11月1日は「中小企業診断士の日」がマイドーム大阪であり、時間があったので大阪で人形の町として有名な、松屋町に挨拶回りに行ってきた。 私は以前、この地で焼肉店を経営していた時に、松屋町の皆様には大変お世話になったもの。特にこの界隈でも有名な「人形の増村」さんには、社長や従業員の皆さんにご愛顧頂いたので感謝しており、真っ先に訪問した。
ちなみにご長男は中小企業診断士の勉強をされており仲良くさせて頂いたものである。店に行くと三男さんがおられ昔話で時間を忘れるくらい盛り上がった。 今、松屋町はオフシーズンを終えこれから雛人形や五月人形などの販売シーズンとなるので準備に必死である。少子化や住宅背景などの原因で需要が縮小する中、どの店も苦戦を強いられており、皆さん生き残りに必死である。
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商店街を見ても撤退する店が増えており、賃貸マンションに業種転換した店も多い。近隣同士でも情報の探り合いで、他店の撤退情報に敏感になり、各々の店舗が残存者利益を狙っている。市場が成長している時、皆が利益を享受しあう関係で仲が良かった共存共栄の頃が懐かしいと嘆いている。
松屋町は「マンダム」や「味覚党」など有名企業も多く、ミナミや心斎橋にも近く、住むのには便利な町である。周りを見渡せば、人形店ばかりで飲食店が少ないといった、統一業種戦略の商店街にありがちな、需給バランスの偏在が顕著である。実はそれを見込んで出店したのである。ちょうど居抜き物件があり、イニシャルコストとランニングコストの削減が可能な店であったので出店を決めたのである。
私は今までも居抜き物件を安く仕入れ、繁盛する運営の仕組みとそれらで吸引し固定化させた顧客基盤をパッケージとして譲渡するビジネスを展開していたので、この店も3年でそろそろ売却時期だなと見極めて売却することに決めた。こうやって飲食店の売買を多く手がけてきたが、この店の売却だけは苦労した苦い思い出がある。何故ならばこの町で飲食店をやろうと希望する人が少なかったのである。
確かに飲食店が密集すれば競合して苦戦を強いられることも想定されるが、それだけ商圏が拡大するというメリットがあるので、飲食店開業希望者が多いのが現実である。
松屋町は住むには便利だが、飲食したりするのは、みんなミナミや心斎橋でと使い分けする人々が多いだろうと思って出店にはリスクがあると思うのである。潜在需要の顕在化に向けて成功している老舗飲食店もある現実も見て欲しいものだ。
売却には苦労したが、何とか譲渡できてこの町を後にすることになったが、本当にこの町の皆さんにはお世話になり感謝している。市場に逆風が吹く中、何とか頑張ってほしいものだ。
因みに高度経済成長をがむしゃらに頑張った団塊世代の社長が、この町にも多くおられる。その社長さんから事業承継が全く進んでいないと相談を受けたことは、単に昔を懐かしみ挨拶周りに行っただけでなく、私の仕事にもプラスになったので、行ってよかったなと改めて思った。
その店の息子さんも言われていたが、何故事業承継の準備が一向に進んでいないのかと言うと、父である社長に事業承継のことを言うと、自分の存在を否定されたと勘違いした社長が怒るのだというのである。
でもそれでいつまでも事業承継の準備をしなかったら、いずれ社長にもし何かあったら大変である。準備ができていなかったら、残された家族だけでなく従業員や取引先が困ることを認識しなければならない。
社長がいつまでも元気である保証はないので準備に着手しないといけない。子供だから言いにくいなら客観的な立場の第三者である私から言って差し上げるのでと息子さんを説得した。「備えあれば患いなし」である。