中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

本部と現場の力関係

 

「私達は考える人、あなた達は私達の指示に従い黙って動く人」と、現場を上から目線で統制しようとする本部。現場上がりの本部員ならまだましだが、現場知らずの頭でっかちの本部員はたちが悪い。成果が上がれば本部のお手柄、上がらなければ現場の責任が露骨である。こういう本部と現場の力関係は店が不満を抱え込み、お客様に皺寄せがいく。

 

外食チェーン店に於いては、本部が強すぎると現場である店舗が委縮してしまう傾向にある。逆に、店舗が強いと本部は現場の統制が困難になる。

 

確かに、収益の源泉は店舗だからと現場重視の運営方針を徹底し、店がやりやすいサポートに徹することを行動指針として周知徹底させることは、店舗従業員のやる気や仕事に対する姿勢を喚起する。そして、店の従業員が積極的に経営に参加するようになり、全体にいい波及効果が生じる。

 

 

しかし、現場が直接社長に意見や不満が言える体制を構築したり、社長が店舗の従業員の前で本部員を叱咤したりと店舗従業員が自分たちの方が偉いんだと勘違いするような社長の言動に店舗従業員が本部をバカにしてくるから要注意である。

 

また社長が店舗従業員に本部員の評価を聞いてくることが頻繁にある為に、現場従業員に好かれて自らの評価を高めようと店舗従業員にすり寄ったりする本部員も存在し、本部と現場の良好な関係には程遠いおぞましい力関係になってくる。

 

本部員が現場に遠慮しだすケースが出てくると、そうなると本部が現場になめられてくる。また社長が本部員抜きで直接現場に指示することになると本部員の存在を否定され、且つ、指示命令系統がおかしくなる。実際、そういう現場を私は見てきた。

 

現場の接客で客からクレームが本部にあり、現場に注意しても現場の本部員に対する態度は横柄なもので、組織としての統制が取れない状態に陥っている。

 

現場が偉い本部が偉いと力関係を意識するのではなく、本部と現場が一体となってお客様に向かっていくようにしないといけない。その結果、顧客満足=従業員満足=会社満足となってくるであろう。

 

外食産業は、現在、人手不足で相当苦労している。

 

先日、外食最大手のゼンショーの傘下にある「すき家」で牛丼に髪の毛が入っていたのに謝罪がなかったと店員の態度の悪さに批判が殺到した。本部も人手不足の飲食店でやっとかき集めたバイトだから、あまり厳しく教育訓練できないのか難しい所である。

 

 

今は人材の質を求めるより最低限度の人数を確保しないと営業すらできない状態である。そこであまり厳しくしてバイトが辞めることのないように、注意するのは難しく、しかし、いくら安い牛丼とはいえ、最低限の常識ある接客を心がけないといけないから本部も大変な気遣いが必要である。この点でも、本部と現場が一体となり知恵を出し合い、課題の解決に向け共に努力することが求められる。本部もビジネスライクに現場指導をするのではなく、良好な人間関係を構築して絆を強めた上、ともに頑張っていかないといけない。

 

本部と現場がお互いをリスペクトし、経営理念とビジョンの実現に向け、頑張らなくてはいけない。