アルコール市場が縮小する中、酒類業界の救世主となっているのがレモンサワーである。酒離れが進む若者にも飲みやすいと売行き好調で、各社も競って新商品を発売して需要を喚起しているようだ。
ビールに代わる食中酒として各メーカーが狙っており、飲食店にとっても原価の高い生ビールより利益貢献商品であるレモンサワーで採算性を高めたいものである。
CMやスーパーの陳列棚での競争も激化しており、缶カクテルと共に人気のようだ。
缶のチューハイやカクテルなどそのまま飲めるアルコール飲料「RTD」は、割安感などでビールからの流入が続き、ここ10年で市場が3・6倍に拡大している。
レモンサワーは昭和の飲み物であり、決して新しいお酒ではないが、「居酒屋の味を家庭で」と、各社が商品開発を強化している。キリン・サントリーなどのCMは強烈であのコカ・コーラまでもが、このレモンサワー市場だけだが酒類市場に参入してきている。
そういった要因に加え、新型コロナの感染拡大による巣ごもり消費が後押しし、市場が拡大中だ。新型コロナの収束が不透明の中、今後も「店の味を家で」という傾向は続きそうだ。
何だかんだ言ってもオリンピックも盛り上がっており、家呑み需要の増大も加わり、ますますの伸びが期待されそうである。
(日刊工業新聞より)