによる徹底した衛生管理など従来の弱点克服に力を注ぐ。但し、店によってばらつきがあるのは弱点の一つで、まだまだ改善余地があることは今後の継続課題だ。異なる立地タイプ・店舗規模に加え直営店・FC店と多様な経営形態を「餃子の王将」ブランドで管理するのは難しいが、お客さんには関係ないから、店に対する期待を裏切らない努力を重ねているようである。

餃子の王将は値上げした分を賃上げの原資にし、人を大切にする企業としてイメージ向上につなげている。春季労使交渉で2025年は平均30,139円の賃上げで、直近3年間の賃上げ率は約29%だ。これらで中長期的にブランドを支える人材を確保中だ。外食業界では人手不足が深刻で、採用競争力の向上や社員のつなぎとめには、待遇改善が欠かせない。このように報酬アップや正社員を育成する会社の姿勢に従業員エンゲージメント(愛社精神や愛着心)は向上したようだ。

今期上半期の実績では主要コストである原価率も仕入れ食材の高騰の中で31.9%と低く安定しており原価管理技術のレベルが高い。本業の儲けである営業利益率も標準値の9.8%を確保している。財務の安定性も自己資本比率が74.6% と高く財務基盤も盤石だ。町中華ブームが続く今、中華が食べたいと思ったら一番初めに想起するのが「餃子の王将」という人は多く、品質と価格のバランスでは、まだまだ競争上の優位性がある。多くのお客さんの期待に応えながら拡大路線を走るため、料理・接客のさらなる質的向上を目指した取り組みを継続中だ。この顧客提供価値を高め続ける姿勢が、今後も店に対するブランドロイヤリティ(店舗への忠誠度)を向上させ、顧客生涯価値(Life Time Value)を高めるだろう。

 

順調に店舗数を伸ばしたものの、出店が踊り場状態の「肉汁餃子 ダンダダン」

 

 

経産省の調査によると、「パブレストラン、居酒屋」は、2007年をピークに低下を続けており、居酒屋需要の低下は顕著で、価値を訴求できない店の客離れが止まらない。その結果、撤退する店が多く、既存の居酒屋大手チェーンは業態転換や軸足を成長業態に移行させるなどの戦略の見直しなど事業の再構築を急いでいるようである。居酒屋市場は、創作料理など高付加価値を追求する店と低価格を武器にする店との二極化の状態だ。そういった環境下ではあるものの居酒屋市場がなくなることはないと考え、新たなコンセプトで市場に積極参入する企業も散見される。そういった中、コロナ禍でも出店を続け、コロナ収束後に経済活動が正常に戻った時には業績が過去最高益を更新し注目されたのが、「肉汁餃子のダンダダン」だ。同店はコロナ禍~コロナ収束後も成長を持続させてきながらも、現在は踊り場状態にあり苦戦を強いられているのが実情だ。今回、その状態を取り上げてみたい。

 

「肉汁餃子 ダンダダン」とは‼️

 

2001年、現代表取締役の井石裕二氏が(有)ナッティースワンキーを設立し、2007年に株式会社に組織変更。ラーメン店など様々な業態を出店して飲食事業で様々な経験をした後に、元々餃子が好きだったこともあり、餃子をメインに、女性も気軽に飲める店を作りたいとの強い思いから業態の開発を決意。そして一つ一つ手包みでどうしたら美味しくなるのかを探求し、こだわりの肉汁餃子を開発した。2011年1月に老若男女問わずみんなが好きで流行り廃りもなく、永く愛される餃子を出す店として「肉汁餃子製作所 ダンダダン酒場 調布店」を開店。ダンダダンの名前の由来は、この美味しい肉汁餃子を世の中に広げていく為にみなさんが一回聞いただけで、覚えやすく発音しやすくインパクトのある店名と勘案。「ホップ!ステップ!ジャンプ!」とテンポよく世の中に知れ渡り、より多くのお客さんに食べてもらいたいという想いを込めて「ダンダダン」という名前を選定したそうだ。

 

商品の特徴は‼️

 

