中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

居抜き物件を活用し、リーンスタートアップを!

定年退職したら趣味であるグルメを実益ある事業として展開したいと思い、飲食店開業を目指す人が多い。但し飲食店経営は簡単そうに見えまた他の業種と比較すれば開業費用も低いので安易に考えてしまいそうだ。年間47.000店の開業者がいるが2年でその半数が罷業するといった現実は甘くないといったデータが如実に語っているようだ。

 

 

飲食店の開業の仕方教えます:3店までの財務

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その際に更にリスク低減の為に居抜き店舗を活用してリーンスタートアップを実現しようという動きが活発になっている。これは社会経済資源を有効に活用する為にも意義があり、今や居抜き店舗市場も急速に発達している。

 

今まで賃借物件で飲食店を経営していたオーナーさんは経営不振で店を閉めたいが、賃借契約の条件の中に原状回復返還義務があり、そのスケルトン費用がないために、赤字なのに閉められなかったオーナーさんが多かった。

 

でもこういった市場や仕組みができることで容易に撤退できることになり、また開業したい人の中で、やる気はあるがお金がない人にはチャンスであり、そういう人達のマッチングの機会にもなっているのは素晴らしいことである

「居抜き」の際の造作物そのものが譲渡対象になることがある。退出するテナントは「解体工事などが省けるのなら、造作や設備などは無償で引き渡しても構わない」という場合もあるが、高価なものや比較的新しい厨房機器などであれば「居抜きによる造作、厨房機器や什器備品などを買い取って欲しい」と考えるケースも少なくない。

 

そこで売り手と買い手が協議し、内装、厨房設備、什器備品などを売買するのが「造作物譲渡契約」で賃貸借契約とは別に、売り手と買い手が交渉することになる。その際、売り手と買い手の交渉力にもなるが、買手の買い希望が強ければ売手は造作物だけでなく営業権も同時に売却交渉の中に入れられる。

 

例えば「そんなにやりたければ譲ってあげますが、せめて店を手放す私の給料のある程度の保障として3年分の営業利益も譲渡金額に含めてください。」と営業権の対価を付け加えることができる。また単独でその店舗からの収益を期待しての買収ではなく、チェーン全体への波及効果としてその立地での営業を希望するチェーン会社にはまた強気に交渉し、別で対価を得ることができる場合もある。

 

そうやって新しく入居するテナントは、賃貸借物件のオーナーとの間における賃貸借契約とは別に、前テナントとの間で造作譲渡契約または資産譲渡契約などを結ぶことになる。M&Aの飲食版でもあり、一から創出するより早く安くできるのである。但し余計なものまでついてくることもあるので要注意であり、専門家を間に介在させた方が無難でもある。

 

「居抜き物件・居抜き店舗」のメリットとデメリット

居抜きの場合、前テナントにとっては解体費用を節約できる、造作譲渡による収入を得られることがあるといったメリットの他に、引き渡し直前まで営業ができるため解約予告期間や解体工事期間の賃料を負担せずに済むこともある。

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ビルなどのオーナーから見ても、空室期間がなく賃料収入が途切れないことが最大のメリットである。一方、新規のテナントは出店コストやその後のランニングコストを安く抑えることができる。そのため損益分岐点も下がり、黒字転換も早まるしかし、居抜きで引き継いだ設備が目的に合っていなかったり、内装がイメージに合わなかったりすることもある。

 

前のテナントの評判が悪ければ、その影響を受けることがあるといったデメリットも考えられる。前のテナントが営業不振で廃業したのであれば、同じ業態で営業することがリスクとなりかねない。出店コストだけで居抜き物件を選ぶのではなく、あらかじめ商圏やニーズをしっかりと調べることも大切である。

 

以上から予算に余裕があり、験を担ぐ(げんをかつぐ)なら新規の物件で新規の設備投資をすればいいが、先行きが不透明な経済社会の中で低リスクで出店をしたいなら居抜き店舗を選択すればいいだろう。飲食店は業態によってどこへ経営資源を配分するかが当然に違う。高級専門店と大衆居酒屋では設備投資や人件費・原材料費などの費用配分は変わってくるものだ。

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高級店は雰囲気などを演出する内外装や高額設備も重要だが、その他の業態では商品力・販売力といった運営力が栄枯盛衰の分岐点になるので、そこらに力点を置かなければならない。もちろん高級店も高級設備に胡坐をかくのではなく厳選素材と卓越した調理技術、及びまごころあふれるおもてなしが必要なのは言うまでもないが。

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飲食店は簡単そうに見えてけっこう難しいものである。また経済の成熟化に伴い、消費者のニーズは多様化・個性化。高度化、そして複雑化している。また世界一品質に対する鑑識眼を持ち飽きやすく惚れやすいといった移り気の早い消費特性から業態の陳腐化サイクルが早い。永続的な商売繁盛を目指すにはよほどの努力が必要である。それらを心して事業参入せねばならない。