会社は生き物であり、常に安定成長するものではない。会社を生かすも殺すも社長を含め全従業員次第だ。
業績が下降気味になった時、会社員であれば業績不振の理由を会議の際に問われると、外部環境が主な原因であると主張し、逃げ切ることができるかもしれない。
そういう人ごとの評論家発言をしても、要領のいい人はうまく対応するもので、それで会社を追われることなく、生活基盤を失うこともないだろう。
以前、私が勤めていた外食チェーン企業では、店舗の業績が低下すると、すぐにオーナー社長が不安がるので、その為に本部では何回も対策会議が行われた。
エリアマネージャーや場合によっては現場店長も本部に呼び出され、喧々諤々と会議に時間をかけたものである。動きが活発になり、のんびりとデスクに座っている本部員はいない。会議をするか現場に行って叱咤激励するかだ。

1000人の経営者を救ってきた コンサルタントが教える 社長の基本
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オーナー社長に対して「私たちは頑張っています」というアピールに近いパフォーマンスで、時々バカらしくなったものである。
店舗で、いつから何をどうして集客力を高めて業績を向上させるか、具体的かつ実現可能性のある企画から優先順位をつけて実行していく為の会議である。
しかしなかなか意見がまとまらず、時間をかけている内に何もしていないのに、何故か業績が回復してきて「あ~良かった」というパターンが何度もあった。
とにかく現場やお客様を見ず、社長を見て考え行動する会社なので困ったものだった。「勝てば官軍負ければ賊軍」で、コツコツと改善して将来の為に確実な業務改善や従業員の意識改革をしていくよりも、結果重視でプロセス軽視だった。
そういう組織文化と風土の会社だから、たとえ道理に背いても、業績を上げた者が正義となり、下げた者は無能と非難される。物事は勝敗によって正邪善悪が決まるということである。
そういう会社だから、結局は民事再生による法的手続きになってしまったのである。
不振の8割は基本的には内部要因なので「外を責める前に己を責めろ」が当然だ。
その点、自営業者は何があろうと自己責任なのでそんな事を言ってられない。外部要因にしようとしても誰も会社員のように給料をくれない。真因訴求を徹底させ効果ある改善策を講じないと死活問題なのである。
自分自身と家族・従業員は社長自らが責任を持って守らないといけない。
業績が悪かろうが安定生活給がもらえる会社員が羨ましく見える事もある。