中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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コロナ収束後の外食!

 

 

ラーメン店の倒産が増えているようだ。ラーメン単価はどんなに高くても1,000円位で薄利多売。狹小店舗が多い中、回転率が勝負だが、コロナによる時短協力の要請で、営業時間が制限されると採算が合わなくなり、経営が厳しくなるのは当然である。

 

その為、朝の時間帯に店を開け朝ラーメンを提供している店が話題にはなったが、定着するのには時間を要するであろう。「焼肉」「ラーメン」「回転寿司」と外食人気が高い業態だけに廃業店舗が増大し、競争による顧客満足度が高まらないのは若干寂しい気がする。

 

国内店舗数が多いラーメン店の経営が厳しいと、食材卸売業者などにも影響が大きく、倒産の波が他業界に拡大していく事も懸念される。

 

 

そういった外食環境の中、緊急事態宣言が解除されて、客足が戻ってきて、お酒がよく販売され、活況を呈している店もあれば、相変わらずテイクアウトが主体の店もあるようで、立地・業態間で差があるようだ。第6派の心配もあるが、居酒屋などは本来なら稼ぎ時である12月の忘年会誘致に向け、今から準備をしなければならない。

 

その前段階の勝負として、今の営業をきっちりしていなければ忘年会に予約をしていただくことは難しい。現況を見れば、長い間、我慢していた店の常連様で活況を呈している店もあれば、そうでもない店もある。

 

普段の頑張りをお客は適切に評価している。店が落ち込んでも強固な顧客基盤がある店は復活が早い。顧客は店の重要な営業基盤で大切にするという、この当たり前の事を徹底せねば、競争力が低下する。

 

「客足戻るもバイト戻らず」と働き手不足で飲食店が嘆いている。一年半以上に渡るコロナ禍で、バイトに辞めてもらった店は客が来るのに入れられない機会損失が生じている。

 

1か月位なら何とかなるが、ここまで長期化して店が営業の自粛を求められると、店側も従業員管理への対応が難しいのが実情であろう。お金を多めに出せばバイトはくるだろうとという単純な話ではない。バイトを使用人や組織の歯車的感覚で酷使する店には今の時代、人は定着しないしロクな人材は来ない。従業員が能力と意欲を高めながら店舗の価値向上に貢献する従業員管理は当然に必要である。

 

「企業は人なり」で従業員の意欲と能力の換気が提供品質の向上につながり、生産性の向上にもつながり、店も従業員もウィンウィンの関係が構築されるものである。この点を徹底した店が生き残れるであろう。

 

また苦戦を強いられているのは当然に外食だけではない。先日、知人が日帰りバスツアーに行ってきた。ツアー客だけでなく、ツアーの仕事が1年半ぶりとの事でワクワクしていたガイドさんがすごく元気だったようである。

 

その為、喋り過ぎて帰りの予定が遅れたらしい。平日でもあり駐車場はガラガラだったようで、土産売場店では2千円出せば5千円の金券と交換できたようだ、廃棄するなら原価割れでも在庫処分したいとの店側の事情である。外食と共に観光資源の有効活用ができるよう、各観光地の再生を期待したい。

 

ようやくお酒が出せる飲食店!

緊急事態宣言がようやく解除され、ゴールドステッカーを持つ飲食店は、10月からお酒が販売できて営業時間も21時までと延長されることになった。さっそく店を再開した飲食店主に聞くと、ずっとやってきた事なのに、しばらくやってないから勘を取り戻すのに一苦労と苦笑いされていた。

 

 

30年も商売され毎日同じ作業の繰り返しで、段取りや要領は体が覚えているようなものではあるが、それを今年は殆ど休んでいたから体が思い出すのが大変だったと思う。知識・経験・技術は相当な人でも、殆ど休んでいたらどんな熟練者でも勘や経験は鈍ってくるもので苦労する。今はまだ本格的に人が動いていなく、まだまだ緩やかな再スタートだから、ぼちぼちと勘を取り戻して欲しいものである。

 

 

そんな環境の中、外食産業が営業再開に向けた人手確保と感染の防止に苦慮している。コロナ前は人手不足で困っていた飲食店だったが、コロナ過では雇用の維持は店の存続の危機とばかり人減らしに注力した店があるのは事実。

 

店の存続を優先に人員を削減した反動で人手確保が難航しており、一部店舗では営業再開を延期している。人を単なる組織の歯車と軽視している店には人は戻ってこない。感染対策には、より人手が必要だから店は難しい運営を迫られ大変だ。

 

従業員満足顧客満足=売上向上ー=店の持続的な成長」、となることを再認識しないといけない。

 

 

 

 

 

緊急事態宣言がようやく解除!

