組織はリーダーの器以上には伸びないのに、欲を出して積極展開した店がある。案の定、社長のリーダーシップと組織へのマネジメントの能力不足で現場が混乱した。お客様からのクレームも多発し、現場従業員からは不満が続出して、組織の統制が取れなくなってしまった。その結果、大量の店舗の撤退を与儀なくされたようだ。
身の丈にあった経営を確実にしていかなければ突っ込んだお金は回収できない。結局、金と時間と労力を使って成長を夢見てきたのに総て水の泡であり、多くの顧客・従業員・取引先・利害関係者などに迷惑をかけることになった。
ある業績好調な焼肉店では、週末になると入りきれないお客様で店が溢れかえっていた。待ちきれずに帰るお客様も多く、それらを目の当たりにしたオーナーが、その機会損失を勿体ないと言い出し、店舗の拡張を計画することとなった。
焼肉という業態特性から、平日は満席になる事はあまりない。どうしても週末の家族連れなどが集中してしまうなど、売上の曜日指数も週末の比重が高くなる。
平日は大したことなく、週末に一気集中する現状をどう捉えるかで、社内も物議を醸したが、所詮はオーナー企業。オーナーの「やれ」と鶴の一声で店舗拡張が決まってしまった。隣地の用地取得で時間がかかったが、何とか拡張工事を終えオープンすることとなった。
最初はオープン景気もあり盛況であったが、肝心の週末も予想していた程、客席回転率も高くなく、平日に関しては遊休状態の席が多かった。でも一番の誤算は、その店の盛況ぶりを観察していた競合他店が相次ぎ近隣に出店してきたのだ。
用地取得に時間がかかっていた間に各店は着実に出店準備をしていたようだ。焼肉店の乱立に各店が限られたパイの奪い合いである。この店も徐々に集客力が低下し、投資回収ができない状態に陥ってしまい、拡張スペースを他社に転貸する事になったのである。
またある新興企業が、流行の商品を中核にした業態開発をして外食業界への参入を決断した。物件候補として駅前4階建てビルを発見したが、そこは、一棟貸しが賃貸条件であった。
担当者が、需要と競争の実態から4階まで使うほど需要はないと分析し、3階までを飲食店営業し、4階は使用せずと社長に提案した。しかし、どうせ同じ賃料なら4階まで営業しないと損という欲張り社長が反対したから大変な状態に。
追加投資で固定費用が増加し損益分岐点が高くなり経営不振に陥った。欲を出すとこういう事になるがその責任を社長に問えない担当者は自ら責任を取り離職することとなった。
欲を出して無理に勢力拡大をすると必ず歪みが生じる。自分の器にあった経営戦略を策定しなければならない。後悔してもしょうがないことである。
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