中小企業診断士/行政書士 中村事務所

飲食店支援専門の中小企業診断士行政書士です。事業承継の支援も致します。

店の売買交渉は売手の交渉力がものを言う!

私は「中小企業診断士」で独立する前に、焼肉レストラン(外食チェーンのFC店)で独立開業したが、その時に店の売却を通じて学習した時のお話をしたいと思う。

 

店を開業して半年後、アメリカ牛のBSE問題が発生し、危機的状況に陥ったことがある。私が属する焼肉チェーンは7割をアメリカ牛に依存しており、代替牛をオージービーフにて対応したが、顧客から不評で一気に客離れが発生した。

 

 

整骨院店舗を事業売却するという考え方: 事業売却して1億円稼ぎやりたい事業に挑戦する道

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吉野家」と同様にアメリカに日本人の嗜好に合った日本人仕様の牛肉を長期に渡って仕入れていたが、不測の事態を想定していなかったアメリカ依存の仕入れ体制が、このBSE問題で大打撃を受け、我がチェーンは民事再生といった法的整理の手続きに入ることとなった。

 

あの「吉野家」は競合他社がアメリカ牛以外の代替牛で牛丼の販売継続をしていく中で、独自のこだわりからオージービーフによる牛丼販売をするなら販売を打ち切るといった決断をして牛丼の販売を中止し、他のメニューで営業を継続することとなった。

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吉野家最後の牛丼販売はテレビのニュースにもなったのでご存知の方は多いであろう。確かに適度に霜が入った日本人向け用のアメリカ牛と赤ベタのオージービーフ(主にマクドなどミンチとして使用)とは味に雲泥の差があったのは事実であった。

 

吉野家」も急遽つくったその他メニューが商品開発部が牛丼依存の体制であったため対応力がなかったのは否めない。その為、不評で業績を極端に落としていったが、元々、外食企業の中でも収益力の高さでは群を抜く「吉野家」は資本力のある会社で、赤字続きで店舗政策も後手後手になっている中でも、経営が持続できたことを考えると、不測の事態に備えた自己資本の充実性は必須だなと感じたものである。

 

 

 

我がチェーンは再生手続きの中で、サントリービールがスポンサーに名乗りを上げて、何とか再生の可能性が見えてきた。元々、我がチェーンは全店キリンビールであったが、サントリービールが「プレミアム・モルツ」の販売を強化し、ビール業界では万年4位の位置を何とか、上位に上げる為に必死であった。業務店(飲食店)をターゲットに積極果敢な販促キャンペーンを実施していた時と重なり、サントリーとしては我がチェーンのスポンサーになることで市場でのシェア拡大に寄与するとの狙いもあったであろう。

 

老舗チェーンということで多くのファンも含めた顧客という営業基盤と牛肉メニュー以外の料理レシピなどの充実性・運営システムにも興味を示してもらえたことが大きかったようである。

 

やはり企業が倒産しても残す価値があればどこかが救済してくれるものである。この価値というものを創出し続けなければ企業価値は向上しないものでもある。

 

だが、加盟店は本部の対応に不満がピークに達していたものであった。加盟店だけで集まり、その中のリーダー的存在のオーナーが音頭を取り、自分たちで新たなチェーン本部をつくるという話まで持ち上がり、たれや色々な独自の調味料を新たな食品メーカーを呼びそれを渡して同じような老舗ならではの秘伝のたれや調味料をつくらせるといった違法・不当な行動にもしていた。

 

結局、この計画は足並みが揃わず、実現しなかったが、加盟店たちの自分たちさえ良かったら何でもありといった姿勢を目の当たりにして人間不信に陥ったものだ。元々本部員でもあった私も立つ位置の難しさに苦労したが、この計画がみんなのわがままで流れたことにホッとしている。

 

その店も何とか5年間、紆余曲折がありながらぼちぼちと稼がせてもらっていたが、若干、業績が下降気味になっていた時に、その店を是非買収したいという人が現れた。

・・・・・続く