中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

牛丼チェーン「松屋」のカレーへのこだわり!

吉野家の「超特盛」が想定外ヒットで赤字脱却だ。通常、飲食店で売上を増大させるにはメニューを増やして新規客の開拓が必要である。だが、それは一方では、在庫を増やし料理提供の為の調理作業も複雑になる。円滑に料理提供するには教育訓練もマニュアル作りも必須だ。

 

 

S&B 野菜もしっかりビーフカレー 200g×10袋

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また導入の際には綿密な市場調査も必要になる。店舗数が多い巨大チェーン程、失敗リスクが高く慎重なのは当然である。平均嗜好のエリアを設定し、テストマーケティングを実施してから、全店導入をするだろうが、それでも失敗するケースは多いのが実情である。それだけ日本人の嗜好・ニーズを見極めるのは難しいのだ。

 

<参考までに>

*多くの飲食店が新商品の開発の際の課題として、

 

「客からの反応の収集方法(55.5%)」、「適切な価格決め(46.9%)」、「食のトレンド情報の収集方法(41.6%)」、「メニュー考案の時間の確保(39.6%)」、という結果になっている。

 

*新メニュー開発時の観点は、顧客満足、オペレーション、オリジナリティ、写真映え、など。

1)顧客満足 多少原価が高くても「顧客満足度」を最優先する。提供側の自己満足にならないように、お客様に提供した時、お召し上がりなられたときの喜んでいただけるような商品作りが必須。お客様は当店に何を求め来店し、どのような料理・味を期待しているかを把握してメニュー開発をする。

 

2)オペレーション 美味しいメニューを作ることは簡単だが、店の客単価に沿った原価なりオペレーションを考えること。調理工程と提供時間。・メニュー作りはオペレーションまでを含めて考えるようにしなければならない。お客様に喜ばれる商品であっても提供に時間がかかるようでは意味がないことである。

 

3)オリジナリティ ・トレンドを意識しつつ、オリジナル感もプラスする事。参考としたメニューにひと手間、又は少しアイディアを加えてオンリーワン感を出すこと。「他の店では食べられない当店ならでは」をテーマにしなければならない。ありきたりなメニューでもスパイスや調味料等でアレンジしたり、燻製や発酵などを取り入れ形の違うものに変えていく、等の努力が必要だ。

 

4)写真映え ・インスタ映え(見た目、豪快さ)。今の時代はこのインスタ映えも顧客から支持される重要な要素である。

 

「多くの飲食店は月1回程度の頻度で新メニューを提供しており、また新メニュー開発時には、美味しさ、見た目、オリジナリティ、調理オペレーション、販売価格、原価など、様々な観点で検討している。(飲食店.COM(株)シンクロ・フード引用)」

 

 

今回の吉野家や単に肉の量を増やしただけで、在庫負担もなく調理提供作業も同様で、店側の負担が殆どない。その結果、単価上昇による売上・利益の増大に繋がった。吉野家はすき家・松屋と比べ定食などメニューにバラエティがないと酷評されていたが、その吉野家の苦肉の策が功を奏したのだが、これは関係者も驚きであったらしい。

 

私が思うに牛丼の頭大盛は松屋にもあり、価格は松屋の方が安いと思う。でも牛丼だけに注視したらやっぱり「牛丼は吉野家」という固定観念を持つ消費者が多いのかなと思う。個人的には定食メニューも充実している「松屋」が私は好きなのだが。

 

 

大塚食品 マイサイズ 欧風カレー 【中辛】 150g×10個

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牛丼チェーンの中でカレーへのこだわりを見せているのが松屋である。気づいている人も多いだろうが、松屋のカレーに対するこだわりは半端ではない。他の牛丼チェーンとはカレーに対する情熱が違うのである。

 

 

通常、チェーン店のカレーは万人受けする味でないと市場を限定してしまうので成功しないと言われる。クセのあり特徴ありすぎる美味しさというのは、マニアには好かれても一般客層には好かれない。

 

ファミリー客で行くようなお店だと、お父さんは好きでも子供には好かれないケースは来店されなくなる。中間を取るとどうしてもクセのない、普通に美味しいものになってしまいがちだ。だから全国展開のチェーン店の味は標準化されるのである。

 

またカレーは特に、昔、高度経済成長時代は忙しいお母さんが調理時間の短縮の為に、大量に仕込んでおけるカレーをつくる家庭が多かった。我が家独自のカレーに慣れた人々が多く、標準カレーの全国展開は無理だとが言われていたものだった。それを打破したのが「レトルトカレー」や「CoCo壱番屋」などの普及と言った市場環境の変化であろう。

 

 

松屋のカレーはけっこう辛くてマニア受けするものだ。そして傘下にカレー専門店も展開するなどカレーには力を入れている。本部員と話したことがあるが、やはり牛丼では吉野屋に勝つことは難しい。でもカレーには自信を持っており、有名ホテルの調理長を招いて日々味の改良に力を入れているとの事であった。それだけでもカレーに社運をかけていることをアピールできるのではなかろうかと思う。

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肉や野菜などカレーに使用する食材は既存メニューの端材からも準備できる等、常に豊富にあるだろうから、そういった相乗効果からカレー市場は牛丼チェーンにぴったりのメニューでうまみのある市場である。

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後は独自性あるスパイスの組合せ(調合)であるが、もちろんあまりこだわりすぎてお客さんがついて来れなくなったら、多店舗チェーン展開するのは困難だから、ある一定の線引きは加減は必要だろう。是非とも、松屋のカレーに対する熱い思いを店に行って味わってもらいたい。価格がリーズナブルなのも競争上の優位ですね。