私が前職時代からお世話になっている、京阪枚方駅の近くにある焼肉店「大同門枚方店」を訪問し、相続と事業承継の打合せをしてきた。オーナーは今72歳、まだまだ現場で活躍している。息子さんに10年前から厨房を任せ、オーナーがホールの分業体制だが、権限も段階的に委譲し、今はオーナー不在でも円滑に運営できる体制が構築済みである。
認知症による不動産・預金の凍結を防ぐ 家族信託・活用ガイド: ?はじめて家族信託(民事信託)にふれる一般の方を対象に分かりやすく解説? 家族信託・相続・後見シリーズ
- 作者: 柴崎智哉
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最初はダメ出しばかりしていたが、今はあまり口出しせず、「任せる事は育てる事」を徹底されたようである。
この店は創業45年、地元でも有名な老舗焼肉店である。昔、大阪で焼肉チェーン店と言えば、「食道園」と「大同門」が人気を二分していたが、その多くの店舗の中で坪効率の高い店ナンバー1の店だった。
しかし、大同門チェーンは諸事情で店舗数が激減。その中でも生き残っているのは効率経営だけでなく、オーナーの堅実経営が大きな要因であろう。私自身もそうだが、大同門にいた殆どの社員が、会社はゴタゴタがあったが、「焼肉はやっぱり大同門が一番美味しい」と自負していたものである。本当に安心できる味である。特にタレは鮮度抜群の肉にうまく合致しているし、サイドメニューの充実さは老舗焼肉店の蓄積された知恵の結集であろう。(これは別にステルス・マーケティングではありません)
その堅実経営のオーナーも、最初は中小企業社長にありがちで、事業承継も相続の話も、「その時になったら考える」と、他人事のように考えていた。そういう煩わしい、縁起の悪い話から逃げておられたのだ。
しかし店の従業員・残された家族、そして何よりも大切な店を支えてくれたお客様の事を思い考えを改めてもらったのだ。
人間いつどうなるか分からないし、そういう時(認知症、病気や不慮の事故など)に備えておかねばならない。
今は余裕が出てきて「家族信託」も含め、相続の話を前向きに聞いて頂いている。「備えあれば憂いなし」今後の更なる店の成長発展を応援していきたい。
「中小企業白書」の数字を見ても、事業承継が遅れただけ収益率が低下するのは当然である。社長の年齢が上がると攻めよりも守りになる傾向があるからだ。事業承継は単に経営を引き継ぐ後継者を決めるだけではない。会社が更なる成長発展する為の経営基盤を強化するのが目的である。会社の新陳代謝を図り高収益企業を目指さねばならない。そして早く体制を維持するだけの承継から、後継者の企画・アイデアなど新たな発想に基づく経営を前面に打ち出していってもらいたい。