中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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コロナ禍の勝ち組とされた焼肉店の倒産が急増している。

コロナ禍の勝ち組とされた焼肉店の倒産が急増している。

 

 焼肉店業界は、コロナ禍の外出制限でニーズが高まった外食への「プレミア感」に加え、「一人焼き肉」など新たな形態のヒット、テーブルごとに吸気ダクトが備えられた店内設備が「換気がいい=3密回避」のイメージが定着。コロナ禍では外食したくても外出できない為、限られた外食でどうせ行くならと一回の外食で満足したいとの事で、使う単価が高くなっていた。

 

 

他の飲食店と比べ客単価が高いなど、ビジネスモデルの特徴も追い風に、コロナ禍の「勝ち組」として業容が拡大していた一方で、店内オペレーションが比較的簡単といった特徴(例えば焼くという工程をお客さんが担うといったことによる調理負担の軽減))から、焼肉人気に着目した居酒屋やラーメンチェーンなど異業種からの参入が相次いぎ、市場は拡大傾向にありながらも参入業者が増え、既存大手の新規出店も重なり競争が激化した。

 

 

加えて、輸送コストの増加や円安の影響により、安価な米国や豪州産などの輸入牛肉価格が高騰したほか、電気・ガス代、アルバイトといった人件費など運営コストの上昇も重なった。他方、物価高騰による消費者の「値上げ疲れ」も背景に大幅なメニューの値上げが難しく、不採算店舗の撤退などに動くケースも出始めた。

 

こうした経営環境の悪化で、小規模な焼肉店などでは厳しい価格競争に耐え切れなくなり、淘汰される中小焼肉店が増えている。  足元では物価高での節約志向も重なり、外食に「特別感」を求める機会も減っている。牛肉価格の高騰・大手の参入・低価格の三重苦で、焼肉店の経営環境は厳しさが続くとみられる。

 

飲食業は流行りに乗って一瞬はブームになるが、それを継続させるのは困難である。焼肉店だって初期投資が高く、今は円安もあり輸入牛肉の仕入れも高額、客が調理工程(焼く)の一部を自らやるとは言え、競争が激しく差別化を図るためには接客などのオペレーションコストの負担もあり、損益状況は厳しい状態。

 

私も経営していたが、一見簡単に開業できて簡単に成功出来そうと思われがちだが、かなり難易度が高いと思う。特に 今の外食環境は、仕入れ高、光熱費の高騰、人材不足、客が戻らない、ゼロゼロ融資の返済、5重苦に苦しむ店が増えている。

手っ取り早く独立開業したいという希望者は今でも多いが、 素人にはリスクが高すぎるから慎重な判断をしてほしい。