幅広い層から愛されているラーメンですが、食材・光熱費の高騰や人手不足・賃金の上昇などが影響し、倒産する店が増えています。
特に資本金や従業員数の少ない個人企業のラーメン店の存続が厳しく、物価上昇などの状況が変わらなければ今後もさらに倒産件数の増加が予測されます。
せっかくコロナが収束し、人流が復活し、インバウンド効果で外国人旅行者も増えてきたのに、もったいない話です。
ラーメンがいくら人気食だといっても、経営が絶対安定するとは限りません。開業希望者は、しっかり最初の運転資金を確保してオープンさせましょう。
ラーメン店経営は簡単そうで難しいのが現実です。
ラーメンは6000億円の市場があり、国民食とされるくらいの人気市場で、人口減少が進む中でも、ラーメン市場が縮小することはなさそうです。
しかし、人気市場だけに参入業者が多く、競争は激化しています。各店とも、個性ある工法、商品内容、価格などでの差別化を図っていますが、競争優位に立つのは大変そうですね。
価格も1000円の壁があり、その制約条件の中で、各店は競いあっているようです。
日本のラーメンは世界的に見ても品質が高く、美味しいと絶対的評価があり、人気ラーメン店の行列に外国人観光客が並ぶ光景も珍しくありません。
外国人旅行者はその美味しさに感動してくれています。
でも、先ほども述べましたが、最近の経営環境を見てみると、物価高騰や水光熱費の上昇でラーメン店も経営が難しいのが実情です。
加えて人手不足や賃金上昇の負担もあり、廃業が相次いでいます。
採算が取れないから、段階的に価格を上げて客の動向を見ますが、競争が激しいから、顧客が他店に行くのではないかと心配し、なかなか上げられないようですね。
物価の高い米国ではゆで卵や焼豚などオプションの付加や飲食税・チップを加算すると20ドル(約3000円)と、高額のラーメン1杯になるようです。日本では考えられない価格ですね。
価格決定要因には、①コストプラス法②需要志向的価格決定法③競争志向的価格決定法があります。
コストプラス法のようにかかった費用に自店の利益を加えて売価にすれば簡単で赤字になる事はありませんが、そう単純に行く話ではなく、お客さんは価格に敏感です。
特に今のように賃金上昇が物価高騰に追いついていかない経済状況では、需要志向や競争価格志向が価格決定要因に大きく影響します。
最近、近くでラーメン店を開業する準備をしているご夫婦に遭遇しました。
ご夫婦がお互いに好きなラーメンを実際にやってみようと退職金を元手に居抜き店舗を賃借し開業する予定です。
ずっと会社勤めをしていて飲食店の経営経験がなく、美味しいラーメン作りの為に繁盛店に修行することなくやられるようで、すごい大胆な行動に驚きました。
廃業が多く費用構造的にも逆風が吹くラーメン業界の中、この挑戦は無謀すぎないかと心配します。
ラーメンを好きの日本人。ラーメンの食べ歩きをしてSNSに投稿することを趣味にしている人も多くおられますね。
また、インバウンド効果で外国人旅行者にも日本の高品質のラーメンは高い評価で人気店はいつもいっぱいです。
ラーメン店は比較的簡単に開業できると思う人が多いし、また、素人でも趣味の延長で経営が可能と思いがちなので、ラーメン店を開業したい考える人が増えています。
定年して、会社人生を終えたサラリーマンが、人生100年時代まで、たっぷりある時間をどう有意義に過ごすかを考えた時、ラーメン屋でもやるかと単純に考える人もいます。
やってみたら、そんなに簡単ではなかったと後悔すると思います。当然ですよね。
人気店になるのはとても難しく、開業から1年以内に閉店するラーメン店は実に4割、開業から3年以内にはさらに3割近くが閉店に追い込まれているのがラーメン業界の実情です。
安易な気持ちで開業する人たちが増え続けることで競合店数は増え続け、多くのラーメン店が価格競争に埋没し、結果的には閉店へと追い込まれています。
開業費用は決して安くありません。老後の生活資金として蓄えていたお金を無駄に使わないようにしないといけませんね。
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写真は人気ラーメンチェーン「丸源ラーメン」
食べ放題で人気の「焼肉キング」と同グループの「丸源ラーメン」は、お客さんでいっぱいの人気店です。昼時の1人客が座るカウンター席の回転率は計算すると相当でしたね。
この店は料理提供も早く、20分間隔でお客さんが入れ替わります。粗利益も十分確保しているような価格設定になっており、これだけ効率的(粗利益×客席回転率)に入ると、儲かるでしょうね。
こんな感じで儲かる仕組みができていれば、収益性・成長性・将来性がありますね。
働いているスタッフさんも元気で感心しました。
多くのラーメン店が、逆風が吹く経営環境の中、頑張っておられるようです。
窮地に立たされているラーメン店の為にも、可能な限り足を運んで応援しましょう。