中小企業診断士/行政書士 中村事務所

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パタハラ問題が増えている!

「パタニティハラスメント(パタハラ:男性社員の育児休業制度等の利用に対する、上司等からのいやがらせ)」が問題視されている。大手企業では従業員がこの制度を利用したことで、職場で干されたあげく、結局は解雇されたと会社を相手に、訴えを提起しているようで、これに似たようなことが多くの会社で起きているようだ。

 

せっかくある権利を使わせない会社に社員は嫌気している。大企業は人が豊富だからと安心して入社した人達もこの実態に驚いているようだ。模範となる大企業がこの状態なら経営資源の乏しい中小企業はこの制度を活用するなんて到底無理であろう。

 

 

 

 

日本は「人に職務を割当てるメンバーシップ型雇用」が主流だから、問題が生じるので、会社の成長段階に応じて、そろそろ職務に人を割当てるジョブ型雇用への転換も考えねばならない。特にこれからさらに進展するグローバル化に対応させる為にはこの人の雇用政策は重要な役目を担っていることを認識しないといけない。

 

 

 

その際は、特に自称「仕事人間」は自分が長期休んでも会社に支障がなければ自分の存在意義がなくなると思いがちである。しかしそれを言っていては制度を改めても運用する人の意識がそんな状態では意味がない。社内に蔓延するそういう風潮もなくさねばならない。

 

戦後の高度成長期に不足する人材の争奪戦から、終身雇用・年功序列などで社員の定着率向上を図ってきた企業。その中で、雇用スタイルも職務を限定せず、どんな仕事でもやる、どこへ転勤になっても頑張るというメンバーシップ型雇用が定着した。もちろんこれらが企業の原動力となり成長発展ができたのである。

 

 

 

会社としては、メンバーシップ型の方が使い勝手がいい。何故ならば、命令1つでいろんな業務をさせることが可能でいろんな場所で働かせることもできるからである。

 

社員としても一定のメリットがある。終身雇用なら自分が長期処分を受けるようなことをしなければ解雇になる理由がないし、転勤も取りあえず受け入れておけば会社から文句も言われない。転勤を繰り返すことで、現地への適応力が磨かれるかもしれない。また様々な業務を経験することで、ゼネラルマネージャーとしての総合力が上がるし、自分が専門職として極めたい仕事と自分の適性が発見できる場合がある。

 

 

 

ジョブ型は、職務が限定されており、「開発」「経理」「マーケティング」「総務」「人事」と言ったように専門職を磨くことができる。つまり、メンバーシップ型のように職務が曖昧ではなく明確だ。本当の意味で「就社」ではなく「就職」である。

ただ、それだと、ビジネスライクに職務管理をしている会社では、その職務や部署がなくなると解雇されるケースもある。ジョブ型だと、会社には、異動させてまで社員の仕事を用意する義務はない。

 

 

 

ジョブ型のメリットは、やはり1つの仕事を極められ専門家になれることだ。人間の能力には限界があり、あれもこれもやって極めることは、この複雑化した経済社会ではあり得ない。

メンバーシップ型でゼネラリストっぽくなると、どの仕事もパッとせず、中途半端なスキルと揶揄されることになる。それに比べたら、専門職として道を極める方がキャリアとして最適だ。転職した時にそのことを痛感することもある。

 

メンバーシップ型かジョブ型かというのは、会社の成長段階や規模に応じて選択すべきである。創業期に、少数精鋭で一人何役もやらないといけない時に、「私は経理しかやりません」とわがまま言う人は、必要ないはずである。創業期は、仕事を限定できず、少ない人数で、たくさんの仕事をする必要があるからだ。

 

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会社が成熟期に入り、人数も増えて、組織も階層化・重層化してきたら、全員が全員、多能工や兼業でいろんな仕事をやるというのは、効率が悪くなる。組織には「分業と調整のメカニズムの組合せ」が必要になってくるのだ。したがって専門化のメリットをより追求することになる。会社の成長段階と業務の特性から、どちらの雇用型が最適かを、選択する事になるだろう。難しいものである。