中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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相続で揉めることはあり得ないと思っている人は要注意!

家は大した財産もないし、残された者もみんなが仲がいいから、相続で揉めることはあり得ないと思っている人は多い。

 

しかし、昔は仲が良かった兄弟姉妹でも、各々が独立して家庭を持つようになれば、自分の家の利得を優先し、少しでも財産を他の者より多めに欲しがるものである。その為に昔の仲の良かった頃のことは忘れ、我欲を前面に打ち出す相続人も多いので要注意である。

 

 

遺産相続では、法定相続よりも遺言による相続が優先されるので、遺言書を残すことで、相続人間の争いが大きくなることを防止できる。

 

だが、本人は縁起が悪いからと一向に作成しようとはしない。家族や周囲の者も本人になかなか切り出しにくいのが実情だ。

 

そうして「その内、その内」とずるずるしている内に本人が認知症になったり、最悪は亡くなるなど、不測の事態を招いたりするものである。

 

結局、残された者たちの我欲のせめぎ合いで家族分裂状態を招いてしまった、ということはよくある。こういった事例を示しながら説得するも、本人はまだ「うちは大丈夫」と永遠に他人事なのだ。

 

 

自分の死後、残された者が「争族」とならないように、事前の対策を講じて、心配事のないのんびりとした老後を、過ごされてはいかがだろうかと、繰り返し助言をするが、「我が家は資産がないから争続になりようがない」と笑う本人。

 

遺産相続で揉める家を相続財産額別に見てみると、最も多いのが1,000万円超5,000万円以下の層で約43%を占めている。

 

 

1,000万円以下の約32%を含めると、全体の8割近くが資産5,000万円以下の層だ。相続のもめごとは、お金持ちが資産を奪い合うようなイメージがあるが、実際には資産が少ない方がもめやすいのである。

 

また、以上のように、遺言書は「私には関係ない!」と考えている方々が多いが、どんなに少ない財産であっても、遺言書がひとつあることで、その後の手続きが、スムーズに物事が進むケースが多いものである。だから遺言書は必要なのである。

 

 

遺産相続は被相続人の死後、相続は当然に行われる。各種手続きも必要で、これが残された人に負担をかける。

 

預貯金などは被相続人の死後、その人の銀行口座は自動的に凍結し、引き出したり解約や財産移転の際の手続きは、想像以上に大変である。

 

 

相続法改正で預貯金も相続財産になった。

 

 

今までは相続財産扱いではなかったのに、金融機関が厳格な手続きを要求していた。

 

その為、被相続人の死後の預貯金の出金には苦労したろうが、今後は当然に相続財産になるのでまた大変である。その現実に法律が合わされるようになったのだ。因みに、上限はあるが、各相続人分の三分の一までは葬儀費用等で出せるようだ。

 

 

 

このように、遺言書がないケースと遺言書があるケースでは、解除までの手続きの手間が格段に変わってくるものだ。

 

 

 

 

細やかな部分まで、残された家族が困らないよう、遺言書で配慮できたら安心である。けれども遺言書が有効でなくては意味がないことを再認識せねばならない。

 

 

遺言書には3種類あり、確実に執行される遺言書を選ぶならば、「公正証書遺言」が最も安心だが、コストと手間が掛かる。何故ならば、法律の専門家の助けが必要だからだ。

 

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手書きの遺言書(自筆証書遺言書)に人気がある理由は、手軽であるからだが、これも一方できちんと法律に基づき書かなければ、無効になる可能性が高い。

 

せっかく書いて安心していても、いざという時に役に立たなければ意味がない。具体的には、規則に則って内容を書いたら、封に入れ閉じる必要がある。

 

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(自筆証書遺言書)の基本としては、

 

・遺言書の表書きは「遺言書」「遺言書在中」 ・最後には必ず、書いた月日と

 署名、捺印が必要。

・封筒の扉には割り印を押す。

・封筒の裏面にも、書いた日付と署名、捺印。

ちなみに自筆証書遺言書の場合、何度でも書き直すことができるが、他の人が修正できないよう、封と割り印を押して保管しておく、などにも気をつけなければならない。

 

 

