中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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パワハラのない職場にせねば!(上)

「パワハラ」という言葉を毎日聞く。過度なパワハラで被害者が休職したり、最悪の場合、自殺に追い込まれたりする深刻なケースもある。人を自己の感情でそこまで追い込んで誰が責任を取るのか。世代間ギャップと職場の余裕のなさから生じる事が多い。パワハラを意識した労務管理、職場の安全配慮義務が当然のように求められている。

 

 

上司が萎縮しないパワハラ対策 ―パワハラ新法への上手な対応―

上司が萎縮しないパワハラ対策 ―パワハラ新法への上手な対応―

 

 

 

2019年5月成立のパワハラ対策法に対応!  事例で学ぶパワハラ防止・対応の実務解説とQ&A

2019年5月成立のパワハラ対策法に対応! 事例で学ぶパワハラ防止・対応の実務解説とQ&A

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厚生労働省のHPによると、

 

パワハラを「同じ職場で働くものに対し、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的苦痛を与える」と定義している。

 

また「安全配慮義務」とは、労働者が安全で健康に働けるように企業側が配慮すべき義務のことである。労働契約法の第5条に定められていて、2008年から施行されている。

 

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安全配慮義務には大きく分けて「作業環境」と「健康管理」の二つがある。そもそも赤の他人を自らの業務につかせて利益を上げようとするのだから、そういう配慮や義務が必要なのは当然である。リターンを求めるならリスクも受け入れて、リスクを回避するための対策は徹底しなければいけない。

 

<作業環境> 例えば工場などの場合、労働者が機械を安全に使えるよう定期的に点検整備をしたり、働きやすいように設備を整えたりするなど、文字通り、「作業する環境を整えること」を言う。安全に働けるように労働者に指導したり、教育訓練を受けさせたりすること、また寮や宿泊施設の管理なども含まれる。

 

<健康管理> 健康管理は「健康配慮義務」とも言い、使用者が労働者の健康管理にも配慮するという考え方。長時間労働を未然に防いだりすることや心身の健康を保つメンタルヘルス対策なども使用者の役目である。また、疾病や障害のある労働者への配慮なども含まれている。

 

安全配慮義務違反となるポイントには2つがある。

 

・企業側が予見できた可能性があったかどうか 。

・企業側が回避できた可能性があったかどうか。

 

 

厚生労働省によると、2018年度に寄せられた民事上の個別労働紛争の相談件数のうち、パワハラなどの「いじめ・嫌がらせ」が8万件超で、過去最多となった。

 

 

 

この言葉の認知度が上昇したことで、そこで初めて「パワハラ」への意識が高まり、相談に訪れる人が増加したという見方もできる。そうやって企業社会を取り巻く環境変化も背景にあるので、昔の感覚でいる上司は意識転換をしなくてはならない。

 

パワハラは、「世代間ギャップ」と「職場の余裕のなさ」から生じる事が多い。この世代間ギャップ(ジェネレーションギャップ)はどうしても円滑なコミュニケーションを図る上で弊害となる。お互いが歩み寄る姿勢も必要だが、なかなかうまくいかないのが実情である。

 

「終身雇用・年功序列」の時代なら若い子も今を我慢すれば将来は自分たちのやりやすい時代になるとの希望的観測から、嫌な上司の言動にも「耐えがたきを耐え、忍び難きを忍ぶ」との精神で耐え抜くものであった。しかし終身雇用の時代が終わり、働き方や価値観の多様化からその常識が通用しなくなっているのである。

 

 

 

また若い子も会社への思い入れがあまりないので、「嫌だったらすぐ辞めよう」と耐えることをしない人も増えている。またその割に権利意識も強いといった使いにくい側面もある。終身雇用が保証されると多少はこの問題も解消されるかもしれない。

 

「職場の余裕のなさ」も問題だ。成果を急ぐあまり、時間に追われ、過重労働が発生している職場では、お互いに十分なコミュニケーションが取れなかったり、ストレスがたまりやすかったりする。

 

また人手不足の中での「働き方改革」による長時間労働の是正から、現場に無理強いをしているケースも多く、現場が疲弊しみんながイライラしているのも原因だろう。そこで、弱い立場の従業員に感情をぶつけてしまうことになるのである。

・・・・・・続く