中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

マーケティング下手は宝の持ち腐れになる!

 

 

元有名ホテルシェフが定年退職し、フードビジネス事業に参入した。店を構える事なく「クラウドキッチン型」を展開するが、なかなか軌道に乗らず経営不振との事で相談を受けた。

 

 

 

クラウドキッチンとは、テーブルも椅子もない、キッチンだけの「飲食店」だ。テーブルも椅子もないのでお客も来ない、一風変わった新しい業態だ。注文は主にインターネットで受け付ける。インターネットで注文を受けると注文の品を調理し、お客の家や職場などへ配達する。配達も自分では行わず、配達代行業者へ委託する。

 

 

クラウドキッチンの台頭は、飲食業界の競争激化と、飲食店のリーンスタートアップが増加している事が背景にあるともされている。リーンスタートアップとは、出来るだけコストをかけないで事業を立ち上げるという意味だ。

クラウドキッチンは座席がいらないので、8坪程度の大きさのスペースがあれば開業可能だ。しかも、通常の飲食店のように立地を気にする必要もない。目抜き通りに店を構えるのではなく、逆に悪いロケーションの物件に安い賃料で出店する。クラウドキッチンはコスト的に通常の飲食店よりも大きく優れているのだ。

さらに、クラウドキッチンでは接客をする必要もないので、接客用の従業員を雇う必要もない、配達も配達業者へ委託するので、配達スタッフも雇う必要がない。料理人はあくまでも調理に専念すれば良く、オペレーションが極めてシンプルである。

 

飲食店が自らクラウドキッチンを立ち上げるケースとともに、第三者がクラウドキッチンを立ち上げ、それを料理人に貸し出す事業も立ち上がっている。居抜き店舗を活用したり、経営破綻した飲食店などから買い取った調理器具などを設置し、出店コストを抑えているという。

クラウドキッチンは今後、飲食店自らが開設・運営するものと、第三者が開設したものを料理人がレンタルして使うケースとに二分化しつつ、事業規模を拡大させてゆく可能性がある。(参考文献:レストラン・マネジメント・プロ)

 

話を戻すと、料理の腕前は高くキャリアも華々しいが、それ以外が苦手で空回り状態である。当初、用意していた運転資金も底をつく状態になってきており、非常に焦っておられた。華々しいキャリアを持っているのに、宝の持ち腐れ状態は勿体ない。料理ができるのは当然に分かるがその腕を持って何がしたいのかを改めて聞いた。

 

 

 

 

どうも当初の目論見通りも、事があまり進まないので事業領域もだんだんと拡散されつつある状態であった。経営資源の乏しいシェフから勘案するととても無謀な戦略を策定しているようである。取りあえず原点回帰をしていくようにお話しした。

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経営理念として「食を通じてより豊かな食生活を社会に提供していく」こととして、事業コンセプト(誰に・何を・どのように)を明確にするように指導。その際に、自らのキャリアをブランド化し、積極的に発信して他社との差別化を図ることも助言した。

 

まずは女性をターゲットに料理教室など各種企画も開催していくことにした。そして知識・経験・ノウハウなどの知的資産を有効に販売するように飲食店への調理顧問も受任するように働きかけて何件か受注成立する運びとなった。

 

 

それらが功を奏し今は採算が取れる状態になったようである。やはり飲食ビジネスは料理の腕だけでは難しい。マーケティングの重要性を認識されたであろう。