中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

店を不愉快にするカスハラ客!

 

 

ホテルや旅館で従業員に土下座を強要したり、過剰なサービスを繰り返し求めたりする、迷惑客の宿泊を13日から拒否できるようになりました。こうした「カスタマーハラスメント」は宿泊業に限らず、様々な業種で、特に接客業に於いて問題となっています。

 

以前、コンビニで客が一方的にクレームをつけ、店長と店員を土下座させている動画が拡散され、ゾッとしましたが、こういった類の動画はユーチューブで出回っており、情けなく思います。

 

 

これまで原則、「宿泊を拒んではならない」としていた旅館業法が、13日から変わり、悪質な迷惑行為、カスタマーハラスメントを行う客の宿泊を拒むことができるようになりました。今まで拒めなかったのですね。本当に大変だったと思います。

 

私もホテルマンや外食店での勤務経験がありますから、クレームを言う客の対応にサービスを提供する側の大変さが分かります。

 

 

 

テレビ報道によりますと、犯罪心理学が専門で、カスタマーハラスメントの調査・分析などを行う、東洋大学・桐生正幸教授に聞きました。桐生教授が全国2060人を対象に行った調査では、約45%の人が「“カスハラ”した経験がある」と回答しています。

 

 

また、 「カスハラ」をする人にはどんな特徴があるのか問うと、①正義感が強い(自分の意見が正しいと考え、他人にも押し付けがち。)②自尊感情が高い(知識・経験が豊富で、他人の意見を受け入れづらい)③職業的な傾向として仕事のキャリアがある(自分の会社など、労働環境での常識を外に向けても無意識に強いている。)との事でした。

 

 今後の課題については、真心あふれるおもてなしといったホスピタリティ精神は当たりまえ、小さなミスも謝罪するのは当然といった、こうした日本の独自の文化が「カスハラ」を生んだ側面もあるので、今後は行き過ぎた接客など「価値観」を変える必要があります。

 

 

とは言っても。高級ホテルとしては、高額の対価を得るために過剰なサービスの提供は仕方ない側面もあり線引きが難しいですね。

 

 

 

 

 

 

ある定食チェーン店に行ったら、隣席で「この店はできへんの、他の店ならやってくれるのに、頭固すぎるわ」と店員さんに文句を言う中年女性がおられました。

 

聞くと、豚カツ定食で脂を取り除いて提供するように要求したようです。店員さんが断ったため、よほど気に入らなかったのかその後も人に聞こえる声でぼやいていました。

 

 

少しの事なら店側もお客さんの要望に応えるんでしょうが、ちょうど昼のピーク時であったこともあり、その無理難題に対応できなかったんだと思います。

 

飲食店の常連さんの中には、自分のメニューを勝手に作る客もおられ、わがまま放題をいう常連さんもおられ、呆れます。

 

飲食店では売上を安定させる為に固定客の確保が重要になります。その為、新規客誘致~常連化~固定客化に向け相当な努力をします。

 

政治の選挙のように、浮動票より固定票の獲得で選挙活動を安定させるのと同様です。

 

 

こういったカスハラ客の存在は、楽しく食事をしに来た一般のお客様まで不愉快にします。店員さんだけでなく、総ての人を不愉快にするカスハラ客は本当に見苦しいものです。こんなお客がいるから飲食店で働く人が少なくなるのだと思います。

 

 

 

 

お客様とは、基本的にわがままなもので、日本は特に、「お客様は神様です」とお客さんに対してきたこともあり、金を使ってやると勘違いしたお客さんを作ってきました。30年以上にも渡るデフレの中で、お店は安く提供して当たり前、その中でいかにお客さんに差別化した品質の高い商品を提供するかと競争に埋没してきた背景があります。

 

 

 

そのお客様迎合主義が、お客さんをよりわがままにさせた原因でもあります。だから、無理難題を当然のように言う人もおられ、自分だけのオリジナル商品を店側に作らせるお客さんもいます。それを連れてきた客に、なんでも自分のいう事を聞く店を見せて、自分の力を誇示する自慢する輩も存在します。

 

私が飲食店を経営している時も、あまり好きになれないそういう常連さんがいました。私が思うに、それらを全てかなえる必要はないと思います。店にわがまま放題をいうお客さんは店のことをあまり考えてくれないお客さんであり、あまりお付き合いをする客ではないと思います。

 

 

できないことは、できないとはっきりと断る勇気が必要です。そうしないとそのわがままを言う客の要求はどんどんエスカレートして歯止めが利かなくなります。また、それを見て他の客までわがままを言い出したら、店の作業負担が増えるだけです。

 

もちろん、お客様の言い分はしっかり聞くことは大切です。そういうお客様の声を集約し、店の料理やサービスに反映したほうが店にとって最適だと思えば取り入れるのは当然です。

力関係上、客の方が強いとはいえ、あまり下手にでる必要はありません。

 

個々のお客さん向けに、カスタマイズした商品サービスを提供することは単価の高い業態では可能かもしれませんが、あまり単価を望めないファミレスなどはすることは無理があります。

 

 

DX化の推進に於いて、再建した旅館で、仲居さんの各自がタブレット端末を持ち顧客情報を共有化させて、顧客サービスの充実と業務を効率化を両立させたことは有名ですが、それは単価の高い旅館業だからできることであります。

 

 

アナログ手法からデジタル手法に業務プロセスを刷新し、生産性を高めることは、人手不足で苦しむ外食業界では必須となりますが、容易ではありまえん。。

 

私が勤務時代によく「どのお客様も特別扱い」という標語がありました。どのお客様も他のお客さんにわからないように、店にとって特別なお客様としてサービスするようにとの事でした。

 

アルバイト中心の体制が多い外食店に於いては、ちょっと無理がありますが、そういう気持ちで顧客満足度を高めよとの事でした。

 

 

しかし、これも仕組化されていないといけまえん。できる時とできない時があれば、かえって店の印象を悪くします。

 

 

よく「パレードの法則」を用いて、2割の常連様が売上の8割を作ると言って、その2割の常連さんをうまく管理していけば、そういう店に好ましくない客は排除すればいいという理屈があります。

 

ちょっと乱暴な理屈ですが、店を中長期的に支えてくれる2割の優良顧客の基盤を盤石にして、安定した売り上げが達成できる店づくりをしていくことが、必要かもしれませんね。

 

 

 

お客様のわがままもピンキリです。わがままの中にお店の飛躍のヒントが隠されている場合もあります。

お客様のわがままを店の明確な基準で取捨選択し、最適な店づくりをしていきましょう。