中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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唐揚げ専門店の淘汰が始まる。

 

コロナ禍で急拡大した中食需要の中、冷めても味が落ちにくく、自宅での調理は油を使って汚れるとの事で敬遠されがちな唐揚げだが、手軽な持ち帰り総菜やおやつとして人気を集めた。

 

供給側でも、少ない店舗面積など初期投資が低く、オペレーションが容易でアルバイトでも対応でき、原料も安価な鶏肉であることから、新たな飲食ビジネスとして唐揚げに注目する企業が増えて、ここ3年で爆発的に店舗が増加した。

 

その一方で、急激な出店が続いたことで競争が激化し、市場は徐々にレッドオーシャン化が進んでいる。コロナが収束し、外出制限が緩和されたことで持ち帰り需要も一服感が出てきたほか、円安などもあり輸入鶏肉や食用油など原材料価格も急騰した。他業態と比べて強みだった原価や人件費の安さが活かせず、仕入原価と人件費の上昇に耐え切れずに経営破綻したケースも多く見られる。

 

 

 

そういった理由の元、焼肉店の倒産だけでなく唐揚げ専門店の倒産も急増している。店舗数も仕入れコストもコロナ前の倍近い状態だから仕方ないか。

物価高騰の為の節約もあり、高額で手間のかかる焼肉よりも家庭でも容易に調理できるから、店舗間競争もあり、家庭調理との競争も激しそうだ。

 

和洋中と様々なジャンルの料理に組み入れられる人気メニューで、それを専門にする業態は捨てがたいだけに各社の今後の戦略が注目される。

 

和食さとを中心とした持ち株会社は年初に唐揚げ専門店「鶏笑」を国内外に約250店舗を展開した会社を買収した。唐揚げのテイクアウト事業に参入して中食需要の取り込み、低価格帯のポートフォリオを強化を図っていくようだ。ここは、加えてグループ一括買い付けによる原材料のコストダウンや既存事業とのコラボによりグループシナジーも狙うようだ。

一過性のブームだったタピオカや高級食パンと違い、国民食の代表で老若男女問わず人気の食べ物だから消えることはなく、市場は安定規模に落ち着くだろうが、今後のから揚げ市場はどうなるか気になるところである。

 

安くて美味しいは当然に必須条件だけにその他の差別化要素も組み入れ競争優位性を確保した店が残るであろう。唐揚げ店の廃業が急増する中で今が買いか。