「すかいらーく」と「サイゼリヤ」だが、両社の業績には明暗が分かれている。「すかいらーく」は赤字に転落しそうだが、「サイゼリヤ」はコロナ前の業績を上回るなど好調である。「すかいらーく」は傘下にがストやバーミヤンなど多種多様な業態を持ち、外食業界ではゼンショー、マクドナルドに続く売上ランキング3位の企業だが、「サイゼリヤ」はほぼイタリアンのみである。縮小する今の外食市場では多業態による拡大均衡とリスク分散よりも、業態集中によるリターン向上の方がいいのだろうか。
他の業態がコロナ前の数字には届かないものの業績をある程度回復させているのに、コロナ前の半分くらいしか売上を戻せていない居酒屋業態。そんな環境の中鳥貴族はサントリーの完全子会社「やきとり大吉」を買収した。売上は5.4億円と小さい本部運営会社だが、加盟店が520店あり商流規模は100億円ある。年商202億の鳥貴族と合算すると相当なスケールメリットがあり、このM&Aは大吉、サントリー、鳥貴族の「三方よし」となるようである。
その鳥貴族も他社と同様で人手不足で運営に困っている。そこで新たに導入したのが新FC制度である。社員への暖簾分け制度と同様だが、グループのインフラを活用しながら、独立した経営者としての自覚と経営意欲をうまく喚起する仕組み。小規模店を郊外立地に出店し、鳥貴族「○○家」と店舗ごとに独立社員の名前を冠する。一国一城の主となり自己責任の元で頑張れるか。それとも勤め人から解放され自己中心の運営と気楽さを求めて店舗を崩壊させるか、のどちらかだ。