中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

困った時に助けてくれる支援者!

 

 

昔、お世話になった人柄のいい焼肉チェーン店の社長。成長市場と予想すると銀行も前向きな姿勢で積極的に融資してくれ、二人三脚で事業規模を拡大させた。利益を享受し合う両社はWin-Winの関係である。

 

 

だが狂牛病(BSE)事件が発生し、事態は急変した。日本人好みの仕様で肥育されていたアメリカ牛に依存していた日本。輸入が止まり在庫がなくなるのは時間の問題となった。急遽、オージービーフに切り替えたが、牧草飼育の赤ベタの肉は日本人の嗜好には合わず、仕入れ価格も高い為、不当廉売もできずにそのままの価格で提供すると、「高い、まずい、話にならん」とあっという間に酷評が浸透した。

 

牛肉の輸入量ではアメリカとオーストラリアは共に40%のシェアを持っていたが、マクドナルドなどハンバーガーチェーンが多く使用するのがオージービーフであり、焼肉業界にはほとんど入ってこなかったもの。

 

代替牛は見当たらず万事休すの状態に焼肉各店は悲鳴を上げる。アメリカ牛にこだわる吉野家も泣く泣く牛丼の販売を中止し、外注加工の麻婆丼などを販売するなど業態転換を余儀なくされた。

 

最初の内は、資本力があり在庫も数か月持っていたチェーン企業の中には、この事態に町の焼肉屋さんが廃業し、市場シェアを高められるとほくそ笑んでいた企業も不謹慎ながら実在した。しかし実際には諸事情からチェーン企業の方が淘汰されていったものであった。

 

 

その店も業績が急落し、ついに民事再生の手続きをする事になった。自宅も担保に借入をしていたが、銀行は「いい人で長年儲けさせてもらったから」と担保権を行使せず、再生に協力してくれ、また付き合いの長いビールメーカーもスポンサーに名乗りを上げて積極的に支援をしてくれたのである。同じ倒産処理でも大きく違う債権者達の思惑を目の当たりにして、人柄は大事だとつくづく思ったものだ。

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