中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

デジタル化の進展でカスハラが増加!

 

 

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コロナ禍の感染対策として実施された非接触型の運営スタイルがコロナ収束後も定着し、ファミレスチェーンを中心にデジタル化が進展しています。

 

その結果、お客さん自らが操作しないと購入が出来ないセルフサービス化にうまく操作ができず、高齢のお客さんが、店員に暴言を吐いたり、執拗に不満や理不尽な主張を繰り返す、「カスハラ」が目立つようになりました。

 

 

人手不足の解消を目的に、セルフ化していることもあるのに、逆に客につきっきりとなり、操作も義務付けされ、店側も人手を取られ、オペレーションに乱れが生じています。

 

 

今まで、「お客様は神様です」と重宝されてきて、顧客第一主義に慣れていた高齢層も、急速に進むセルフ化に相当なストレスが溜まっているのでしょう。

 

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先日も、天丼チェーンの「さん天」に行った際、入口に設置してある券売機の操作に手間取る高齢者がうまく購入できず、店員さんを呼ぶ人が何人もおられました。

 

 

お昼のピーク時にホールが満席の状態の中、少人数で捌いている状態の時に、何度も自販機の操作のヘルプに呼ばれ、料理が持っていけず困っていました。揚げたての天ぷらを持って行けず美味しさは半減するでしょうね。

 

 

外食チェーンの「ロボット化」で客離れが起きる恐れがあると心配する声があります。人手不足や感染対策で各社が競うように導入を急いだ配膳ロボットですが、その理由は高齢者がついていけないからです。

 

子供は配膳ロボットに大喜びかもしれませんが、高齢者は配膳ロボットの扱いが分からず、料理が到着した時の対応と肉体的負担に苦労しておられます。

 

快適な食事をするために店に来たのに、逆にストレスが溜まっているようです。

ファミレスに入ると、奥から「お好きな席にどうぞ」と店員の声が声がけし案内すらしないのが常態化しています。

 

そして卓上に置かれたタブレット端末で注文し、運んできたのは配膳ロボットです。会計はセルフレジで、店を出る際に背後から「ありがとうございました」と人間の声が聞こえてくるだけで店員さんと遭遇することがない時もあります。

この、来店~注文~ドリンク提供(ドリンクバーのセルフサービス)~料理提供(配膳ロボット)~会計(セルフレジ)の一連の流れに、高齢のお客さんはついていけてないですね。

最近は朝モーニングが人気ですが、ゆったりと座れるファミレスもその事業機会を狙っていますが、高齢化社会でますます増える高齢者に対応したオペレーションになっていませんね。

 

高齢者の多くはフルサービスのコメダ珈琲店などに流れていっているようで、これからもその傾向が増えていくかもしれないですね。

セルフの注文も会計もやり方が分からず、長い時間をかけて試みても結局は独力でできず、店員を呼ぶ高齢者も多く、むしろ時間を取られるて客席回転率もていかしてしまう。くつろぐこともできず、常連だった高齢客の客足が遠のき、売上が低下してしまうことになる。

 

せっかくゆったりとした空間で落ち着けるレイアウトになっているファミレスなのに、オペレーションの整合性がなく、もったいない話です。

大手ファミレスの「すかいらーく」は、昨年末迄に3000台の配膳ロボットをガストなど傘下の業態、約2100店に導入したようです。

 

人とロボットが協働したオペレーションの確立で作業効率を高めるようですね。

 

 

 

 

 

 

 

あるファミレスではランチピークの回転率が2%上昇、片付け完了までの時間が35%削減、従業員の作業歩行数は42%削減しているとのことですが、しかし、経費抑制に対し顧客満足度も含めた効果はいかがなものかと思います。

 

 

 

先日、中華ファミレスに行きましたが、ラーメンを配膳ロボットがゆっくりと運び、餃子を店員さんが運んでいるなど滑稽な光景を見ました。

 

ラーメンなどはお客さんが料理を取る際にも危なく、また麵が伸びやすいという商品特性があります。

 

使う人間が、料理を考えて客席に提供する必要がありますが、それができておらず、がっかりしたものです。

 

また、ファミレスなど一食完結型の料理提供の業態の場合は、配膳ロボットでも活躍の機会は多いでしょうが、焼肉食べ放題などで一品料理の追加がやたらと出る業態は、従業員と配膳ロボットが入り乱れ、オペレーションが煩雑になっている感じがします。

 

こういう場合はロボットを活用しない方が作業も混乱せずに、いいなと思ったものです。

少子高齢化がより一層進展し、お客さんの数も減りますが、働き手の数も減ることが予想され、労働集約型の飲食業界のスタイルはこれで定着しそうですね。

 

しかし、過剰な顧客第一主義は顧客を勘違いさせる要因になり、おススメはしませんが、顧客のストレスを発生させることなくある程度の顧客起点の発想でオペレーションを考えてほしいものです。

外食はハレの場でお祝い事でよく使われ、また人と会う機会を提供するコミュニティの場です。外食の社会生活に於ける果たす役割は大きく、いつまでも必要とされるように店を磨き上げられることを期待したいです。