中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

備えあれば憂いなしの事業承継

 

 

 

 

カリスマ性があり、順調に事業を成長させた社長。せっかく築いた会社や仲のいい家族を持ちながら、後継問題や遺産相続を軽視し、日々の業務に埋没している。

 

 

これだけ順調に事業を成長させれば、それだけ自社の株価は上がっているから、相続の際にちゃんと対策をしていなかったら、相続税も大変なことになることを認識しないといけない。

 

 

 

また、家族はみんな仲良しだから、自分の死後は大丈夫だと勝手に思い込み、何の対策を講じないから、争族に発展するのである。小さい頃は仲の良かった兄弟姉妹も、それぞれが家族を持てば自分の家を優先するのは当然である。

 

 

ましてや、経済的に苦しい人は、自分が少しでも多く相続財産をもらおうと必死になるもの。見苦しい争いになって後悔したという話はよく聞く。残された人達が不幸になる事を理解しないとい取り返しのつかないことになる。

 

 

それを回避する方法として、残された人が納得する内容の遺言書の作成がある。日本では、遺言書を用意する人は6.8%との事らしく、自分の死後に、残された人が困らぬように対策を講じる意識が低いのが現実か。

 

 

家族も遺言の必要性は理解しながら、縁起でもないからと言いにくいようだ。私の知人に、「自分が死んだ後なんか知るかい」と投げやりの人もいるが、社長なら従業員や顧客、取引先などのことも考え、円滑な事業承継の為に用意をしないといけない。

 

 

 

 

親族内に後継者が存在していればまだいいが、不在ならまた対策が必要である。

 

中小企業の多くは代表取締役=支配株主という構図である。だが、その代表取締役に相続が発生し、親族内に社長の適任者がいない場合、創業家が株を持ちながら社内の生え抜きが社長になる場合がある。

 

 

この所有と経営が分離された状態で、社長になった雇われ社長になれるのは、社内でも優秀な生え抜き社員である。生え抜き社員の特徴は、組織文化を理解し、組織の伝統と文化を継承できる優秀な人材である。

 

その優秀な人材は後継社長に指名され、創業家一族でもない赤の他人なのに社長に昇格したことに驚きを隠せない。同族企業だから親族外の自分は出世しても、部長くらいと思っていただけに、まさか自分が社長になれるとはと、周りにも自慢して歩いていたようである。

 

 

そして、千載一遇のチャンスを得たと思い、その職責を全うしようと必死に仕事をした。

 

 

しかし、あることで創業家と意見が合わず、対立することになってしまった。そうなると一株も持たない社長は、創業家から呆気なく解任されてしまった。私はその光景を目の当たりにして、何と勝手な創業家一族かとぞっとしたが、これが現実である。

 

 

社長の大切な仕事は次の社長と育てることである。事業を継続させるために大切な事業承継は計画的にしなければいけない。