中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

中小企業の現状を再確認しよう②

変化が激しい経済社会環境の中で先行き不安や

大企業による大規模な業界再編、少子高齢化

よる国内マーケットの縮小、急速なグローバル

化による海外企業の日本進出、日本企業の海外

進出による国内産業の空洞化等により中小企業

を取り巻く環境は厳しさを増している。だが、

このような経営環境の中でも、廃業を検討して

いる経営者の約3割が同業他社より好業績業績

であり、半数は黒字高収益企業だ。ではなぜ廃

業を検討するのか?

それは事業を継続したくても、自分の後を引き

受けてやってくれる人、或いはやらせたい人が

いないのである。この後継者がいないのが最も

大きな原因になっている。中小企業の先行き不

安により、主な後継者候補である経営者の親族

が会社を継ぎたくないケースや、反対に息子や

娘が継ぎたいと思っていても今後想定される厳

しい世界で生き残り成長発展させるだけの能力

を子供が兼ね備えていないため継がせることが

できないというケースも散見される。

経営者交代率も減少しており1975年〜1985年

の10年間で平均約5.0%あった経営者交代率が

2011年には2.5%にまで落ち込んでいる。これら

の現状を踏まえた上での対策が求められる。


また、時代や価値観の変化により、子供が親の

会社を継ぐことが当たり前ではなくなってきて

いる。家督相続はもう昔の話で子供達は家業が

あろうがなかろうが自由な意思に基づき自分の

人生を切り開くのが当然だと思っている。その

為、子供達は親元を離れそれぞれのワークライ

フを確立させていくのが殆どだ。そういった場

合、事業を承継させる訳にはいかず、そこで親

族以外に会社を承継する人物として役員や従業

員を検討することになる。

その場合、会社員である社員が会社を引き継ぐ

ためには解決しなければならない課題が多くあ

る。未上場企業の場合、資本と経営の分離が行

われていないため後継者は高額な会社の株式を

購入し、会社の経営権を取得しなければならな

い。業歴の長い会社ほど株価が高くなっている

のが一般的で会社員がそれを買い取るだけの資

金を用意するのはムリだろう。さらに、社長は

銀行からの借入の際に個人保証をしているケー

スが多い。経営権を引き継ぐということはこれ

らも社長より引き継がなくてはならないし、そ

れらも承継されない限り、銀行も承継を認めて

くれない。万が一会社の業績が悪化した際には

個人資産を全て失うどころか、それ以上に多額

の借金を負う可能性がある。本人がいくら経営

者になりたいからそれでもいいと言っても家族

が許さないだろう。

 

続く・・・