楽天が送料無料を出店者に強要しているとの事で反発をくらい揺れている。出店者は、「楽天は優越的地位に胡座をかき出店者を食い物にしている」と批判している。業績好調の、「ワークマン」や「ウォルト・ディズニー・ジャパン」も楽天からの撤退を決め、これからも同調者が増えそうだ。
送料の基準が統一されれば、今後は送料を含めた価格を表示するため、出店者は価格に転嫁するか、送料分を負担せざるを得ない。数百の出店者らでつくる任意団体「楽天ユニオン」はその署名を公正取引委員会に提出している。
出店者側は、独占禁止法で禁じている「優越的地位の乱用」に当たるとしており、公取委の判断が注目されるが、その日の記者会見で、公取委も「優越的地位の乱用」に当たる可能性があると言っているようだ。
そういう中でも三木谷社長は強引に実行するようでまた反感を買いそうだ。政府や公正取引委員会と対峙しても送料無料を実施すると強きの姿勢である。
三木谷社長のTwitterによると、
公取や行政のマスコミにリークをして、牽制をかけるやり方はあまりに時代錯誤で酷すぎる。このような体質が日本のイノベーションを阻害する。送料の標準化は消費者のニーズであり、店舗の売上を上げるための施策であり、原則3980円以上、送料無料ラインの統一は予定通り実施致しましす。(三木谷社長のTwitterより)
との事である。
創業時は「田舎のお店でしか売れていないものを全国に広めたいんだ」との熱い思いで、三木谷社長自ら開拓していったというが、会社の規模が大きくなるに連れ、創業時の理念は変わっていったのであろうか。
一代で楽天を巨大企業に成長させたところは素晴らしく、言動を見ても器の大きさを感じるものだ。それだけに今回の動きは残念である。
私も経営コンサルタントとして幾多の経営者と仕事をしてきて思うことがある。何代も続く老舗企業は経営理念がしっかりと会社に染みついているから、後継者もそれを確実に伝承しているもの。環境変化に柔軟に適合させている部分はあるが、「基本を徹底し、変化に対応」という経営のスタンスを崩さない。
しかし一代で急速に起業規模を拡大した創業社長はそのカリスマ性を勘違いして経営の原点を忘れたり、金儲けに埋没し理念を疎かにしている所があるから、舵取りでもブレまくる傾向がある。
三木谷社長は後者のような社長ではないと思うが、もう少し出店者に歩み寄り、再度、WinWinの関係を構築してほしいと願う。