中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

コロナ後の飲食店は人手不足にどう対応するか!

 

 

マクドナルドに行って客席で商品待ちをしていたら、何とお腹の大きな妊婦さんが商品を持ってきた。立ち仕事である飲食店の、しかも作業動線の長いホールで妊婦さんが働くとは驚きであった。聞くと現在8か月で11月出産予定との事だそうだ。

 

この時期でこんなに頑張るとは感心するが、よく見るとマタニティ型の制服を着用されており、マクドナルドではそういった妊婦さんが働ける制服を用意しているのにも驚いた。この店で働いている妊婦さんは単に人手不足だから働いているのではないようで、自分の体調に問題がなく店に迷惑をかけないなら、できるだけ働きたいとの事で、感心する。

 

昔と違い、マクドナルドといえども人手不足対策には苦労しているようだ。若くて元気で笑顔がいいスタッフ達を揃え、明るい店舗イメージがあり、幸せなファミリーはマクドナルドで楽しい食事をするといった幸せ家族の象徴的な店であった。だが最近は若干変わりつつあり、幅広い年齢層の方々が働いている。

 

コロナ感染拡大の影響が長引きそうで深刻な客離れに苦しむ飲食業界。感染拡大がある程度の収束を迎えた現在も、同業界には多くの課題が山積する。コロナ感染終息後の飲食店が抱える4つの課題を解決する努力が各店には求められる。

 

 

 

1.アルバイトスタッフの離職による人手不足

コロナ前は深刻な人手不足が問題であったが、コロナ感染が拡大後は営業自粛を行政から少ない補償額で求められ、また自粛解禁後も客足がなかなか戻らず、アルバイトのシフトカットや解雇など人件費の抑制で店の存続を図った為に嫌気したアルバイトが離職した。

運営スタッフはマニュアルで標準化されているから、誰でも同じ作業や接客ができるように仕組化されているとは言え、そんな単純な話ではない。募集・面接・採用・教育などとも密接に絡み、人を一から育て上げる大変さは計り知れず、一朝一夕に解決できない。安定した運営を続けるには、最低限のスタッフ確保と少数精鋭で運営できる仕組みの確立が必須だ。一連の作業工程をどこまで人間がやりどの工程を機械化するかも、経営者には工夫が求められていく。

2.稼働席数の減少による売上の低下

稼働席数の減少による売上の低下は損益分岐点を大きく変化させるので経営にとって大変深刻な課題である。コロナ禍では「密閉」「密集」「密接」からなる3密回避の対策を講じないとお客様は不安がって来店されない。

「密閉」については窓の開放や空気清浄機・高機能換気扇の導入などにより、通常営業のまま対策が可能だが、「密集」「密接」については客席の稼働率を下げて対応しなくてはならない。飲食店にとって稼働席数の減少は売上低下と非効率運営を余儀なくされる。以前と同じ売上・利益を確保する為には、単価を上げたり営業時間を延長したりの対策が必要になるが、今の時代は現実的でない。少ない席数でいかに売上を伸ばしていくのか。アフターコロナを生き残る飲食店は、損益分岐点の低い店づくりの為に固定費と変動費を見直し再構築していかなければならない。

 

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3.感染対策にともなう業務の煩雑化

お客様に安全・安心をアピールする為にはハードとしての設備(オゾン脱臭機や高機能換気扇等)やスタッフの体調管理や手指・テーブル・椅子・客動線上の消毒作業など作業負担が増えてくる。それら業務の煩雑化に対する工夫が必要となる。店舗にとってみれば、以前は不要だった作業が多く発生しており、負担の増しているが、十分な衛生管理なしに顧客の来店は期待できない。主要業務と感染対策をどう両立していくかが課題となる。

4.非接触型のオペレーションの確立

最近はファミレスを中心にセルフオーダーを導入する飲食店が増えている。これは、スマートフォンや卓上タブレットといったデジタル端末を使い、インターネットなどを経由して注文をおこなう非対面のオーダーシステムである。慢性的な人手不足に苦しんできた飲食業界を救うツールとしてコロナ前から検討されてきたが、コロナによる非接触型運営の確立には必須のツールになっている。

