中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

後継者不在でもM&Aで事業承継の道を!(下)

・・・・・前回から続く

 

経営者が相続や事業承継の対策を何もせず、ある日突然亡くなると相続税の負担で会社経営が危機的状況に追い込まれたり、事業資産の分散で事業継続が困難になるといったケースは多い。「備えあれば憂いなし」で後々の対策をしっかり講じていれば、手塩にかけた我が子のような会社を円滑に承継できるのである。

 

株価が低いタイミングでの株式贈与、遺言書の作成、相続税の支払い原資の確保や後継者以外の相続人への相続対策として保険金の活用など、の対策を講じなければならない。

 

相続人への売り渡し請求などが定款にある場合はクーデターにも要注意である。後継者はあらゆるリスクに対応できる知識を持ち経営に臨まなければならない。

 

兄弟で経営を任せるなど、組織を再編する場合は、事業譲渡や会社分割・合併などの手法も活用される。

 

因みに、事業譲渡は欲しいものだけ買い手が取得できる一種の売買契約である。事業譲渡は、手間はかかるが簿外債務などややこしい問題は回避できるメリットがある。

 

売り手側は優先度の低い事業を売却することで、獲得した資金や浮いた経営資源を、主力事業に投下可能である。一方で買い手側にも、欲しい事業のみを買収出来るメリットがある。

 

但し、事業譲渡には「手続きが面倒」という大きなデメリットがあるので要注意だ。従業員も個別の同意が必要である。

 

二つ以上の会社が一つになる「合併」は、会社を一つにする際に、企業文化の統合、待遇の違いを一つにする人事労務システムの統合や簿外債務の存在などで円滑に統合することが困難である。

 

 

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事業承継でのM&Aでは株式譲渡が殆どだが、買収会社が持ち株会社を設立して、被買収会社をその傘下に置き、時間をかけて統合する手法も増えている。

 

 

 

 

 

 

後継者が事業承継で先代の事業を引き継ぐ際には、まず最初から会社を自分色に染めようと変革しないことが大事だ。変に勘違いして総ての権限があると独裁的な経営をしてはいけない。

 

先ずは、一通り先代のやり方を踏襲して従業員達とコミュニケーションを図りながら実務能力を身に着けていかねばならない。そして今後、変化する経済社会環境に適合させる為に変えるところと残すところを明確にして、自分のブレーン達や改革メンバーを組織化し改革を推進していくことだ。

 

それらを元に中長期ビジョンを策定し、タイムスケジュール化していく事が求められる。その第二創業の際に、自社の経営資源では実現が困難であれば、M&Aを活用していく事も肝要だ。

 

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真の事業承継とは、経営と財産(無形・有形)の承継だけではなく、会社の成長発展が必要である。

 

ある中小企業では、息子が家業を継ぎ何とか安定化させた後、会社の更なる成長発展させる為、M&Aで会社を買収し新規事業を創業し成功させた。

 

この積極果敢な経営姿勢が若い従業員達を中心とし支持を得ることができたので、何もやるにもリーダーシップとカリスマ性が発揮できるなど好循環が生まれた。

 

こういった事例のように、会社と従業員の成長発展の為に既存の殻を打ち破り、新たなことへチャレンジすることはいい。もちろん本業の更なる強化の為の同業他社の買収や周辺分野を強化し本業との相乗効果を高める為に関連企業を買収するのもありである。

 

買収して規模が大きくなると社内も活性化するし、従業員達も自分の会社が大きいと誇りに思うようにもなるであろう。異なる社風との融合で新たな企業文化も醸成されて精錬されていく事だ。

 

 

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M&Aはいまや当たり前の経営戦略である。会社や事業を買うという事は八百屋さんで野菜を買うのとは違う。試行錯誤的な安易な買収は会社の将来を犠牲にする。それは会社の社会的責任の一つでもある雇用も犠牲にすることである。

 

会社を譲渡する際、社長面談で断られる中小企業がある。それは社長の人柄や人間としての信頼性が原因である。腹を割った話ができない社長とは大きな取引はできない。

 

大切な従業員とその家族の人生もかかっているからだ。会社を買って欲しいなら、見栄を捨てる勇気と全てを開示する覚悟が必要だろう。精緻な買収監査でも分からない点もあるが、社長を見ればその会社の良し悪しが分かる。

 

 

 

社長も大事な会社を他人に譲りたいなら、誰に対しても正直な姿勢で交渉に臨むことが必要である。その際はもちろん人に見られたくない恥部も正直に話すことが必要だ。

 

後でこんなはずではなかったと言われたくないはずである。

 

息子も育ってくるとお互いが照れ臭く父子のコミュニケーションギャップが生じてくるもの。「男同士、あまり細かいことを言わんでも阿吽の呼吸だろ」は父の一方的な解釈。

 

息子が継いでくれるものと思い込んでいるが、息子はそんな気がないという例も時にある。でもそんな肝心な事は細かい事ではないだろう。

 

事業承継は会社を経営する上でのビッグイベントである。株主・後継者・従業員・取引先・金融機関など利害関係者は会社存続の為にみんなが一致団結して円滑な承継ができるようにしていこう。

 

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