中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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いつも行列のラーメン屋さん!

ラーメン店は日本全国に1万8000店(経済産業省統計)あり、非常に競争が激しい。「出店したい業態」として人気なラーメン店は、新規参入の敷居が他業態に比べ比較的低い半面、同一商圏での同業店舗の乱立、他の飲食店との競争などでレッドオーシャン化が進みやすい業態でもある。結果的に、他店との差別化ができない店舗を中心に競争が激しくなり、リピート客の獲得を目的とした割引クーポンの発行など、低価格戦略による体力勝負の消耗戦を余儀なくされるケースが多くみられる。(プレスリリースより)

 

 

 

近くにあるいつも行列ができているラーメン店。店はカウンターのみで10席。感染対策で間隔を開ける為、実質の稼働客席はもっと少ない。客席が少ないから、ランチ時にはものすごい行列。一見、繁盛店に見えるが、損益を見せてもらうと厳しいもの。今度、コロナ収束後を見据え、店を拡張するが、不安だらけのようだ。

この店は店主の頑張りもあって、コロナ禍においても客足は上々で、口コミでお客様が店前で行列になるほどの盛況ぶりで地元でも評判になっている。営業時間は朝の11時~夜の20時である。(コロナ緊急事態宣言や蔓延防止のためで通常は22時(金・土は23時)まで営業としている。)

ラーメン店の集客の基本である①チラシ(クーポン券付き)、②目立つ看板、③SNSの活用、④顧客管理(直近来店日、利用金額、来店頻度、等で区分化)も実践しており、単に味だけで勝負するだけではなく接客やサービスにも力を入れ、地域一番の繁盛店を目指している。

 

ラーメン店は、他の業態と比較して値上げが困難で年々上昇する原材料費や人件費、家賃など売上に占める経費負担が大きい。また他の業態と同様に外食には、法的保護で守られる範囲が少なく企画がヒットした店があるとすぐ他店が模倣し先発者利益の恩恵が受けにくい。

 

他業態ではあるが、同じ麺類関係の業態である「丸亀製麺」。コロナによる業績不振で韓国から撤退した後、現地企業がノウハウをそのまま真似て運営し人気らしい。後発組は価値を付加するなど改良したり価格を下げたりと追随してくる。繰り返しだが、現状の保護制度では先発者は優位性を持続できず、利益が少なく難しい問題となっている。。

 

 

 

その為、持続的な競争優位性の確保に向け、追随者に対する対策が重要である。外食の基本である(Q)品質、(S)サービス、(C)クリンリネスは当然のこと、味や価格や雰囲気も含めた顧客視点のマーケティングが、今後はより一層重要である。それが本当の意味での差別化で持続的な競争優位性の確保であり、且つ参入障壁にもなるケースがある。最も大切な経営課題である。

この店は経営方針として、「業態転換で独自性を発揮し売上と利益を拡大させながら、長期安定的な経営を目指す。」を掲げている。

 

今は使用していない2階の有効活用で地域の家族客・グループ客を誘致し、ラーメンだけでなくコースメニューも積極販売し、曜日別・時間帯別の安定集客を目指し、季節指数を含め偏在化を極力低減させ、営業体制のムリ・ムダ・ムラを排除するようだ。忘年会用のプランも販売し、稼ぎ時に機会損失のないように計画している。

 

是非とも、地域一番店としての存在感をいつまでもアピールできるように頑張って頂きたい。