中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

いきなりステーキの先行きが心配!

いきなりステーキの異例なお願いが話題になっている。ここ最近の業績不振にやたらと注目が集まっていたが、この度、店頭にて、「このままではお近くの店を閉めることになります」と地域のお客さんに訴えかけている。

 

 

  

 

 

その貼り紙とは、

 

 

社長からのお願いでございます 従業員、皆元気良く笑顔でお迎えいたします いきなりステーキは日本初の格安高級牛肉の厚切りステーキを気軽に召しあがれる食文化を発明、大繁盛させて頂きました 今では店舗の急拡大により、いつでも、どこでもいきなりステーキを食べることができるようになりました しかし、お客様のご来店が減少しております このままではお近くの店を閉めることになります 従業員一同は明るく元気に頑張っております お店も皆様のご希望にお応えしてほぼ全店を着席できるようにしました メニューも定量化150g、200gからでも注文できオーダーカットも選べます 創業者一瀬邦夫からのお願いです ぜひ皆様のご来店を心よりお待ちしております

(「いきなり!ステーキ」店頭の貼り紙より)

 

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私は外食業界に長く関与しているが、業績不振だからと言って、今までこんな行動をとった外食企業は記憶にない。「いきなりステーキ」がなくなれば皆さん困るでしょと言わんばかりの訴えに見て取れる。自分たちの社会の於ける存在感を少し勘違いしているのではないか。

 

また、いかにも自分達がステーキを庶民風にアレンジした業態開発の先駆者だと、言わんばかりのさりげないアピールに同業他社はどう思っているだろうか。上から目線での訴えに不快に感じるお客さんも多いと聞く。

 

 

 

しかし今回の件で店の人も働きにくいのではなかろうか。この告知は店で働く従業員達に、「この状態では店を閉めますよ。仕事を失いたくないなら必死に働きなさい。もっと自分の知り合いを客として来店させなさい」と強要しているようだ。はっきり言って今は仕事はいくらでもあるから、こんな仕打ちをするなら逆効果だと思う。

 

店の危機感をお客にアピールする、このなりふり構わない行動は通常考えられない。お客さんに何を求めているのか。自分達で積極出店しすぎたことが、業績不振の原因の一つでもあるはずで、要は自業自得である。

 

同じグループ内に似通ったステーキ業態があり、市場のカニバリゼーションも起こしている。積極出店と言う経営戦略にマネジメントがついていかず、現場の対応力不足で客足が遠のいてしまった事も否めないだろう。

 

戦略と管理の一体的推進は経営の原理原則であり、経営力の弱さが問われるだけだ。自分達の失敗で業績不振に陥ったのに、お客さんに何とかしてもらおうとする姿勢には違和感を感じる。

 

 

 

一般的に業績不振の8割は内部要因にあるというのが経営の原則だ。今までの社会貢献をアピールし、これだけ頑張っているのにお客が来なかったら、店を閉めますよと訴えるのは、いかがなものかとも思う。

 

それよりも積極拡大で露呈した脆弱な運営力を再度見直し整理し、強化した上で、再チャレンジしていってもらいたいものだ。

 

 

 

しかし今回の騒動は社長の独善的リーダーシップからなるものか。周辺の人間は誰も止めなかったのだろうか。これほど大規模な組織になれば、社長の暴走をけん制する抑止力的な力が必要なのは当然だとも思う。

 

多くの利害関係者がいる東証一部上場企業の社長としての自覚と責任はどうだろうか。

 

 

私の周りには、「いきなりステーキ」のファンが多くいる。その人達全員が応援しているだけに、今回の騒動は残念であった。

 

私を含めてみんながこれからも「いきなりステーキ」を応援していくので、その期待を裏切らないように頑張ってほしい。