人手不足の為に、配膳や調理でロボットを活用する外食店が増加しています。
お客さんは他業種と比べ高い粗利益率(60%~70%、)の外食には、美味しく価値ある料理や真心あふれる接客を求めているはずですが、今の外食を取り巻く環境では、人による付加価値向上はなかなかうまくいかないですね。
ちなみに小売業の粗利益(総利益率)は27%程度です。
作業が標準化されたチェーン店でも、人の良し悪しで店の優劣が決まっていた昔ですが、今は作業が機械化されており、人で競争力を確保することは少なくなっています。
おめでたいお祝い事などの「ハレの場」には、絶対必要なのが外食です。
家庭では味わえない価値ある外食ですが、人だからできる価値の創出が減少し、その価値が薄れていくようで寂しい気がします。
しかし一方で、発想を転換し、人手不足が深刻な現在、人間から機械に労働力を転換することで業務を効率化することが可能となります。
業界の努力ではどうしようもできない、人口減少といった社会的問題を解決する為の手段ともなりそうです。
「大阪王将」は職人の技術を完全コピーした特別仕様の調理ロボットを導入し、人手不足の解消を目指すそうです。
職人の育成には時間を要し、また中華鍋を使った調理は重労働です。しかし、それらをロボ化することで男女や年齢に関係なく、人を補充できそうで、雇用対策も楽になると期待されています。
外食大手は基本的に、「コストレス・ストックレス・コックレス」と、3レスを基本原則にして、ローコスト・オペレーションを確立しています。
特にコックレスは人件費の抑制のために必須です。熟練コックさんと外食大手が目指すチェーンオペレーションとは、方向性が合致しにくく、経営陣からしたら使い勝手が悪いのも事実でしょう。
そういう点からは、人への依存から感情を持たずに使いやすい、ロボットの方がいいかもしれないですね。
個人飲食店では多くの業務でマニュアル化できない勘や経験など高度な職人技を必要とする仕事が多くあり、特定の人物に依存しています。
それを熟練技能者に依存してしまい、彼らはそれらを有する事で店での存在感を発揮させているのが実情でしょう。
それは経営者としては、熟練技能者に遠慮してしまい、経営しにくいので要注意ですね。
業態にもよりますが、低価格のファミレスであれば、「単純化・標準化・専門化」3Sを徹底強化し、人件費の割合を低下させる仕組みの確立は当然です。
企業の目的である、「生産性を向上させる」を実現するには、マニュアル化できない仕事は細分化して分業させる等、けっして属人化させることがないようにしたほうがいいと思います。
その人がいないと店が回らないという現場では、ローコスト・オペレーションは実現できません。
業務を単純化・標準化して、効率化を目指さないといけませんね。
現在、人手不足の為に営業時間や入店を制限する外食チェーン店がまだ多いと聞きます。先日、ある牛丼チェーン店に行ったら、相変わらずワンオペを押し付けられているとアルバイトの人が嘆いていました。中には、アルバイトが欠員ができ一人では営業できないと入口に休業告知の貼り紙をしていたとX(旧ツイッター)に投稿され話題となっていました。
24時間年中無休が当然だったのは昔の話です。経営者としては儲けられるのに儲けられない、この機会損失は悲しいものです。
人にいなければ代替としてロボットを活用するのは仕方ありません。
人をどうしても使いたい場合は、アルバイトを雇う店側も保証せずに雇用の調整弁とし、利用できるといった発想は捨てないと人に失礼です。考え直す必要がありますね。