 

 

コロナの新規感染者数が減少し、緊急事態宣言が解除されそうで明後日にも決断されるようだ。それを見据え、長い間短時間営業したり、ずっと休んでいた店が再開に向け、動き出している。大丈夫かなとまだ不安ではあるが、発注の準備をし、また店内洗浄し、メニューも一新してお客様を迎える。元に戻すには時間がかかるが日進月歩で頑張って欲しい。

実証実験をどうするか、現場的にはもう少し早く決定してほしいと思う。そうしないと食材や酒の発注や人の手配が難しいからである。

 

 

 

コロナ過の外食には食材の高騰などの逆風も吹いている。長期豪雨など日照不足で野菜も高いが、輸入牛も高い。ついに松屋も牛丼を320円から380円に値上げする。この20%アップは客数にどう影響するか。牛丼御三家の中では1番低価格だったから、今まで頑張ってきたとは思うが残念である。アメリカと中国の需要増大で輸入牛肉の高騰が原因だが、しばらく続きそうだから先がどうなるか心配だ。それにしても中国のバイイングパワーは脅威である。

 

そういった中、沖縄が発祥の人気ステーキ店「やっぱりステーキ」が絶好調である。コロナで他が店鋪数を減らしている中、確実に増加中。肉を半生焼で提供し、客に自分の好みに仕上げてもらい、サラダバーも設置。セルフサービスを随所に導入し、コストを削減し、その分を50%を超える原価に充当し商品力を強化している。肉質へのこだわりにより顧客満足を高めているから相当な差別的優位性を確保しているから強い。

 

一昔前は業界最大手だった「かっぱ寿司」が、昨日の日曜日限定で、全品半額セールを実施。待ち時間616分と大混乱だったそうだ。店のスタッフは相当大変だったと思う。キャンペーンも混乱を招くと、お客に不満や迷惑をかけ、地域に酷評を浸透させるだけ。入れず次回利用できる半額チケットをもらった人はラッキーだったようだが。もう少し考えて、せっかく実施するなら費用対効果の高いキャンペーンを実施し、ブランド力を高めて頂きたいものである。

 

Withコロナに於ける外食!

コロナで外食不況の中、好調なのが焼肉業態。換気の良さから感染対策の好イメージが定着し、感染を怖がるお客さんに人気である。また接待需要激減で、この時期は高級和牛が値崩れし、今が和牛をお手頃価格で食べる千載一遇のチャンスと喜ばれている。そもそもコロナ前から家が汚れるから、家で焼肉をしない家庭が増えていたことも一因である。今は行動自粛の中で、どうせ外食するなら焼肉をとの家庭も多いようで追い風が吹いているようだ。

 

 

大阪の感染防止認証ゴールドステッカーは現時点で27.113店が認証済み。府下6万店の半数近くになり、申請中もあるから多くが取得に前向きである。これがあれば、近い時期にワクチンの接種率に連動させ、段階的に行動制限を緩和する計画で、認証店舗であれば、営業時間の延長や酒の販売が可能になりそうだから価値があると思う。最初は邪魔臭いと全く興味がなかった店も、取得され大変喜んでおられ良かったと思う。

 

感染者数が減少している中、医療のひっ迫状態もあるから、まだまだ予断を許さないが、そろそろ社会経済のことも考え、先のことも議論が活発になってきた。

一番コロナで大打撃を受けた外食産業もコロナとの共存を前提としたビジネスモデルが必要と言われている。

 