 

先日、回転寿司「はま寿司」に行ったらペッパー君がご案内。「スシロー」はセルフレジを導入。各店が感染対策で非対面型に力を注ぐ。両方導入すると、席案内はロボット⇒タッチパネルで注文⇒料理提供はベルトコンベヤー⇒会計はセルフレジ、となりほぼ非接触型の外食スタイルが確立される。近いうちに「くら寿司」がこれらを組み合わせた来店から会計までのプロセスを人間が関与しないシステムで客対応する計画である。味気ない外食になりそうだ。

これらを踏まえたコロナ感染や人手対策をどこよりもうまくやり遂げた店が競争優位を確立していくであろう。

コロナ廃業だけではない中小企業の構造的問題!

 

 

東京商工リサーチによると、今年は既に8月の段階で、休廃業・解散した企業が前年比23.9%増の3万5816件ある。3分の2の8か月でこの数字だとい年に換算すれば、軽く5万社を超す計算だ。

 

358万社ある国内中小企業の1%が1~8月だけで消滅した事になる。

 

コロナ禍が長引いた場合に廃業を検討する可能性が「ある」と回答した中小企業は8.8%、全企業では7.5%だった。廃業を検討する可能性がある中小企業のうち、44.4%が検討時期を「1年以内」としており、1-8月の休廃業・解散の増加は「大廃業時代」が現実味を帯びてきた可能性を示している。

 

 政府や自治体はコロナ禍で矢継ぎ早に資金繰り支援を打ち出し、2020年1-8月の倒産は5457件(前年同期比0.2%減)と抑制効果をみせている。だが、資金繰り破たんの回避に重きを置いた支援は企業継続の将来性を必ずしも担保していない。支援効果の息切れが懸念されている約半年を経過し、転業や廃業、事業譲渡を含めた新たな幅広い支援パッケージが求められている。(東京商工リサーチより引用)

 

 

 

 

上記のように、コロナによる業績悪化が主な原因だが、私の周辺では、後継者不在で将来どうするか悩んでいる時に、社長が病気になり事業継続が困難になるケースも増えている。コロナ廃業だけではない中小企業を取り巻く構造的問題が露呈されている。

 

(1947年~1949年)の時に生まれた、団塊世代後期高齢者(75歳)の年齢に達する「2025年問題」。

中小企業社長も245万社の内、半数の127万社が後継者不在。このまま2025年を迎えるなら、黒字経営なのに廃業せざるを得ないというのが、現実味を帯びてきている。

深刻な問題だ。

 

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「半沢直樹」に影響され過ぎの会社員!

#半沢直樹

 

 

人気のTVドラマ「半沢直樹」に影響された会社員は多いであろう。放送翌日の月曜日は特に社内の雰囲気が違うとよく聞く。昔の任侠映画を見た後に肩で風きって歩くような感じに似ており、思わず笑ってしまう。水曜日くらいまではその調子らしい。

 

ワザと眉間に縦ジワを作り打合せをする中堅社員。ノルマを全く達成できないダメ社員が、「理不尽な要求は却下する」と上司を睨み、組織の秩序を乱すことケースも。また社長までもが「中野渡頭取」を意識し、会議でしかめっ面をマネしながら無口になることもあるようだ。いい刺激を受けるのならいいが、過剰な「半沢直樹ドラマ」への感化で間違って使われれば職場の弊害になる。

 

「現実の職場で部下が倍返しの発想で得るものはない。ビジネスの世界では喧嘩したら終わり。そのことを認識して仕事をして欲しい。」と原作者の池井戸氏は言っている。

 

ドラマの世界に入りすぎて職場における自分の存在を失わないようにせねば。

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共に店を経営していた内縁の妻へ配慮した判決!

