サラリーマン時代から、趣味である「食べ歩き」を奥さんと共に楽しんでいた旦那さん。お互いが「自称グルメ」で美味しく食べることを共通の価値観とし、夫婦仲良く暮らしていたものである。
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そして旦那さんが定年退職を機会に、趣味と実益を活かそうと、夫婦が一緒に念願である飲食店をオープンすることを計画した。「自分達の店を持ちたい」という共通の夢を実現しようとする夫婦。商圏調査を徹底し立地選定、事業コンセプト・メニュー作りコンセプトに合致した店内外の改装、接客サービスも含めた運営の仕組み、等を二人でワクワクしながら構築していった。この一連の作業プロセスに夫婦は高揚感を感じていたようである。
飲食店は他業界と比較して参入コストが低いとはいえ、夫婦が計画している30坪くらいの店でも、物件の保証金を含めて2000万以上はするものである。二人は退職金があるとはいえ、最初から軌道に乗せるのは困難だとして、6か月分の目標売上分の現金は運転資金として持つことにした。
その為、その分の初期投資を抑制する為に、自由度に制限はあるが、低コストで出店ができる居抜き店舗を選定することにした。何をやるにもお互いに相談して決めていく2人。そしていよいよ開店。昼は定食メニュー、夜は居酒屋メニューの店である。
2人は半年間、休むことなく朝から夜遅くまで、必死に働いた。この店で今後2人は生活していく事になるので、目標売上のベースとなるお客様の数だけはストックしようと来店頻度・顧客・目標売上から顧客の絶対必要数を設定していた。
そしてその数だけは絶対に確保して顧客基盤を強固なものにしようと、来店するお客さんに愛想を振りまき、常連化・固定化させるように努力した。その「自分達の店を持ちたい」という共通の夢を実現した夫婦。寝食を忘れ必死に働いて、何とか経営をしていたが、なかなか結果が出ない。その為、意見の相違も頻出し、夫婦仲も徐々に悪くなり、ついに離婚することとなった。
夫婦と言えども所詮は他人。生まれも育ちも文化も習慣も違う二人が結婚を機に共同生活を送るが、価値観の違いから亀裂が入ることはしょうがないことである。恋愛時代はお互いが合いたいときに合い食べたいものを食べる。それらが結婚するとできなくなるのは、頭では理解しながらうまく切り替えられない。
また恋愛時代はお互いの良い所しか見ようとしないが、ずっと一緒にいると嫌な所ばかり見えてくる。そういう時こそ良い所を思い出さなければ長続きしないが、それもなかなかできないもの。結婚生活を長く続ける秘訣はお互いを見ないことであるといった人もいるくらいだ。
この夫婦は飲食店を甘く見ていたというだけでなく、夫婦で協力して夢を実現するという確固たる思いや姿勢が欠落していたのであろう。飲食店を経営しようとする人は動機も含めて様々なものである。中には、経営は大成功するが、創業時の理念を忘れ、金儲け主義となり、夫婦共に遊び癖と浪費癖がつき店は崩壊するという店もある。「初心忘るべからず」だ。
他人とは言っても、赤の他人同士の職場は異なるもので、夫婦よりも更に気遣いが必要である。多様性はもちろん、お互いの個性を認め合い尊重し合う関係が重要だ。夫婦生活と違い、職場では人材をいかに有効に活用することで生産性を高められるかが求められるもの。職場のリーダ-になれば働き手のモチベーションと能力を高め、会社から求められた数字を常に達成できる仕組みの確立が重要だ。
組織の上に立つ以上、誰に対しても優しくするように心掛け、いちいち人の細かな言動に腹を立てたり、苛立つ態度を取らない「心が広い人」にならなければいけないものである。