中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

開業10年の残存率10%の外食!生き残りを賭けた競争とCoCo壱の強さ!

 

 

高齢世帯、単身世帯、共稼ぎ世帯の増加を背景にカレーのレトルト市場がルーを上回ったらしい。カレー好きの日本だが、外食産業ではカレーの全国展開はムリとの常識があった。

何故ならば、家庭にはそれぞれ独自の個性たっぷりのおふくろカレーがあり、万人受けする標準カレーは受け入れられないとの常識があったからだ。

 

 

 

 

唯一、CoCo壱が独自の工夫をして、その常識を打破したのだ。また核家族化や単身者の増加で家庭でカレーをつくらなくなった社会背景もあった。今後、家庭の味がなくなればカレーのチェーン展開を容易にするかもしれない。

 

「CoCo壱」はカレーで成功した唯一のチェーン店。先に説明したが、普通、個性が強すぎる味は市場を限定するから多店舗化は困難。多店舗化の原則は標準化された普通の味だからである。独自性が強すぎると飽きやすいし、来店頻度も高まらないもの。でも普通の味なら家庭で食べわざわざ店に来ない。では何故成功したか。

 

それは家庭でカレーを作らなくなり、レトルトで飽きのこない標準カレーに慣れてきたからだ。「CoCo壱」はその標準化したカレーを提供し、あとはお客さんが自分なりのトッピングをして満足する仕組みを確立したからであろう。「CoCo壱」がハウス食品の連結子会社であるように、食品メーカーはカレーショップだろうがルーやレトルトだろうが売れればいいだろうとは思う。

 

 

 

 

脱サラし飲食店を開業される人は多い。会社員時代からグルメを趣味として、休日には食べ歩きをするなど研究を重ね、退職したら開業できるように準備しているようである。

その中でもカレーやラーメンは開業しやすく、また趣味の延長線で開業する人も多い。「自分ならではのこだわりを注入した既存店舗にない本格志向の店を」と開業するのである。

 

今も相変わらず、自分なりのこだわりのラーメンやカレーの専門店を開業したいとの希望者も多い。退職金を元手に不足する資金は日本政策金融公庫の創業資金とを合わせた開業資金として計画をしているみたいだ。開業者は、飲食店経営が未経験だからフランチャイズ(FC)に加盟する人、独力で開業する人と様々である。

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意外にプロの指導者を標榜するFC会社の方が経営失敗するケースが多く訴訟に発展する加盟店オーナーも多い。特に需要予測を含めたマーケット情報を示し、好採算間違いなしと素人経営者に加盟と出店を促したが、開店したら予想を見事に下回り、その結果、本部と加盟店が責任の擦り合いをすることは多い。精度の高い需要予測自体が難しいのに無責任な体質の本部も散見される。

 

他人資本を活用し、急速な多店舗展開でスケールメリットを享受するというのがフランチャイザーの目的。「経営理念共同体」を謳い文句に、そして素人でも加盟金やロイヤリティを払えば飲食店経営が成功すると宣伝して加盟店を募集する。

 

双方がウィンウィンの関係を構築する努力をしなければいけないが、なかなかうまくいかないもの。加盟店が期待した利益を得られなかったら、本部の責任だと文句を言うが、本部は我々の指示通りやらないからと責任の擦り合いに終始し、解決の糸口が見つからない事が多いもの。

 

開業したらこのような点が多いことから本部を見極める鑑識眼が必要である。また独力派は居抜き物件で低コストの開店が可能だが、存続させるのは困難だ。飲食業界は特に業態の陳腐化サイクルが早くブームになってもすぐ終わる店が多く継続することが難しい。

 

これらは開廃業率の高さ(開業:9%、廃業7.5%)へ如実に表れている。また飲食は新陳代謝が激しいのでそれを狙った口先だけのコンサルタントが多いので要注意でもある。

 

また私が、飲食店で指導する時に必ず「1人位いいやろといい加減な仕事をしてはダメだ。1人の後ろには20〜30人の人がいる」と言う。忙しいからと調理や接客を疎かにしてはいけない。「普段はきちんとしているから一人くらいいいだろ」という問題ではない。その一人にたまたま当たった人が気の毒である。その1人の店への不満が口コミで背後にいる人

達に伝わる。ましてや今はSNSで瞬時に酷評が多くの人に浸透し、取り返しがつかない事になる。

 

常に最高のパフォーマンスができるように頑張らねばいけない。それが飲食店をやる人の使命感である。他の業種と比較したら参入コストが低く、食はなくなることがないからと安心して開業する人は多い。でもみんなが同様の考えで参入するから競争が激化し、忙しい割には儲からないもの。

 

大型飲食店は営業利益率が5%程度だが、小型飲食店の営業利益率の平均値は10%程度と製造業やスーパーなどと比較すると悪くはない。しかし、小型店はその分、売上額も少ないから利益額を見れば大したことはない。だから多店舗化に走る人も多いが、そんなに簡単な世界ではないのは、廃業率を見たら理解できるはず。

 

 

食を通じて社会に貢献したいとの経営理念を貫き、愚直なまでに頑張っていると、その内、お客さんが認めていつまでもご愛顧してくれる筈である。その結果、利益を蓄積して継続事業を実現して地域社会に貢献すれば、店・お客様・地域が良好な関係を維持できる事だろう。その地域との共生ができれば店は永続していく。