 

母と別れた父が新たな女性と恋仲になり一緒に居酒屋を始めた。自らが所有する不動産の一階を改装した住居兼店舗である。それほど商売繁盛しているようではない店だが、家賃がいらず何とか二人で仲睦まじく生活と経営ができているようである。いつかは籍をと思っていたが息子(一人)に遠慮してずるずるきていたのである。

 

しかしその幸せはいつまでも続かなかった。体調を崩した父がそのまま帰らぬ人となってしまったのである。相続人は前妻との息子である。

息子は相続した不動産をどうするか悩んでいたが内縁の妻をずっと住ませるつもりはなかった。所有者は権利のない占有者に「出ていけ」という権利がある。だからこの相続を機に建物の明け渡し請求を内縁の妻に求めたのである。

 

家主だった父と一緒に住んでいた内縁の妻との間に賃貸借、つまり家賃を発生させるような契約があれば、賃借人は新しい所有者に賃借権で対抗できる場合が多いが、一般的に一緒に住んでいる家について賃貸借契約を結んでいるケースはあり得ない。そうなると、内縁の妻にあるのはせいぜい「使用貸借」と呼ばれる弱い権利にすぎず、新たな所有者には対抗できないのが原則だ。

だが、内縁の妻がいままで平穏に暮らしていた住まいを追い出されることになってしまってはあまりにも気の毒である。判例は内縁関係には可能な限り法律婚と同様の法的保護が与えられてしかるべきであり、古くからあの手この手を使って、内縁の妻の「居住権」を認める結論を導いてきた。

 その理論構成としてもっとも多いのが「所有者からの明け渡し請求が権利の乱用にあたる」とするものである。それ以外に、内縁の夫と内縁の妻との間で、2人が同居していた内縁の夫が所有する建物について、内縁の妻が死亡するまで「内縁の妻に無償で使用させるという使用貸借契約が黙示的に成立していた」と認定して、内縁の妻に対する建物の明け渡し請求を認めなかった判例もある。不動産を相続した相続人がそれまで住んでいた配偶者を追い出すような請求は、原則的には認められない場合が多いのが現実だそうだ。

 

どうしても建物から退去させなければいけない客観的合理性があれば話は別だが、多くの判例では、相続人に、この建物を使用させなければならない差し迫った必要がなく、逆に、内縁の妻・夫の側で、この家屋を明け渡すと家計上相当な打撃を受けるおそれがある等の事実関係の下では、相続人が内縁の妻・夫に対して明渡請求をすることは権利の濫用に当たるとして、明渡請求を認めていない。

裁判長の温情ある判決には心が温かくなる。

 

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効果が見えない「GoToイート」

 

 

 

今月開始される「GoToイート」。だが、その受皿となるはずの飲食店の倒産・廃業が相次いでいる。

 

外食業界は、コロナ感染による自粛要請から、慌ててテイクアウトやデリバリーを開始して、来店客減少を補おうと努力したが、補完しきれていないのが実状である。

 

業態によっては売上が9割減少している。新しい生活様式が話題となる中、自宅での飲食が増えて人々の気持ちが外食から離れていってしまわないか飲食店は心配する。

 

1997年の外食市場規模29兆円がデフレもあり25兆円まで規模が縮小される中でのコロナ騒動。

 

通常の損益分岐点が90%程度の飲食店。売上が1割下がれば営業赤字にすぐ転落する。それが売上半減では低い手元流動性や利益率から見ても給付金をもらっても3か月持たせるのは至難の業。現金商売に依存した個人経営店は手元資金が月商1か月分も有しないケースが多い。

 

 

そのコロナ感染が発生し半年が経過したが、限度を超えた採算割れに、元々乏しい経営資源しか保有していない特に個人経営者の飲食店、経営を持続させることは困難で、もがき苦しんでいるようだ。

 

固定費である賃料の引き下げを家主に求めても実現できるのは、交渉力のある大手だけ。中小や個人店はコロナを契機に追い出して、優良テナントに入れ替えたい思惑の家主で難しい。

