中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

人材確保が困難の中、人の心を強引に金で買う傲慢経営者の言葉

 

「企業は人なり」と、この当たり前のことを疎かにして、社員を見下した発言を活字にして皆に公表した会社がある。外食大手の「コロワイド」で、今、その発言の主である会長に批判が殺到中である。社内報に被買収先(レインズ:牛角)社員の悪口(アホ扱い)を掲載しそれがSNSに投稿され拡散されたからだ。

 

 

 

1963年創業の会社だが、2014年時点は1.500億円の売上が5年で1.000億円上乗せし、今や2.450億円と外食売上ランキング4位である。多業態展開の更なる拡充、ドミナント出店戦略における相乗的な効果を追求し、店舗戦略における相乗効果だけでなく、物流機能、購買機能等の分野でも相乗効果の創出を徹底強化する為に、積極的なM&Aで多様なブランドを買い漁っている。そして将来を見据え、戦略的な業態ポートフォリオの再構築に力を注ぐ外食企業でも有名だった。

 

今回はこの会長の発言ではあるが、それを社内報にして全社員にメッセージとして伝える為には、多くの人が関与している筈だが、みんな何とも思わなかったのだろうか。みんなイエスマンの会社なのか。25.000人の従業員を雇用する社会的責任の重い会社が会長の暴走を止められないとは情けない。どんな組織構造なのか。

 

外食産業は労働集約型なので特に人の扱いが大変で、ましてや今は人手不足でなかなか人が集まらないのが現状である。こんな社員の人格否定までするトップが存在する飲食店には行きたくないと思うのは普通だろう。

 

  

 

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(コロワイド社内報、会長の挨拶)

コロワイドが、レインズを買収して5年。未だに挨拶すらできない馬鹿が多すぎる。

お父さん、お母さんに躾すらされたことがないのだろう。家庭が劣悪な条件で育った

のだろう。 

私が嫌いで、嫌悪感すら感じるのだろう。そのアホが、なぜ会社にいる?辞めて転生したらいいのに。この会社を買収時、面接をしなかったのが一番の原因だろう。今更、その程度に私に逆らっても始まらない。所詮、コロワイドが買収した会社。生殺与奪の権は、私が握っている。さ、今後どうする。どう生きていくアホ共よ。 

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上記が社内報の一部抜粋である。私が思うには、

 ①社員の親や家庭のことを非難すべきではない。

 ②所詮お前らは買収された会社の人間。会社を買ってやった自分に感謝せよというような言い回しは絶対にすべきではない。

③権力を武器に弱い立場の社員を弄ぶべきではない。

 

こうやって普段から、被買収先のレインズ社員の悪口を言っているのだろう。親のことまで否定されたら社員もやり切れないだろう。この言葉の節々には「せっかく買ってやったのに」という権力者の高飛車な姿勢が入っている。なんでレインズの社員がそんな態度や姿勢で仕事に臨むことになったのか、真因訴求をしたことがあるのか。「人を責める前に己を責めよ」である。

 

 

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言っては悪いけど、「コロワイド」の傘下で一番ブランド力があるのはレインズの牛角だ。多くのブランドを持っているが、どのブランドも中途半端で、市場の棲み分けもせずカニバリゼーション状態を放置したブランド戦略ではなかろうか。その結果、どのブランドもパッとせず、次に認知度の高いのは、最近買収した「かっぱ寿司」くらいだろう。

 

 

 

成長戦略の一環としてM&A戦略を採用するのはどこもやっているから不思議ではないが、この会社のM&Aは特に自前で業態開発できる組織能力がないことが一番の動機ではなかろうか。優秀な社員がいてもこんな会長の下では力が発揮できないのであろう。

 

被買収先会社の社員も買収先会社の経営者にこんな言われ方をされたら、M&Aで買収される会社の社員は買収されることへの嫌悪感から、M&Aの話が出たら徹底して抵抗するだろう。そうなるとクロージング後の統合作業がうまくいかなくなる。

またせっかく成長市場となったM&A市場に水を差すことになることが懸念される。

 

会社側も「会長独特の言い回しだと」の言い訳だが、それが社会一般に通用する訳がなく、誰も信じないだろう。外食はイメージが大切で、ましてお客様が楽しみに行く場所である。お祝い事の「ハレの場」は大概が外食してお祝いするであろう。

 

 

 

そういう役割を担う外食店でしかも大手がこんな見苦しいことをするなんて情けない。パートも含めて25.000人の従業員がいるコロワイド。この人達も仕事がオフの時はお客さんになる。誰が自分の会社傘下の店にお祝い事や友達との食事に行くだろうか。これを見て不快感を強く感じた人も多いだろう。

 

 

 

従業員25.000人の後ろには家族・知人友人を含め20人~30人の人がいる。その人たちは絶対そんな会長がいる会社の店では飲食しないはずである。悪い噂の浸透速度は早い。ましてやこのSNSで拡散されてしまい、大勢の人達を敵に回した外食企業の衰退は止められない。自分で自分の身を亡ぼす結果となり、会長も取り返しのつかないことをしてしまったと反省しても遅いと思う。

 

 

 

同じ店でも店長次第で大きく業績に差がつくもの。多くのブランド店や子会社を束ねる経営者次第で会社は大きく変わるには当然である。言うことが二転三転し「朝令暮改は日常的」、 自分には甘く部下に厳しい。

 

何か問題が起きると責任は部下で手柄は自分。自分に従順な部下は徹底して可愛がる。参加意識と存在感を示したがり、意味不明な意見を通す為に現場を混乱させる 。そういう経営者が偉そうにしている会社に成長という文字はない。