「肉汁餃子のダンダダン」の餃子の特徴は、口の中にパッと広がる肉汁だ。全粒粉(7%)を配合した香り高い皮は、もちもちしっとり、焦げた部分はパリパリ。肉肉しく食べ応えがある餡と旨味たっぷりジューシーな肉汁を一滴逃さず、手包みで包み込んだこだわりの餃子だ。毎日食べても飽きない、この唯一無二の絶品肉汁餃子が同店の自慢だ。本場の中国では主食とされる餃子は、米が主食である日本ではおかずか酒のつまみとされており、様々な活用をされる商品だが、何もつけなくても美味しい仕上がりとなっているのが特徴の一つでもある。同店は肉汁餃子以外の逸品メニューも多数用意されており、飲み動機への対応を強化している。テイクアウト用の生餃子はモンドセレクション3年連続で受賞している。

 

 

運営会社は‼️

 

運営する株式会社NATTY SWANKYホールディングスは、飲食事業に特化した単一事業を運営している。「肉汁餃子のダンダダン」を展開する株式会社ダンダダンと食品製造工場の「GRIP FACTORY」を傘下に有する持ち株会社で、東証グロース市場に上場中だ。製造会社である「GRIP FACTORY」は、飲食事業のさらなる多店舗化に向けて、24年2月に完全子会社として設立。グループ全体の収益基盤の拡大に向け、餃子の生産体制を構築している。まだまだ軌道に乗っていない状態で計画の半分ほどの進捗だ。業務内容は、自社の肉汁餃子のダンダダンの餃子製造、及び他社外食企業の餃子などの製造を受託し外販もしていく。内部だけでなく外部飲食企業の製造受託や販売を通じて工場の稼働率を高め、グループのシナジー効果を発揮し収益力を高めていく計画だ。今期、増員したことで安定した生産を可能にし、強固な生産ラインを確⽴。 製品保管倉庫も外部へ拡大したことで在庫確保数も増大。街の中華料理店、大手飲食店、小売店など外販契約数も徐々に拡大中で、今後に期待ができそうとのことだ。

 

出店の勢いは止まった状態‼️

 

「肉汁餃子のダンダダン」の出店は、2015年20店舗、2016年30店舗、2017年50店舗、2018年60店舗、2019年80店舗、2020年90店舗、2021年100店舗達成、2022年110店舗、2023年130店舗達成と1年で10店舗~20店舗を新規に出店するなど順風満帆の出店状況だった。その後、2024年12月に143店舗まで増やしてきたが、今期(2026年1月期)に入り、9月に4店舗閉店するなどで、現在は138店舗(直営店103店舗、FC店35店舗、25年9月末時点)と減らしており、尚且つ、出店は止めている状態だ。今は店舗数を広げるより、既存店舗の充実と製造子会社のテコ入れを優先課題として対策を講じているようである。同社の出店戦略は、関東圏は直営店中心の出店、地方はFCを中心とした出店だ。

 

業績の動向は‼️

 

通期の実績の推移を時系列で見ると、前期(25年1月期実績)は、連結売上高72億円、営業利益200万円と僅かであり収益率の低さは深刻な問題だ。費用構造上の課題が多く低収益となっており、利益の内訳を見ると、ダンダダンは約1億円の営業利益を出しているが、製造会社が営業損失9,200万円となっており減益の主要因である。その結果、売上高72億円あるのに200万円と極端に少ない営業利益になっているようだ。売上高の内訳を見ると予算比で、直営店売上高は100.8%、製品卸売上(製造会社)50.1%、FC売上90.9%、その他売上(フランチャイズ店舗の転貸借料など)103.9%と、なっており、製造会社の予実差異が大きい状態だ。利益低下の根源となっている製造会社(GRIP FACTORY)だが、主な原因は工場の稼働の開始時期が遅れてしまったことと、設立したばかりで軌道に乗っておらず投資回収が遅れているからである。連結売上高は前期が既存店の回復と価格改定による大幅増収で前期(23年1月期)比20%の大幅増収だったことからの反動減もあり2%増にとどまっている。営業利益は原価率28.2%と物価高騰の中でも低く安定しているが、販管費が最低賃金法の改定や猛暑による電気代の高騰など販管費を抑えきれず、急減したようだ。ちなみに同社の営業利益に関しては、24年1月期の売上高70億61百万円、営業利益4億37百万円、営業利益率6.2%が過去最高益で、それ以降は下降気味だ。最高益だったその期は、販売価格の改定を実施し、原材料価格の高騰分を吸収できている。価格を上がることによる客数減が想定されたが、単なる値上げではなく顧客提供価値を上げたことをお客さんに評価してもらったことで客数の減少も限定的だったようだ。