店内飲食を控え、持ち帰りやデリバリーを中核に転換していく必要があると専門家は提言する。費用構造的に考えると、外食は原価が30〜40%だが、それでも客が納得して金を払うのは、接客サービスや店内の快適な雰囲気等が付加価値を創出するからである。それらがなくなるのは店の経営的にはしんどくなるのは避けられない。

 

 

 

確かに、お客さんも今の時期は感染対策として店内飲食よりもデリバリーやテイクアウトを好む傾向にある。マクドナルドの既存店売上高は8月、前年同月比で5・3%増となり、14か月連続で前年実績を上回った。これは、コロナ禍前から、ドライブスルーや宅配の利用が消費者に定着していたことが大きい。

 

ハンバーガー市場は成長が期待され、参入企業も増加中である。鳥貴族や、ロイヤルHDもバーガー店を開業した。コロナ収束後の外食を取り巻く環境の変化に迅速かつ柔軟に適合させることは困難だが、これをうまくやったお店は持続的な競争優位に立てるであろう。

いつも行列のラーメン屋さん!

ラーメン店は日本全国に1万8000店(経済産業省統計)あり、非常に競争が激しい。「出店したい業態」として人気なラーメン店は、新規参入の敷居が他業態に比べ比較的低い半面、同一商圏での同業店舗の乱立、他の飲食店との競争などでレッドオーシャン化が進みやすい業態でもある。結果的に、他店との差別化ができない店舗を中心に競争が激しくなり、リピート客の獲得を目的とした割引クーポンの発行など、低価格戦略による体力勝負の消耗戦を余儀なくされるケースが多くみられる。(プレスリリースより)

 

 

 

近くにあるいつも行列ができているラーメン店。店はカウンターのみで10席。感染対策で間隔を開ける為、実質の稼働客席はもっと少ない。客席が少ないから、ランチ時にはものすごい行列。一見、繁盛店に見えるが、損益を見せてもらうと厳しいもの。今度、コロナ収束後を見据え、店を拡張するが、不安だらけのようだ。

この店は店主の頑張りもあって、コロナ禍においても客足は上々で、口コミでお客様が店前で行列になるほどの盛況ぶりで地元でも評判になっている。営業時間は朝の11時~夜の20時である。(コロナ緊急事態宣言や蔓延防止のためで通常は22時(金・土は23時)まで営業としている。)

ラーメン店の集客の基本である①チラシ(クーポン券付き)、②目立つ看板、③SNSの活用、④顧客管理(直近来店日、利用金額、来店頻度、等で区分化)も実践しており、単に味だけで勝負するだけではなく接客やサービスにも力を入れ、地域一番の繁盛店を目指している。

 

ラーメン店は、他の業態と比較して値上げが困難で年々上昇する原材料費や人件費、家賃など売上に占める経費負担が大きい。また他の業態と同様に外食には、法的保護で守られる範囲が少なく企画がヒットした店があるとすぐ他店が模倣し先発者利益の恩恵が受けにくい。

 

他業態ではあるが、同じ麺類関係の業態である「丸亀製麺」。コロナによる業績不振で韓国から撤退した後、現地企業がノウハウをそのまま真似て運営し人気らしい。後発組は価値を付加するなど改良したり価格を下げたりと追随してくる。繰り返しだが、現状の保護制度では先発者は優位性を持続できず、利益が少なく難しい問題となっている。。

 

 

 

その為、持続的な競争優位性の確保に向け、追随者に対する対策が重要である。外食の基本である(Q)品質、(S)サービス、(C)クリンリネスは当然のこと、味や価格や雰囲気も含めた顧客視点のマーケティングが、今後はより一層重要である。それが本当の意味での差別化で持続的な競争優位性の確保であり、且つ参入障壁にもなるケースがある。最も大切な経営課題である。

この店は経営方針として、「業態転換で独自性を発揮し売上と利益を拡大させながら、長期安定的な経営を目指す。」を掲げている。

 

今は使用していない2階の有効活用で地域の家族客・グループ客を誘致し、ラーメンだけでなくコースメニューも積極販売し、曜日別・時間帯別の安定集客を目指し、季節指数を含め偏在化を極力低減させ、営業体制のムリ・ムダ・ムラを排除するようだ。忘年会用のプランも販売し、稼ぎ時に機会損失のないように計画している。

 

是非とも、地域一番店としての存在感をいつまでもアピールできるように頑張って頂きたい。

 

コロナ過の外食!

