中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

老舗飲食店の経営継続に向けて

 

老舗飲食店が店主の体調不良で店を休みがちとなり、加えて、後継者不在などの問題もあり、これでは店を継続することは困難であると、長い歴史に幕を閉じるというケースが増えてきました。

 


 



やはり、高齢になると、体力・気力が低下し、積極的に考え行動することが難しくなるんでしょうね。

 

そんな中、その店の長年のファンが、自分にとってはなくてはならない店との強い思いから、代々受け継がれた味と店を守ろうと模索する動きもあります。

 

その店を愛顧する地域の多くの皆さんがその味を守り続けたいとの思いで、知恵を絞っています。

 

まずは、飲食店を開業したいと希望する若手創業希望者を探し、事業を継続させることが可能な若手に円滑に承継できるよう、金融機関や行政と一体となり対策が講じようとしています。

 

やる気はあるが、自分がゼロから開業するお金がないという創業希望者を探し大切に育てていく計画です。

 

 

私のクライアントの中にも、業歴40年の洋食店を経営されている70代後半の老夫婦がおられます。後継者が不在の中、最近、奥さんが腰を悪くし、店の今後をどうするか悩んでおられます。

 

地域での絶対的な存在基盤があり、なくては困るお店で地域住民の方がその行方を気にしておられます。

 

その店はご主人が創業され、お店独自のオリジナル商品も多数あり人気洋食店です。

 

ですが、個人店特有の運営でして、料理の作り方はすべてご主人に属人化されており、ご主人の勘や経験によるものが多いのが実情で、マニュアルやレシピは殆どありません。

 

 

したがって、味の伝承が難しく、ご主人がこけたら全てこけるといった、ご主人に依存したお店の料理になっています。

 

 

 

 

そして、その人がご主人が有する有形無形の経営資源を円滑に承継できるように、サポートをご主人と共にしていきたいと考えています。

 

もちろん最初はご主人のやり方を踏襲し、習熟度合いが高まって経営も軌道に乗ったら、自分がやりたいことを、どんどんやっていけばいいと思います。

 

 

まずは、経営者が代わっても従来通りの経営ができるように、していかなければいけません。

 

 

調理レシピの数値化や調理手順のイラスト化などで、スキルが未熟な人でも料理に対する姿勢や意欲があれば、同じ仕上がりになるように調理作業をマニュアル化し、実践で繰り返しながら、スキルアップをしてもらいます。

 

しばらくはご主人がマンツーマンで指導しながら、確実に育成できるようにしていく予定です。

 

 

ベンチャー型事業承継のように、先代から受け継ぐ有形・無形の経営資源を活用し、新規事業、業態転換、新市場参入など、新たな領域に挑戦することで、永続的な経営を目指し社会に新たな価値を生み出せるようになればいいですね。

 

こういったケースのように、これからは、老舗飲食店がM&A承継で店を継続させる例が増えていくでしょう。

 

 

売手としては味の伝承、雇用の維持、取引先や顧客に迷惑をかけず、自分が苦労して開業したお店も残せるし、買手としては、熟練調理人や従業員の確保、取引先や顧客を確保、既に実績がありますからリスク回避、時間と初期費用の節約が可能となり、投資回収も早いので、もちろんリスクもありますが、相当なメリットがあります。今後も増えそうですね。

 

 

いろいろなケースがありますが、先祖代々続いていても、将来性があまりない小規模店の場合は、子供には絶対に家業を継がせないと言い切る社長の奥様は多いです。その理由は店に将来性がないからと、見極めているから、子供には苦労させたくないとのことです。

 

 

店主自身も代々続いている家業ですが、自分の代で終わらせるつもりのようですね。

 

「息子は大学を卒業して優良企業に勤め、仕事にやりがいもあり生活も安定しているので、自分は家に束縛され了承したから仕方ないが、子供には自由な選択をさせたい」という強い思いのご主人が言われます。

 

今後も、こういうケースが増えるのは仕方ないこともありますね。