中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

モノづくりに情熱を掲げるのはいいが財務判断力も習得せねば!

 

 

技術力には定評があり、親事業者から、「あんたの会社だったらこの仕事もできるのでは」と持ち上げられ、その加工用の設備投資を促される下請け企業。

下請け側も資金がないからと断るが、どうしてもその下請けをうまく利用しようとする親事業者は、それでは貸してやると更に促す。結局、優越的地位を利用してやらそうとする親事業者に、今後の取引を気にして屈する下請け企業がある。

 

 

 

 

結局、親事業者から資金を借りてその加工専用の設備を購入する事になった。金を借りた恩があり、その親事業者には採算が取れない位の単価で受注し納品する契約を締結する。いいように利用されているのに築かない立場の弱い下請け企業。

 

コア技術に関連した技術もあれば収益機会を増大できるが、長期的視点に立った費用対効果の見極めができずに失敗する会社は多い中、その下請けも同様の道を辿る。

 

財務に見合った投資をせねば経営は成立しない経営の原理原則を理解しないと取り返しのつかないことになる。

 

 

 

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技術力だけでは経営できないと強く痛感する中小企業は多い。今まで培ってきた技術やノウハウはあっても経営力がない為に、働いている割に会社にお金が残らない現実。

 

外部から見る以上に会社は火の車だ。職人気質の熟練技術者は技術の優位性はあっても経営管理の能力がないのでいつも「貧乏暇なし」である。

 

過剰な設備投資に於いては、過去にも色々問題があった。

町工場が集積する企業城下町。しかし排他的な所があり、よそ者には冷たい町。その結果、総ての工程や機能に於いて自前主義の生産体制を構築する事になり、これが結果的に、一貫生産体制につながった会社が多い。

 

 

 

あそこに頼めば素材加工から最終工程まですべてやってくれるとなり、「一貫生産だからコスト競争力もある」と、勝手に取引先が思いこんだもの。

でも実際は設備投資と人材確保が相まって固定費増大から損益分岐点が高くなり、景気が良くて受注が順調な時はそれら費用を吸収する売上があるが、景気が悪化すると赤字の垂れ流しである。取引先からは重宝されても経営実態は酷いものだ。

 

 

 

 

 

 

またその設備投資の為に膨らんだ借入金も許容範囲である償還可能年数である10年を大幅に超えている現状。大量の機械を抱えて一貫生産することが、自社の強みであると信じて内外にアピールする社長。その強みを更に磨く為に、どんどん利益を設備投資に振り向けていく。財務知識がなく重要な財務判断ができないのに無謀な設備投資をする。

 

 

 

受注対応能力が高まったおかげで受注が増え売上は伸びたが、その分借入が増加して固定費が増加して損益分岐点の高い経営になっていることに気づかない下請け社長。モノづくりに情熱を掲げるのはいいが、資金繰りなど財務管理を徹底しなければ、結局はやりたいことができなくなるだけでなく、多くの利害関係者に迷惑をかけることを自覚しないといけない。