そして遺言執行者を指定した方が、後々が無難である。特に揉め事を起こしそうな相続人がいる場合や死後認知などややこしい処理が必要な相続の場合は必須である。

 

執行人を指定することで、遺産相続や様々な手続きが、円滑に処理できるので指定しておこう。

 

自筆証書遺言書は自分でいつでも準備が出来て、最も手軽な遺言書でありながら、その規則をしっかりと理解して準備をしなければ、せっかく書いた遺言書が無効になってしまうことを認識して慎重に作成しましょう。

 

もしも確実に遺言書を有効にしたいのであれば、繰り返すが公正証書遺言がおすすめである。内容を変更する時には、再度手間やコストが掛かるデメリットもあるが一番安心できる。

 

 

また、自分の人生の終焉で大切な家族が、分裂することなく永遠に仲のいい家族でいられるよう、付言事項としてのメッセージも添付しよう。

 

付言事項とは、 法律に定められていないことを遺言書で付言する事項のことである。法定遺言事項についてされた遺言は法的な効力を有するが、付言事項については法的な効力はない。

 

だが法的に効力を持たなくても,相続人らに残す感謝の言葉など最後のメッセージを付加し残された相続人たちのよくや感情を抑制する役割になることもある。

 

法律上相続人らを拘束する効力はないが,遺言者の最後の意思を表明したものだから,尊遺言者の生の言葉でつづられていたような場合には尊重されることもある。

 

相続人間での遺留分の主張に基づく争いを防止する効果も期待できる筈である。永遠に仲の良い家族でいてもらう為に、「備えあれば憂いなし」で、遺言書を用意しておきましょう。

 

 

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(相続法改正ニュース)

 

相続に関するトラブルを防ぐために、民法では、誰が相続人となり、また、何が遺産にあたり、被相続人の権利義務がどのように受け継がれるかなど、相続の基本的なルールが定められている。この民法の相続について規定したのが「相続法」である。

 

この度、相続に関する法律が40年ぶりに改正された。相続の実態に法律がついてきてなかったので、改正されたのである。

 

相続法は、昭和55年(1980年)に改正されて以降、大きな改正は行われていなかったが、高齢化の進展など社会環境の変化に対応するための大きな見直しだ。

 

<相続法の主な改正内容>

 

1.配偶者居住権を創設

配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人が所有する建物に住んでいた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用することができる権利。
建物についての権利を「負担付きの所有権」と「配偶者居住権」に分け、遺産分割の際などに、配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付きの所有権」を取得することができるようにしたもの。配偶者居住権は、自宅に住み続けることができる権利だが、完全な所有権とは異なり、人に売ったり、自由に貸したりすることができない分、評価額を低く抑えることができる。このため、配偶者はこれまで住んでいた自宅に住み続けながら、預貯金などの他の財産もより多く取得できるようになり、配偶者のその後の生活の安定を図ることができる。

 

2.自筆証書遺言に添付する財産目録の作成がパソコンで可能に

これまで自筆証書遺言は、添付する目録も含め、全文を自書して作成する必要があった。その負担を軽減するため、遺言書に添付する相続財産の目録については、パソコンで作成した目録や通帳のコピーなど、自書によらない書面を添付することによって自筆証書遺言を作成することができるようになる。

 

  3.法務局で自筆証書による遺言書が保管可能に 

自筆証書による遺言書は自宅で保管されることが多く、せっかく作成しても紛失したり、捨てられてしまったり、書き換えられたりするおそれがあるなどの問題があった。、こうした問題によって相続をめぐる紛争が生じることを防止し、自筆証書遺言をより利用しやすくするため、法務局で自筆証書による遺言書を保管する制度が創設された。

4.被相続人の介護や看病で貢献した親族は金銭要求が可能に

相続人ではない親族(例えば子の配偶者など)が被相続人の介護や看病をするケースがあるが、改正前には、遺産の分配にあずかることはできず、不公平であるとの指摘がされていた。今回の改正では、このような不公平を解消するために、相続人ではない親族も、無償で被相続人の介護や看病に貢献し、被相続人の財産の維持または増加について特別の寄与をした場合には、相続人に対し、金銭の請求をすることができるようになった。(政府広報オンラインより)