中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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事業承継 後継者の選定は難しい!


(出典:帝国データバンクより)

 

 

(出典:中小企業庁より)

 

日本経済の喫緊的課題である中小企業の事業承継。事業は黒字なのに廃業ぜざるを得ない現状を何とか打破しないといけない。

 

昔は親族内承継が85%と圧倒的に多かったが、今は親族内・親族外と共に40%程度と拮抗しているようだ。親として本当は息子など親族に事業を承継させたいが、親族内に承継する身内がいなければ、会社のことに精通している従業員に承継する方法が得策でしょう。もちろん最近の傾向としては、M&Aを活用し、外部に売却する選択肢も増えており、昔のようにM&Aに悪いイメージは消えつつある。

 

その従業員承継の最大のメリットは、経営者が後継者を長らく一緒に仕事をしてきたメンバーから選べることである。①後継者の選択肢が親族内より多い、②後継者を能力や意欲で選定できる、③経営理念や組織文化・風土を引き継ぎやすい、等がある。

 

 

 

経営者と資質を持ち合わせている人材をピックアップし、①リーダーシップに長けていて、社内での人望が厚い、②会社の業務に詳しい、③取引先との人間関係の構築も容易。などで評価し選定すればいい。ある程度の実績を残しているので、育成の手間もかけずに済むだろう。

また、長く働いている従業員であれば、会社の事業や業界の商慣習といった実務に加えて、企業理念や社風といった企業文化も理解している。その為、他の従業員や取引先、金融機関からも比較的受け入れられやすい。

デメリットとしては、先代経営者の手法を踏襲する後継者が多く、業績向上には程遠いことである。企業を取り巻く経営環境の変化に適合させた新しい施策の発想が難しく、現状維持に終始してしまう事である。

また、経営者としての適性を見極めようと複数の候補者に競わせると、派閥争いにもなりかねないから要注意で、これをきっかけに敗れた派閥が会社を辞めてしまう恐れがある。候補者の気持ちに配慮しながら客観的な視点で選定作業を進めていく必要がある。

 

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また、ある会社では、後継者を自分を支えてきた番頭に指名した。従業員との関係もできており一体感が維持できるから適任と考えた社長。でも2番手ならいい仕事はできても、社長としての仕事の実現とリーダーシップが取れるかは違う。

 

そういった点を見抜く力が大切である。また従業員には、資産の承継が難しい例が多く、雇われ社長など所有と経営が分離されるなど中途半端な引き受け方では、創業家のわがままで振り回されてしまうことが出てくるから注意が必要だ。そうやって失敗する例はよくあるので気を付けなければならない。

 

事業承継で後継者の選定は本当に難しいし、後継者の良し悪しが栄枯盛衰の分岐点である。