あらゆるモノの値上げラッシュが続くが、値上げ発表の際に批判の声が多い店と、今までよく耐えてくれたと労い、そういう中でも今後も応援する姿勢を示して頂ける店との差は明白である。
20%の顧客が80%の売上をつくるといったパレートの法則(全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部の要素が生み出しているとした80:20の法則)があるが、困ったときに助けてくれるのは常連さんである。その常連さんの固定化に向けた店舗政策を効果的に実施しなくてはならない。
まずは、RFM分析(Recency(最近の購入日)、Frequency(来店頻度)、Monetary(購入金額ボリューム)の3つの指標で顧客をランク付けし、優良顧客・新規顧客・休眠顧客・離反顧客等に分類し、それぞれに適した顧客管理を徹底することが肝要である。
コロナ過で、いち早く再生で来た店は店を支持してくれる顧客基盤が盤石だったことが要因の一つである。
「低価格で美味しいイタリア料理を提供する」という強烈なポリシーに基づきぶれない経営をするサイゼリヤ。これだけ安いメニューで商売しているのに、きちんと利益も出している。
また、「値上げしない宣言」までして、お客さんは頭が下がる思いである。サイゼリヤの費用構造を見てみると、広告宣伝費が極端に低い。通常、外食チェーンでは売上の2.5%を広告予算として計上し、集客や来店頻度の促進策として活用している。
因みに外食業界の最強企業であるマクドナルドは2.8%くらいである。サイゼリヤはテレビCMはもちろん、チラシもクーポン券の配布など広告宣伝を一切しない。顧客が勝手に口こみやSNSで店の価値を発信してくれる。こういった熱烈なファンを多く生み出しているから業績が安定しているのである。
低価格の業態でスタートしたのに、いつの間にか中途半端な価格帯になり、ちぐはぐなクーポン券の配布で業績悪化に陥っている店は参考にしたらいかがだろうかと思う。