中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

現金商売の飲食店では着服防止の仕組みが必要だ!(下)

・・・・・続く

 

休日以外、勤務日は毎日着服しており、月に70万程度の着服となっていた。これに本人の給料を加えるとその主任は1.400万程度を会社からもらっている計算になり、想像を絶する会社の損失である。

 

過去(6か月間)を遡って調べると毎日コンスタントにその人は着服していたことがジャーナルから分かったが、その一括取り消しが何らかの原因で本当に取り消したのか、もしくは単にその伝票を単POSレジで呼び出して内容をチェックしただけなのかも、現場で立ち会っている訳ではないので分からない。

 

その点を指摘しても言い訳をして、その場をのらりくらりとかわそうとすることも想定されるので、日々の取り消し履歴をリストアップして、一つずつ確認することにした。

 

 

 

ある日、店に行き主任を呼んで予定通りに追求することにした。案の定、最初は単に取り消しただけと言い訳をして誤魔化そうとしていたが、その誤魔化しもいつまでも通用しない。

 

こちらも事前対策で、6か月分の一括取り消しの証拠を用意していたので、その不自然さを追求することで、7回目の追求時点から厚かましい開き直ったような姿勢から、唇が震えてきてついに着服を認めた。

 

 

 

私も好きでこういうことをしている訳ではない。その主任も家庭持ちで、子供もいるのでお金が必要なことはよくわかる。しかしお金が必要なのはみんな一緒である。また着服金を家族の為にではなく、バイトとの豪遊の為だから同情の余地がない。

 

 

 

私も悲しいが、許されることではなく、他の従業員にも示しがつかないので、懲戒処分の手続きを取ることにした。

 

本当は半年ではなくもっと遡れば、相当な金額になっていたと思う。だが、社歴も長くある面では会社に貢献した人でもあるので、そこらは不問とすることにした。最後の情けである。

 

また店の営業終了後、ほぼ毎日のように、お疲れさんとして焼肉パーティーを開いていたことも分かった。繁忙時に、ちょっとビールを一杯飲んでいる位は、黙認するつもりではあった。

 

だが、これも聞くと厨房スタッフが帰ったのを見計らって、冷蔵庫から肉を出し、毎日どんちゃん騒ぎをしていたことらしく行き過ぎた行為である。

 

自分の店ではないのだから、その点のモラルは必要だ。もうやりたい放題のモラルなき職場になっていたことを聞き、エリア・マネージャーとしてショックを隠せなかった。

 

 

 

飲食店は労働集約的な産業なので、働く人の意欲と能力に業績は左右させられる。意欲があれば努力するんで能力も向上していくもの。同じチェーン店で、マーケット指数は若干の差があっても同じような立地、同メニュー、同じサービス、同じ店舗設計、同じマニュアルでの運営など、徹底した標準化に取り組んでも、業績に差がつくのは店長のやる気と運営手腕である。

 

店長のやる気・手腕・人柄、に他の従業員も影響を受け、店の雰囲気など店舗間格差が生じてくるものだ。正しく「企業は人なり」である。

 

こういう不正が起きると、「人は疑ってかからないといけないのか」と寂しい気持ちにはなったが、人を性悪説で捉えて管理する必要性も身を持って体験したものであった。

 

今、国を挙げてキャッシュレスの普及に注力しているが、これらはこういった従業員の不正防止にも効果があるので、より進展することを願っている。

 

 

 

 

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