 

今期(26年1月期)に入っての業績は‼️

 

今期の中間業績(25年2月~25年9月)は、全店ベースで売上高103.8%、客数105%、客単価98.7%と前年は上回っているが、計画に対しては下回っており、営業損益も赤字状態になっている。内訳を見ると計画比で、直営店売上高は93.8%、製品卸売上(製造会社)32.5%、FC売上70.5%、その他売上(フランチャイズ店舗の転貸借料など)105.7%と、製造会社が収益向上の足枷となっているようだ。販管費をコントロールしたものの、売上高(計画比87.8%)が伸びず営業損失額も増加。売上高低迷の原因は、①直営店の客数減、②餃子工場の外販契約遅れ、などで、営業利益の低下の原因は①外国人採用による前払費用の増加、②コメなど原材料価格の高騰、などである。今期もエアコン工事により1か⽉休業した店舗や施工調整による開店が遅れたなどの不測の事態、主⼒商品の値上げ影響による客数減、などから売上構成比で9割を占める直営店売上高は前年を超えているものの、計画には6.3%の未達成、製品製造卸事業が餃子工場の外販契約の遅れで67.5%の未達成となっている状態だ。その結果、営業利益は第一四半期-85百万、第二四半期-258の営業損失になった状態だ。26年度通期では直営店舗の客数減及び餃子工場外販契約の遅れなどの要因を加味した結果、売上高で-15.2%の72億円、営業利益-3億9千万と下方修正をしている。

財務状態と資金繰りは!

現預金月商倍率も約1.6カ月となっており、現金払いが多い外食店とはいえ一般的に2~3カ月の現預金が必要とされる中で不足気味であることは否めない。今は売掛金に占めるキャッシュレス決済の比率が高まってきており、今後の対応が必要と思われる。この上半期で、キャッシュフロー(以下、CF)も、営業CFが-50、投資CFが-140と、フリーCFは-190だ。出店を抑制することで投資CFの負担は軽減されるが、新店出店によるキャッシュ創出力の低下は否めず、この状態が続けばキャッシュ不足が懸念される。自己資本比率も55.3%から今期の上半期終了時点で47.9%と7.4%低下。財務基盤はまだまだ安全圏ではあるものの、この脆弱化傾向に歯止めをかけなければならない状態だ。

 今後に向けて‼️

 

商品政策として、5月から約50店舗で平日限定ではあるが、餃子定食だけでなく麻婆豆腐定食などバリエーション豊かな品揃えにしており、ライスの食べ放題も実施している。また学生が多い店舗では低価格の飲み放題を実施し、集客力を高めているようだ。販売促進策として、ファンに愛される人気アニメとのコラボレーションを実施しご来店機会の創出。 TVアニメ「ダンダダン」コラボではアンケートご回答者のうち、約87%の方がこのコラボをきっかけに来店されたそうで効果は大きかったようだ。その他デジタルマーケティングにも力を入れ、集客力を高めているようだ。他店との差別化策としてサービス力の強化も掲げている。居酒屋チェーンはその低価格の安心感を重視し、接客サービスの質を後回しにしてきた結果、安いだけなら家飲みでいいというお客さんを増やしてきた背景がある。外食の価値を提供できず、外食から総菜を買って家で飲むといった家飲みを増やしてしまったことを反省し、同店はサービスの質的向上を目指しているところだ。安くて高品質な商品と真心あふれる笑顔で気の利いたサービスを維持向上させるために必要な人材の教育に力を注いでいる。そのために、様々な取り組みや労働環境の改善、働きがいのある会社づくりを行っているのだ。その甲斐あって2018年、2019年と2年連続で働きがいのある会社ランキングでベストカンパニーに入賞、2019年ホワイト企業大賞で「人が輝く経営賞」を受賞している。従業員満足=顧客満足という外食の方程式の順守をどこよりもうまくやることを心掛けているようだ。同店は「街に永く愛される、粋で鯔背な店づくり」を経営理念に、昔からその街にあったような地元の人に愛される店づくりを目指している。現在、身の丈に合った経営の徹底で出店を控えているが、経営基盤を強固にしながら、さらなる飛躍に向け成長のアクセルを踏んでもらいたい。