よく「できの悪い子ほど可愛い」「手がかかる部下ほど可愛い」と言うが、これはまさしくその通りだと思う。できが悪く手がかかる部下ほど、その部下に費やす時間は長くなる。一緒にいる時間も長くなると他のできる子よりも愛着が生まれてくるものだ。できの悪い部下はその不器用さを跳ね返すために必死に努力するもの。そしてそれができた時、見守る上司は嬉しいものである。
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高校野球で常にレギュラーの選手が打つヒットより、かろうじて18人の枠に入ってベンチ入りした補欠選手が、代打でヒットを打った時の喜びの方が大きいのは、よくあることである。
逆に「クールで話しかけにくく、可愛げのない部下とは接したくない」という上司が多いのも事実である。それとあまり上司に頼らない、できる部下は可愛くないというよりも気に入らないという上司が多い。
今の部下は何でもわからないことがあれば、すぐスマホなどで調べ、上司に聞くことは少ないようだ。上司も部下の質問に時間を割かれることが少なくなり、自分の仕事に専念できて助かるものだ。だが、もっと上司の存在を認識してもらいたい、との願望もあるようで難しいところである。
このネット社会で集団より個を重んじる社会の中、上司は部下とのコミュニケーションが難しく悩んでおり、部下も同様に上司との距離感に悩んでいる。仕事を離れ、一杯飲みに行ってコミュニケーションを図りたいと思っても、自分のオフ時間を大切にしたり、酒を飲まないといった理由で断られるケースが多く、上司も一度断られたら次に誘いにくい。そうやって職場の上司と部下の関係は離れた距離での平行線である。
また要領がよくできる部下は生意気で使いにくい。上司である自分を飛び越えてしまうケースも多く職場の秩序を乱したり、「報告・連絡・相談」という職場の標語は形骸化している職場も散見される。
仕事ができて結果も出す、そして上司には従順といった部下はなかなか見当たらない。そういう部下を創出させるのが上司の仕事であるが、知恵や心や感情のある人間だから簡単には進まないものである。
私の友人で50人ほどの部下を持つ営業本部長が言っていた。
最初は頼りない部下で、いつまでも叱咤しながらお節介に手伝っていたもの。頭では「やってみせ、言って聞かせ、させてみせ、褒めてやらねば人は動かぬ」との名言を思い出すが、諦めムードが漂う。でも最近は、難問も何とか己の力で考え行動し、結果を出している。部下にダメ出しばかりの上司はNGだなと。
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