 

飽きやすく惚れやすい日本人の消費行動では、業態の陳腐化サイクルも早い。コロナ感染前から1年で3割、2年で半数が廃業し、10年存続しているのは1割程度という外食業界。

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各店の自助努力にも期待しないといけないが、その外食業界を応援するならもう一度、給付金か、若しくは「飲食店は消費税0」の方が店はありがたいだろう。それにしてもややこしく加入条件も厳しい制度の仕組み。あまりにも少ない予算規模から見ても、国が救済しようとする姿勢が伝わらない。

 

 

コロナで運の悪い大学一年生!

せっかく大学に入ったのに一度も学校に行ってない新大学生。友達もできず、先生から直接に授業を受けられず、楽しみにしていたキャンパスライフを送れないでいる。大学生になった実感がなく、学校に行ける目途が立ってないのに、当然のようにくる後期授業の請求書に嫌気する。

 

ずっとオンライン学習で部屋に閉じこもり、1人で悩み休学や退学を決める子やうつ状態の子もいる。心のケアが必要だ。

 

地方から大阪や東京で一人暮らしを計画し、部屋を借りて家具まで揃えた新大学生は多い。だがコロナでバイトもできず、授業もオンラインだから実家に帰ってきている、その下宿の空家賃を払い続けている。この現状を何とかしないと親の負担が大変だ。

 

小中高は始まっているのなぜ大学だけと憤る学生達。GoToトラベルも大事だがGoToスクールもお願いしたいもの。

非接触型の店舗運営の味気なさ

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回転寿司の市場は拡大しており、1兆6912億円(2017年)の市場規模で「スシロー」「くら寿司」「かっぱ寿司」、そして「はま寿司」の4強が激しく戦っている。

 

回転ずしでは後れを取っているが、外食業界では断トツの1位である「ゼンショー」。すき家なか卯・ココスなど20ブランド(9,824店)を展開する巨大チェーンである。

ゼンショー」の社名の由来の一つは「全勝」であるだけに、これから巻き返しに力を入れそうだ。

 

 

先日、そのゼンショーグループの回転寿司「はま寿司」に行ったらペッパー君がお迎えしてくれた。全国に498店ある回転寿司チェーン「はま寿司」は、すべての店舗にペッパー君を導入し来店客をお迎えし案内してくれる。魚のイラストがデザインされた制服に身を包み立派なロボット店員さんだ。

 

 

ペッパー君は一時期、注目されていたが、うまく活用されず伸び悩んでいる企業が多い中、そのペッパー君を「はま寿司」はうまく活用しているようである。

 

ゼンショーの傘下である「はま寿司」も急速に店舗数を増やしたが、結果として増え続ける来店客を効率よく誘導しきれないという課題も抱えていた。その救世主がペッパー君だったのである。

ペッパー君は1体あたり月額55,000円で、年間66万円。はま寿司では498体のペッパー君が活躍しているので、1年間で3億2868万円の投資である。一見高額に思えるが、時給に換算すればペッパー君の時給はわずか164円らしい。休憩もいらないし待遇や人間関係に文句も言わない。費用対効果が高いペッパー君は日本語に加え、英語と中国語に対応する「トリリンガル」になっていくようだ。この進化は人間にはまねできないが本来の人間味あふれる接客が売り物の飲食店では寂しい気がするが、コロナ感染で非接触型の店舗運営を仕組化しようとする外食業界では立派な戦力となっているようだ。

 

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ちなみに「スシロー」はセルフレジを導入して非接触型のレジ会計にしている。最後の接客であるレジ会計が機械とは寂しいものだ。

 

「はま寿司」が「スシロー」のようにレジ会計も「セルフレジ」にすれば、入店して席案内⇒タッチパネルで注文⇒料理提供はベルトコンベヤー⇒会計はセルフレジ、となり見事な非接触型の外食スタイルになる。味気ない外食になりそうだ。

 

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