人気のうどんチェーン店「丸亀製麺」。ここは各店に製麺機や大きなゆで釜を置き、店での手作り感をお客さんにアピールしている。

 

これらは、セントラルキッチンを設け、店内業務を省力化・マニュアル化し効率運営を目指す他のチェーン店とは一線を画していることを強調しているのである。

 

もちろんチェーン店である以上、単純化・標準化・専門化の3Sを徹底した効率化で単価を下げる事も必要だが、過剰な効率化は人間味をなくすから、その点のさじ加減も考慮したいい感じの店である。

丸亀製麺は、オープンキッチンで他のチェーン店よりキッチンスペースが大きく、その分、営業面積(客席)が狭くなり、やたらと売上拡大を目指す店とは少し違う収益モデルとなっている。その場の収益より、顧客満足度を向上させ、来店頻度を高めるといった運営方針だろう。

これらがいいか悪いかはお客さんが判断することであり、人気店ということは評価されているのであろう。

外食産業は立地産業であるとはよく言われる。二等立地よりやはり一等立地の方が集客力は高いのは当然。味に自信のある店が賃料の安さで二等立地に出店し、集客がうまくいかず広告宣伝費が高くつき、その結果、一等立地の賃料と変わらない費用構造になっていたという笑い話もある。今はSNSもあり隠れ立地でも集客できる店も増えているようだが。

 

そのような店舗の栄枯盛衰のカギを握る立地だが、コロナによる不要不急の外出禁止やテレワークの推進により、大きく様変わりしているようだ。

 

繁華街やビジネス立地の飲食店が大苦戦する中で、郊外ロードサイド型の飲食店では堅調のようだ。仕事仲間との飲食機会は減るが、テレワークで在宅が増え、家族での外食需要は伸びている。郊外に多い回転寿司や大型焼肉店などは業績好調だ。これらは、今後のWithコロナでの立地戦略に大きく左右するだろう。

 

また、飲食店は広げすぎると倒れるとはよく言われる。人気が出ると多店舗化し、市場シェアを高めようとする。経営資源が盤石ではないのに、身の丈に合わない性急すぎる出店は味やサービスの品質を低下させ顧客離反の原因となる。

 

客離れが加速化し慌てて値引きし再集客してももう遅い。でも今はコロナの不要不急な外出禁止で需要が供給を上回る現象も起きにくくなっているから、あまりこういう現象は出にくい状態である。外食市場が潤わない寂しい話ですね。

 

コロナ過で厳しい飲食店!

コロナによる大手ファミレスチェーンの撤退が止まらない。酒類の販売禁止で廃業が相次ぐ居酒屋と同様に苦戦しており、デリバリーやテイクアウトでは補完できていない。特にテレワークでオフィス立地での不振が深刻で、在宅勤務が増えた郊外型立地はまだ家族客で集客できているようだ。立地タイプで業績に差がついており、テレワークを推進する以上、この傾向は今後も続くか。

 

コロナ前は勝ち組だった「鳥貴族」は新業態として「チキンバーガー専門店」をオープンさせる計画だ。国産のチキンを使った「トリキバーガー、焼鳥バーガー」、また健康志向の人のニーズに合致したサラダチキンを使ったバーガーなど8種類。鳥貴族はコロナ過での外食離れで業績が厳しくなっており危機感を持っている。この新業態で朝食市場も攻め復活を目指すようだ。

 

 

そんなコロナ禍でも業績好調なのがマクドナルドである。今年1~6月期の営業利益は、過去最高となる172億円になったようだ。店内飲食は苦戦しているが、テイクアウト、デリバリー等が好調で、ドライブスルーも大きな収益源になっている。こういった「中食対応」と「店舗のデジタル化」等が、うまく対応できている店は競争力が高く業績も安定するようだ。

感染者数がまた増加しており過去最高の記録を更新しており、感染拡大の標的にされている飲食店は、また、しばらくはコロナによる自粛が続くだろうが工夫しながら耐えるしかないか。