中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

中小企業診断士と行政書士の違い!「ここが違う」

 

これから受験しようかと検討中の方から「中小企業診断士」と「行政書士」の資格についてよく質問を受ける。両方の資格を持つ私の主観が入った感想だが、中小企業診断士に合格したら経営全般の体系的・理論的な知識を有することになるので、少し背伸びすればすぐに実務が可能である。

 

 

合格革命 行政書士 基本テキスト 2019年度 (合格革命 行政書士シリーズ)

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事前に顧客さえ有していれば、即開業してもやっていけるであろう。診断士の試験勉強の際に幾多とケーススタディで問題解決能力を養っているはず。基礎知識の応用で数をこなして経験値を高めれば、差別的優位性のあるコンサルタントになれるであろう。

 

 

 

しかし行政書士は試験内容と実務が乖離しており、すぐに実務というのはとても無理な話である。だから開業までの準備期間が相当に必要だと思う。行政書士の試験をトップクラス(満点に近い点数)で突破しても、そういう人が実務に於いてもトップクラスとは限らない。

 

その点、中小企業診断士の試験をトップクラスで突破する人は相当のコンサルティング知識を有するので、実務に於いてもトップクラスの座をキープする可能性が高いであろう。もちろん、不揃いの解答で知られるように中小企業診断士の試験では幾多の解答があるもので、実際のコンサルティングに於いてもそれは同様であり、絶対に正解と言うのが難しいものである。これがコンサルティング業務と行政書士業務の違いでもある。

 

 

 

試験の難易度だが、中小企業診断士は受験者の多くは働いており、少なかれ多かれ仕事に関与しているから、馴染みのある科目もあり、ある程度の基礎ができている人も多い。だからあまり縁のない法律系の行政書士より中小企業診断士の方が勉強に入りやすいと思う。勤めている部署にもよるが、働いている人の中で憲法や判例について勉強している人はあまりいないであろう。

 

私の場合は、中小企業診断士を取得した際に、けっこう経営法務を得意にしていたので、法律系の資格も取れるのではと思ったのが行政書士の受験動機である。実際に行政書士に於いてもその知識(民法・会社法)があったのは大きかったと思う。

 

中小企業診断士は一次で7科目、二次で4事例、それをクリアすれば12月のクリスマスあたりに口述試験(面接みたいなもの)があり、試験だけで計4日間必要だ。

行政書士は1日(午後からの3時間)だけである。但し、3時間1本勝負で休憩なしであり結構きついものである。

あと、平均勉強時間は中小企業診断士が1.000時間、行政書士が500時間と言われるが、私的にはもっと必要だと思う。特に中小企業診断士の一次試験は7科目あり、この試験もけっして浅く広くではなく、けっこう掘り下げた学習が必要になっており大変苦労するものである。

 

 

みんなが欲しかった! 中小企業診断士の教科書 (上) 2019年度 (みんなが欲しかった! シリーズ)

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受験費用は、中小企業診断士は1次・2次を合算すると30.000円必要だが、行政書士は7.000円で済む。テキストなど教材費用も中小企業診断士は1次・2次があり、単純に計算しても相当高い。

 

また中小企業診断士を独学で受験する人は行政書士と比べると少なく、その予備校費用も含めると中小企業診断士の資格取得に必要な費用と時間は行政書士よりも相当必要ではないかと私は思う。中小企業診断士は1次試験を合格すれば、養成課程を各機関で勉強して資格取得するルートもあるが、こちらも桁違いの費用(200万~300万)が必要で相当ハードルが高い。

 

 

 

 

 

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このように中小企業診断士と行政書士では資格取得に於いて相当な差があるが、独立開業となると両方とも事業継続は難しいものである。だから中小企業診断士は費用対効果から勘案すると受験するか否かは、けっこう判断に迷ってしまうだろうと思う。

 

ちなみに中小企業診断士・社労士・行政書士での各年収を比較すると、平均はさほど差がないように見えるが、成功した中小企業診断士の年収がずば抜けて高いようで羨ましい話である。やはり業務の性質上、コンサルティング業務は高額報酬が得られやすいようだ。

 

 

 

人気度で見れば、日経新聞の調査で取得したいビジネス系の資格で、中小企業診断診断士がトップとなっている。人気の要因は、①経営全般を網羅した試験であり、ビジネススキルを高めるために格好の資格であること、②これから士業の天敵とされるAI代替率が最も低く、AIが進展してもなくならないクリエイティブな資格に位置づけられていること、が挙げられる。

 

行政書士の独占業務は許認可など相当数(1万以上)が法律で守られているが中小企業診断士は独占業務がないとよく言われる。逆に独占業務がないから他士業の独占業務に抵触しなければ何でもできるという事だ。

 

また独占業務についての解釈だが、それは法律で規定する独占業務がないという意味であり、中小企業診断士しかできない仕事がない訳でもない。例えば、中小企業診断士は公共の経営相談を行うために必要とされる資格である。

 

 

 

 

最後に中小企業診断士と行政書士の絶対的な違いは認知度である。中小企業の為に存在する中小企業診断士を中小企業社長は知らない。行政書士は知っていても中小企業診断士は知らないのである。

 

私が行政書士を取るきっかけの一つに、中小企業診断士の認知度不足の為に、営業活動がやりにくいという悩みの解決があった。まず認知度のある資格で中小企業に入っていき、門前払いを回避した上でコンサルティング業務を受託するといったやり方を取る人もいる。

 

 

中小企業診断士もマーケティングの専門家を標榜する以上、自分たちの資格の認知度向上にも努めなくてはならない。診断協会ももっとプル的販促を実施して援護射撃をしていけば中小企業診断士の存在価値を社会にアピールできて協会自治の組織率も向上していくなど好循環につながると思う。