小泉大臣の育児休暇が物議を醸しており、本人は、「日本は考えが古い」と苦笑いである。
小泉大臣も、「どのように育休をとるかとても正直迷った。制度だけでなく、空気を変えないと、取得する公務員も増えていかない」と、男性公務員の育休を原則1カ月以上にする政府目標をあげつつ、取得を決めた理由を明かしていた。
育児休業法が定める育休制度は、雇用されている「労働者」に認められているものであり、国会議員に育休に関する制度はないのが現状である。
会見で、「これまで言ってきた通り公務最優先、危機管理万全という条件で、母親の負担が大きい出産から3カ月の間で、通算2週間、育休を取得したいと考えています」と説明。
公務については電子メールやビデオ会議を多く利用するほか、必要であれば副大臣などに代理を頼むこともあると話した一方で、国会や閣議など「重要な公務」は休まないともしており、育児休業で国政に支障が出ないように対策も講じているようだ。
小泉大臣の育休取得は、欧米でも大きな話題となっているようだ。ニューヨークタイムズやCNN、英国BBCなど大手メディアも続々と報じている。
多くが好感を持って報じており、同時に日本の優れた育休制度と父親の取得率の低さが批判されている。
日本の父親は、給付金のある休業期間は世界で最も長く、昨年6月のユニセフのランキングでは41カ国で1位だった。一方、その取得率は6%と低いことが海外から珍しく映るようだ。この制度趣旨を全く理解しない国民性と会社の実態には呆れるばかりのようである。
厚労省の調査では制度の利用状況は女性82%、男性6%だ。街角アンケートでも、「周りに気を使うので申し込みにくい」「人手不足で忙しいので絶対無理だろうから言えない。」「無理して休んだ後が怖い」「復帰後、自分のポストがなくなっているような気がする」とみんな取りたいけど現実的には無理だと悟っている。
仕事のスタイルが、欧米の個人主義に対して日本はまだ集団主義の考え方が根強いのだろう。周りへの遠慮と職場復帰後に自分の仕事がないのではという危機感が強い現況では国が制度利用を奨励しても現実的には無理なような気がする。
国会議員に聞くとみんな取得に批判的なコメントをすると叩かれるから、小泉議員の取得を否定する人はいない。中には、国会議員が取得できなければ、優秀な人が国会議員になろうとしないからと取得は当然だと褒め称える人も議員もいる。
日本では、出産後に1年間、男女共に育児休暇の取得が認められているが、民間の労働者でさえ利用比率が低いのが実情である。現職の男性閣僚が育児休暇を取得するのは初めてとなるが、この閣僚自らが率先して取得することで民間企業の労働者も取得しやすくなるかもしれない。
いい前例になるかもしれないが、国会議員としての職責はいかがなものだろうか。