中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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娘婿を後継者にして失敗した会社!(上)

ある会社の創業者には息子がおらず2人の娘がいた。その娘さん達は社内で勤務している。創業社長が67歳の頃、長女が結婚し時期後継者として、その婿さんを招き入れることとなった。社長夫婦のブランド好きは有名で、その婿さんも、誰もが知る日本を代表する大手電機メーカー出身だから選ばれたとの事である。

 

 

 

そして長女の婿さんを次期後継者とすることを社内で公表し、事業承継の準備に入った。プロパー社員もやっかみながらも、従わざるを得ない状態である。中には、今まで現社長の機嫌ばかり取っていたのに、後継者が決まるとすぐに乗り換え、気に入られようとゴマをする人もいた。

 

各部署をローテーションで経験させ、段階的に権限を委譲していくといった、お決まりの後継者教育であったが、随分と周りが気を使ったものである。その方は、なかなか人柄も優れており、みんなとうまくやっていた。元大手電機メーカー勤務で次期後継者でもある人だが、すごく謙虚な姿勢で、且つ、能力も高いので、好感を持てたものである。

 

通常、5年~10年はかかると言われる承継準備期間だが、他業界出身でも抜群の経営センスが認められ、2年程度で社長に就任することとなり、現社長は代表権ある会長に就かれた。会社も新体制で臨むこととなり、社内は活性化したものである。

 

 

 

しかし社長に就任した途端、会長が見る目も厳しくなり、事あるごとにダメ出しをするようになった。またみんなが新社長を持ち上げることも、会長は面白くないようで、自分の存在感を否定されたような感じを持ち始めたのである。

 

新社長も一旦業務をすべて経験した上で、改善点を指摘して会長に報告していたがそれも会長は自分がやってきたことを否定されたと思い、気分が悪かったようで、「この業界のことが分からん奴が何を言う」とプロパー社員にぼやいていた。

 

私的に見れば、やはり業界に染まっていない人の方が、何のためらいもなく当然のように、仕事をこなす人達が気づかない問題点を指摘できるのでいいと思う。

 

 

 

それを聞いたプロパー社員が面白おかしく、「ここだけの話やで」と言いふらし、社内に知れ渡って、社内はちょっと不穏な空気が漂い、暗い雰囲気になってきた。

 

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会長の取り巻きはそれを千載一遇のチャンスとばかり、新社長を引きずり下ろす作戦を練っていたようである。要は自分達が、いかにうまく社内で立ち回れるかしか、頭にない連中である。

 

会長と新社長との関係がぎくしゃくしている中、次に新社長夫婦の関係もおかしくなってきたから、話がややこしくなったものである。社長と会長のぎくしゃくとした関係が家庭にも持ち込まれたのだろう。社内に於ける夫婦の関係が、周りから見てもおかしく感じたものである。この夫婦は子供もまだできていないから、さらに次の後継者のことを考えたら不安要素も多い状態である。

 

 

 

会長からすれば、①承継時期が遅れていたので承継を急ぐ必要があった、②娘婿で優良企業出身だから能力的に問題ないだろうと人物評価に寛大化志向があった、等の要因がこういう不幸な結果を招いたのであろう。

 

会長も、我が娘の旦那で後継者になる意欲と覚悟を決め、将来が安定の大企業を辞め、わざわざ来てくれた経緯から、どうすべきか悩む日々であった。自分が譲ればいいものの意地もあり、今更態度を改める訳にもいかない。人間は不思議なもので新社長の悪い部分が見えたら悪い部分ばかり目立つように見えてきたらしい。

 

 

 

後継者が赤の他人だったら、自分が総ての株式を保有しているから解任することも簡単だが、娘婿で娘夫婦の家庭生活のこと、及び今後の親族関係のことを考えたら、難しい判断を迫られているようだ。

 

そういった中、とうとう娘夫婦の中が悪化し、別居をすることとなり、離婚を前提とした話し合いをすることとなったのである。

 

・・・・・・続く