中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

事業承継は難しい。

 

 

 

先祖代々続く家業の後継者と結婚したが、その際、自分の子供には絶対に会社を継がせないと、それを条件に結婚した現社長の奥さん。

 

その理由は会社に将来性がないから、子供には苦労させたくない、子供には自由になりたい希望の職業を選択させたい、との思いが強いようだ。

 

社長自身も代々続いている家業だが、自分の代で終わらせるつもりであり、奥さんの意見には同意している。息子は現在、優良企業に勤め、仕事にやりがいもあり責任あるポジションを任せられている、家庭生活も安定しているみたいで継ぐ気もないようだ。

 

伝統と歴史ある家業でも、残せない現実がある。今後、こういうケースが増えるのは仕方ないかと思うと残念ではあるが、従業員、顧客、取引先に迷惑がかからないようにしていかないといけない。

 

 

 

日本の会社の99.7%は中小企業でその内85%は小規模事業者だが、「事業を何らかの形で他者に引き継ぎたい」と考える割合が63%の中規模に対して小規模は43%、

 

「自分の代で廃業する事もやむを得ない」は中規模5%、小規模は22%との調査結果も出ている。2割の小規模社長が交代せずに、じわじわと高齢化し廃業している現実は寂しいものである。

 

そういった中、注目されているのが、ベンチャー型事業承継である。これは、若手後継者が、家業が持つ有形無形の経営資源を最大限に活用し、新規事業、業態転換、など、新たな領域に挑戦することで社会に新たな価値を生み出すことである。

 


起業家でもなく親と同じスタイルで家業を継ぐ後継者でもない。いわば「ハイブリッド型ベンチャー」であり、事業を残すために選択肢の一つに加える価値はあるであろう。

 

 

 

経産省によると、新規に創業した法人や個人事業主が1年後に生存している割合は約72%。事業計画をきちんと立てずに事業を開始し、その結果の資金不足が原因との事。1年目から黒字を出す事は難しく、起業から3年目の生存率は約50%、5年後は約40%らしい。

 

起業はできても、事業を存続させるのは難しいから、ベンチャー型事業承継はすでに経営資源があり、実績もあるのでリスクは低い。多少の制約条件はあるが、経営資源と経験の乏しい若手創業希望者にはいいかもしれない。