好調な業績を上げている居酒屋の店主が、勢いそのままに2店舗目を出店するとの事で相談に来られた。色々とインタビューをして、現状分析から感じた事は店主が勘や経験で経営しているということである。
「原価率はどれくらいですか」との質問に「4割ぐらいだと思う」との回答。「人件費は?」との質問にも「どれくらいかな?利益は出てるから大丈夫」とのアバウトな回答である。どんぶり勘定過ぎてよくやってこられたなと感心したものである。
1店舗でもこの数値管理では2店舗目はどうなるか危惧される。2店舗目を出したら厳格な管理をするようには忠告したが、性格的にいい加減なタイプなので期待できないように思える。
自分の目が届く範囲でやるならともかく、他人に店を任せる以上は費用構造の適否を明確に示し、数値に基づいた指導をしなければいけないのは当然のことである。損益管理と現金管理を徹底せねばならない。他人を甘く見てはいけないし、性善説で見て信用し過ぎてはならない。
またいくら商売が繁盛してても「勝って兜の緒を締めよ」で謙虚な姿勢でなければ、人間の器を問われることも指摘した。この相談者は自己中心的で人の助言にも、聞く耳を持たない社長であった。
我流でやってきて儲かっているから2店舗目を出せるんだと傲慢な姿勢でもある。2店舗目の出店の為に、日本政策金融公庫からも1500万借入できたらしい。この事は国の金融機関に信用というお墨付きをもらったという事だとも自負していた。
来店客に対しても「こんな客はいらん」とか言って、顧客を選り好みしたりと高飛車な態度。自分の店に自信を持つのはいいが、いつまでも好調な保証はないと思うので改めるように促すが、自分のやり方にケチをつけられたくないのか気に入らない仕草をする店主である。相談に来られても聞く耳を持たなければアドバイスしようがないのが現実である。
私の経験から言うと、どんぶり勘定による弊害は大きい。飲食店は現金商売で赤字でも金が回っていたら、特に問題意識を持たない経営者が多い。赤字に気づかなければ改善努力をしないから、いつまでも店の低収益体質は変わらない。いつまで経っても貧乏暇なしで、業者への支払いの為に日々働いているようなものである。またこれが分かっていない。
飲食店の黒字倒産も問題だが、赤字でも延命できる経営も同様である。経営者は月次だけでなく、日別・週別採算を意識せねばならない。暴利をむさぼれとは言わないが、適正利潤を確保し、永続的に顧客満足を追求していく事がミッションのはずである。顧客のことを大切にしたいなら店も適正利益をストックしていく事が肝要である。
参考までに、資金繰りに苦しむ飲食店でよくある原因が、支払いよりも売上入金が先になる取引条件になっていない事である。信用力が低く金融機関から思うように借入できない時は、この入金と支払いのタイムラグから生じる回転差資金をうまく活用した方がいい。回転さ資金を留保し、円滑な運転資金にしていけばお金が回るようになる。この条件であれば無資金になっても持続的な経営が可能である。買掛金は無利子で返済不要の借入金ということを認識して円滑な運営を実現させよう。
最後までお読みいただきありがとうございました。
宜しければポチッとお願い致します。
↓↓↓