コロナ禍でも「餃子の王将」は、売上構成比が4割まで拡大した持ち帰りやデリバリーが好調で業績を伸ばしている。
この店の優れた点は、あれだけ安くボリューム感がある料理でも原価率が30%と原価管理技術が優秀である。
またオペレーションの効率化も図れており、他のチェーン店と比較しても販管費率も低く利益が出やすいのも特徴。
客単価1000円だから一人当り700円の粗利益を確保でき、販管費も低いから飲食店にしては高収益のビジネスモデルである。
お客様が満足し店もきちんと利益を得るのはいい事だなと思う。これが事業継続・繁盛店の秘訣だろう。
一方で、焼き鳥の専門店である「鳥貴族」だが、2022年7月期の最終損益は久しぶりに11億円の黒字になったようだ。
3月下旬からの通常営業で客数が若干戻っているが、本業の収益力はまだまだの状態での最終黒字への転換だが、その理由は時短給付金のようである。売上は前期比30%増の202億円、営業損益は24億の赤字なので時短協力金が加わったのが大きい。
4月に値上げし、客離れが心配されるが、どこも値上げしているんで先がどうなるかはわからない。今後も原材料高や人件費負担など課題が多く大変な経営を余儀なくされる。
そんな中、「鳥貴族」はサントリー子会社である「やきとり大吉」を買収する。「やきとり大吉」は中心顧客が40〜60代で立地は住宅街などが中心である。
一方、鳥貴族は20~30代の若年層が多く立地も繁華街が中心で、互いの顧客を食い合うカニバリゼーションは起きにくく、共存共栄できると両ブランドを併存させる予定である。
元祖焼鳥店であり、私も昔よく通ったもので、焼き鳥はこの2店舗が地域の圧倒的なシェアを占有しそうである。
合併と違い子会社化だから、企業文化の無理やりの統合もなさそうで、異文化融合に苦しむことはなさそうだ。
今年に入り世界中で商品の争奪戦が激化し原材料価格や物流コストが急騰中で、そこに円安とこれから外食産業を取りまく環境は厳しくなる。
それらは、日本が世界市場で買い負けしているからで、特にマグロや牛肉などは顕著である。かつて世界2位の経済大国だった日本は上得意様だったが、今は経済発展で購買意欲が爆発した中国や東南アジアが上客になってきている。