環境変化が激しく会社も組織も変わらねばならない現在、組織改革が求められている。その鍵を握っているのはリーダーシップ、戦略、文化、組織設計(分業と調整)という4つの要素である。どれか一つでもかければ変革の効果が期待できなくなるので要注意だ。
その中の組織設計は「分業と調整のメカニズムの組合せ」である。
組織デザインを行う(組織を設計する)には、組織の管理原則に 照らして下記のことを留意する必要がある。
- 指揮命令系統の一貫性を遵守させる事(命令一元化の原則や権限・責任一致の原則)
- 意思決定の権限を集中させる集権型組織か、分散させる分権型組織かを決める事(専門化の原則や統制範囲の原則で検討する)。
- 効率性と生産性が最大化するように、人々の持つ専門性を活かす為の「分業」と、組織としての「協業」を効果的に融合させ協働体系を確立する事。
- 各単位組織に特徴をもたせる「分化」と、部門間を協調する「統合」のバランスを保つこと。
*分化とは、外部環境の変化に適応していくために組織内の機能を独立させること。統合とは、環境の変化に対応するために分化した機能に対して、全社的な視点から統一性と整合性を与えること、である。
各々に仕事を割当て役割を分ける。そして、専門性を発揮させるなど、のメリットを追求する分業。分業すれば生産性も上がる。例えば、人には得手不得手があるように、それぞれの得意分野に仕事を担当させることで効率が高まるものである。
例えば、飲食店でのケースの場合、性格的に人と接することが好きな人と苦手な人、手先が器用な人とそうでない人がいる。そういう場合、キッチンとホールに分けてそれぞれが得意分野に専念した方が生産性が高まることは当然であろう。もちろん店全体を最適化させるための統合も重要である。従業員一人一人の能力を活かしながら、組織全体の最適化を目指していかなければ利益を生み出せない。
1)分業
<分業のメリット(アダム・スミス)>
- 個々の作業への習熟
- 段取り換え時間の節約
- 機械の発明
- なので、仕事を分担する際の基本原則は、以下の3つが重要である。
- 作業を習熟しやすい範囲を考えること
- 段取り換えをしなくてよいようにすること
- 機械化できる部分は機械化すること
2)調整のメカニズム
分業の結果として、分割された仕事を相互に調整して、全体のまとまりを作りあげなければならなくなるのは当然だ。調整方法は大きく分けると、事前準備と例外処理である。
分業した人々が協働する為には調整が必要だが、その調整に不可欠なのは、「コミュニケーション」である。また組織的な協働の為には当事者たちの協働への意欲喚起が必須だ。
欧米のようにビジネスライクに仕事をこなす国とは違い、人間味ある集団主義を徹底した日本の特性を理解しなくてはいけない。人間一人ではできることは僅かだが、二人いれば3人~4人の仕事ができるもの。これらをうまく機能させなければいけない。
いくら優れた組織設計をしても、それを運用する人達の能力や意欲が欠落していたら意味がない。人同士の連携がうまくいかないと、業務は停滞し労働生産性は低下する。日本の生産性はアメリカの半分だが、働く人の感情のもつれや不仲から、更に低下させるのは深刻な問題で、それを解決しないと給料も上がらない。良好な人間関係を維持して効率的な仕事をせねばいけない。