中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

中小企業の経営者の高齢化!

中小企業の経営者の高齢化が進んでおり、経営者年齢のピークはこの20年間で50代から60~70代へと大きく上昇している。また、後継者の不在状況は深刻であり、近年増加する中小企業の廃業の大きな要因の一つである。

 

現在、6割の中小企業が後継者不在に悩んでおり、コロナによる業績悪化も加わり、事業継続を断念する企業が増えている。黒字でも後継者が不在の為に廃業の道を選択せざるを得ない企業も増えており、中小企業庁は事業承継支援により力を入れているようだ。中でも、従業員承継やM&A による承継をより支援しており、最近は非同族への承継が増えている。

 

2022年の承継内訳は親族内承継が34.0%とやはり一番多いが、でもその割合は年々低下し、上昇中である従業員承継は33.9%との差は僅かなようだ。またM&Aによる承継も20%あり伸びている。

 

サーチファンドジャパンによると、今年はサーチファンド元年と言われ、この取り組みに注目が集まっている。サーチファンドとは、経営者を目指す個人が主導して中小企業のM&Aを行い、自ら経営に携わる活動である。優秀な経営者候補と魅力的な中小企業をつなぐ、社会的意義のある投資の仕組みである。サーチファンドに取り組む経営者候補はサーチャーと呼ばれ、優秀な人材にとっての新しいキャリアとして世界中で拡大を続けており、事業承継や地域活性化の観点からも、急速に注目を集めているようだ。

 

このように、中小企業の後継者不足問題は日本経済に於いて喫緊の課題だが、まだまだ真剣に考えていない経営者は多いようだ。もし突然、自分の身に何かあったらどうするのか全く考えていない経営者も存在する。

 

 

先日、事業承継した若手経営者からの助言を聞いた。「経営者に向くタイプと勤め人に向くタイプの二つがあり、経営者に向かない人が社長の息子だからと継ぐとみんなが迷惑する。経営に対する意欲や覚悟がなければ事業を継続させる事は難しい。また人がついてくる人柄と熱意や手腕も必要だ」との事であった。

 

跡取り息子がいても、経営者としての資質がない人に継がせても事業の存続どころか、長年続いた会社を壊滅状態にするのであれば、親族外承継である従業員・役員、又はM&Aにて会社を更に成長させてくれる人を経営者にした方がいい。

 

事業承継が心配される「2025年問題」に残された時間は少なくなってきている。「備えあれば憂いなし」であり、今からでも確実に承継の準備を進めていくことをお勧めしたい。

*2025年問題とは、2025年までに中小企業・小規模事業者の経営者約245万人が、平均引退年齢である70歳を超えるが、約127万人の後継者がまだ決まっていない状態。一般的に中小企業・小規模事業者では、企業運営の多くを経営者自身の経営能力や意欲に依存しており、後継者未定の半数に黒字廃業の可能性がある。その為に、2025年までの累計で約650万人の雇用と、約22兆円のGDPが失われる可能性があるとも言われている。
中小企業・小規模事業者が持つ技術やノウハウなどの貴重な経営資源を守るためにも、後継者の養成や資産・負債の引継ぎなどが喫緊の課題となっており、また、中小企業庁では、今後は第三者承継(事業承継型M&A)のニーズが一気に増大する可能性があるとしている。(中小企業白書より)