「衣食住」の中でも、生活する上で最も大切な「食」。それをビジネスとする内食・中食(食品スーパーやコンビニ)・外食企業の生き残り競争は厳しい。
日本政策金融公庫の業種別廃業状況によると、飲食店・宿泊業の廃業率が最も高く、18.9%である。要は「参入しやすいが、失敗もしやすい業種」ということである。
市場規模もデフレの影響と人口減少から縮小傾向(1995年29兆円⇒2015年25.5兆円)だが、なくなることは絶対にない。最も、他産業と比べると、参入費用が低いとは言っても、飲食業を始める場合、テナントの保証金、設備資金、人件費、食材原価、報告宣伝費用、諸雑費、開業費など色々とお金がかかり、業態にもよるが平均坪当たり50~100万は必要だ。
私が経営していた焼肉店では無煙ロースターなどの設備費用の負担が大きかったものである。とにかく焼肉店は重装備業態である。投資回収速度も他の業態からすると遅い。
昔は高単価で商売で来ていたから回収も早かったが、低価格の焼肉チェーン店の影響で単価下落が止まらず、その割に設備費用の負担は同じだからだから経営を難しくしている。リスク軽減の為に居抜き店舗を活用する出店希望者が増えているのだ。
外食産業は立地産業でもあるので、みんな好立地での出店を希望するが、そういった好立地での物件確保では、どうしてもイニシャルコストとランニングコストの負担が大きくなる。そして高い固定費から損益分岐点の高い店になってしまうので、失敗リスクが大きい出店を余儀なくされる。
今はやたらとキャッシュレスを国を挙げて推進しているが、現金崇拝主義の日本では飲食店での支払いは現金が多いので、赤字体質でもある程度金が回るもの。それらの要因で事業を継続できるから、まだ他業種と比較すると資金繰りはやりやすい面がある。
今後も、①自分のお財布から現金を取り出して支払えば自分の消費感覚が確実に把握できるから、②日本では紙幣そのものが幸福感の象徴である、等から、日本人の現金崇拝主義は今後も変わらないと予測しているアナリストも多い。もちろん、供給側のキャッシュレス活動の強化で現金の比率は多少は減少してくるとは思うもの。
飲食店は地域密着が基本である。流動客の多いロードサイド店でも80%は地元客だそうである。その際、チェーン店は看板力があるからそのブランドを活用して早期で軌道に乗せやすいが、個人店は開店当初の集客も不安定なので、軌道の乗るまでの間の運転資金も用意しておかないといけない。手元流動性から2か月の売上分の現金は持っておかないと不安なものだ。
また、経営不振で商売がうまくいかなかった時、閉店する場合は「原状回復費用」も必要だから、せっかく投資した設備も壊さないといけなくなる。その撤退費用がないために赤字でも閉められない店もある。因みにそういう店は飲食店の売買サイトが今は発達しているので、それを活用することを推奨する。
飲食店開業・経営のご相談は=中小企業診断士/行政書士 中村事務所
↓↓↓
http://www.nakamura-shindanshi.com
・・・・・続く